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劇1

 ……。

『かつては君を愛したこともある』

 そう口にして静かに一瞥する。

『私から去ってどうするのです』

『君から去る?』

 感慨深く。心持、鼻にかかって。

『ええ。そうですとも』

 さめざめと。静かに詰め寄るように。

『君から去る、だと。私が、か』

『ええ。ええ』

『去る。君から去る。そうか。そうだとも。君はそんなことにも気づかないのか。私は既に去っているではないか』

 徐々に激しく。激情を込めて。

『私の心は既に君から去っている。さよなら。そう。さよならだ』

『なぜです』

『君のその振る舞いが私を苦しめる』

『私の何があなたを苦しめるというのです』

 悲しそうに瞳を俯かせる。

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