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第十話:少女×少女×少年

 神名丘かんなおか 美咲みさきはクラスメイトにして唯一の友人ゼリョンヌィ あきらにメガネを光らせながら


「私、好きな人ができたんだ……」


 と真剣な面持ちで顔の前で手を組み、そう言葉を発する。


「そう、だれ? 」


 玲は友人の好きな人の事を聞く。


「うふっ……それは~……7組のクラスの宮上みやうえ 唯人ゆいとさん……キャ! 言っちゃた」


 美咲は顔を赤らめ、手で覆い隠す。


「宮上 唯人……」


 玲は知っているその名前を咀嚼するようにつぶやく


「知っているの? 」


 美咲は玲の反応に目ざとく食いつく


「うん、知ってる」


 玲は頷く


「じゃあ、その~唯人に~私を~紹介してほしいな~」


 美咲はまず最初の関門である出会いを作る。がこんなにも簡単に進むことに喜びを感じつつ、玲にお願い事をすると


「うん、いいよ」


 玲は二つ返事で承諾した。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 波乱と言う物はいついかなる時襲って来るかはわからない、そして波乱はその人の都合などお構いなしに来る。そして、この俺、宮上 唯人にも波乱は唐突に来た。


「ねえ、放課後ヒマ? 」


 教室に入り最短ルートで俺のもとに来た玲が、そう言う。教室内は妙に静まり返っている。


「あ、うん、ヒマだけど」


 あまりに唐突な出来事に俺はそんな返事しかできなかった。


「そう、なら放課後、屋上に来てちょうだい、話があるの」


 そう言って玲は教室を素早く出た。


 話ってなんだ? もしかして俺のことが好きです! みたいな~。グヘヘヘ。


 俺が自分のことながら都合のいい妄想にふけっていると。


「あれ確か……4組のゼリョンヌィ あきらだろ? すげぇなお前! 玲って言ったら、クラスとか学年どころか校内一……いやそれ以上の美少女だって有名だぜ」


 今城いましろ 大輝だいきが俺に話しかけてきた。


「そうなのか……でもその割にはなんか浮いているよな……玲」


 たしかに凄まじい人間を超越したレベルの美しさを持つ玲であるが、どこか幽霊じみた、影の薄さと言うか、はっきり言うとまわりから一歩置かれている感じがしているので、これを機会になんでかと俺はそういうのに詳しそうな大輝に聞いてみることにした。


「ああ……まあ、美人だけどなんか近寄りがたい雰囲気があるからな、ゼリョンヌィは、でもやっぱり一番は神名丘 美咲の友人てことだな」


 大輝は今までにない神妙な面持ちで語る


「神名丘 美咲……世界的大財閥の『神名丘』の名と力を持ち、自身も6歳でマサチューセッツ工科大学を主席で卒業した超天才だ」


 大輝が美咲なる人物を語る


「ずいぶんすごいな……」


 俺はまるで天上の世界から舞い降りた神の如く凄まじい経歴を聞き、息を飲む


「まあな……でも神名丘のそれだけならいいんだ……唯人は来たばかりだから知らないと思うけど、神名丘は一度とある生徒をストーキングして問題を起こしたことがあるんだ」


「ストーキング!? それはヤバイな~」


 俺は大輝の話を聞き戦慄せんりつする、美咲なる人物は相当ヤバいらしい。


「で、そのストーカー被害にあった生徒は神名丘の好意をはっきりと拒絶し、学校や警察に相談し始めたすぐ後、人知れず転校してしまったんだ。その転校には神名丘 美咲が自分の好意を拒絶したことに怒りを覚え、その生徒を抹殺した……なんて噂が飛び交ったんだ、正直に言うと噂の方はどうか知らないけど、神名丘はストーキングをする様な女だってことを覚えておいた方がいいぞ」


 マジかよ……正直、玲に誘われたことは嬉しいがその美咲と言う人物とは絶対に関わらないと俺は心に誓った。


「でもまあ、大丈夫だろ。その生徒はかなりのイケメンで人望もあるクラスの中心人物だったけど、唯人は顔は結構いいけど、ほかは神名丘に惚れられそうな要素ないしな」


 大輝は笑いながらそう言う


「そう……だな」


 俺は普段ならその発言に怒りを覚えるが今回ばかりは恐ろしい美咲と言う人物に狙われていないと言う、精神的安定を得るために、首を縦に降っておいた。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 俺は授業を適当にこなし、放課後となり屋上に向かう。


 はぁ~なんか異様にドキドキしてきた。


 この心臓のせわしない鼓動は、玲に対するいい感情と、美咲に対するよくない感情の、ガソリン無茶苦茶注入でエンジンぶっ壊れフルスロットル状態であることの証しだ。


「っしィ~! 」


 俺は気合を入れて扉を開け屋上に入ると。


 そこには美しい金色の髪をなびかせる、少女が一人、玲がいた。


 ほっ……よかった。俺は美咲と言う悪魔がおらず、大天使玲一人と言う状況に安堵する。


「話って? 」


 俺は期待半分、不安半分と言う心持ちでそう言うと


「うん、紹介したいがいるの、とっても可愛くていい子よ」


 玲はそう言って、俺のところからは見えない貯水庫の影から誰かを呼ぶ。


 なんだ、紹介か……まぁいいや。俺はそう思い見ていると。


 短い髪をした大きな眼鏡とおっぱいが特徴的な、玲と比べると落ちるが十分美少女の範囲に入る、どことなく異質な雰囲気のある女の子が出てきた。


 おいおい……まさか、やめてくれよ……。


 俺の顔に気持ち悪い冷や汗が流れる。


「私の友達の神名丘 美咲って言うの、仲良くしてね」


 玲がそう言うと、美咲は頬を赤らめ上目遣いをしながらコクンと頷いていた。


 グアアアアアアアアア!!!!! あんまりだぁ~!! 最悪だぁ~! 終わった……。


 俺は、猛烈の泣きたかった。

 

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