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第五十一話 - ブルグント南東部 〉〉 独立機動大隊ファラスメーネ

 簡単なアンケートです、ご協力ください

 とある戦略級魔法士の回答A


 Q.1 現在戦場における不満はありますか

  A 上官が私のことを軽装備で極地に放り込みます

 Q.2 現在職場における不満はありますか

  A 数か月おきに転属させられます。それと部下が私のことを見下してくるのがつらいです

 Q.3 現在の給金に対する不満はありますか

  A そもそもお給料もらったことがないんですが

 Q.4 現在の武装に不満はありますか

  A あの、そもそもまともな武器とアーマー自体支給されてないんですけど

 Q.5 現在、軍人の低年齢化が問題になっていますが、どう思いますか

  A 今いる部隊のほとんどが若い子でとても怖いです。あの子たち単独で地形破壊します。だからそれはそれで実力あるからいいんじゃないでしょうか

 Q.6 同僚たちへ一言

  A 兵士の恋愛は即断即決というけど、デートなんて考えていたら明日にはどちらかが死んでいるかもしれないけど、だからと言って交際を即物的に考えないでください。とくに最近寝込みを性的に襲ってくる同僚へ


 ---


 数日後のある日。

 スコールはなぜか作戦司令室にいた。

 支給された装備は歩兵用の砂色の迷彩服とハンドガン二丁。

 そして弾丸なんか余裕で貫通してきそうなくらいに薄いヘルメットとおもちゃかこれ、と思える暗視ゴーグル。

 弾薬は予備マガジン四本分。

 せめてアーマーくらい支給しろ、そう思う。


「これより奇襲電撃戦を行う。攻撃対象は沿岸部に展開中の戦略級魔法士及びこれの護衛部隊。そして現在接近中の所属不明部隊だ」


 司令官らしき男が続きを発しようとしたところでスコールが手を上げた。


「発言を許可する」

「なぜ私がファラスメーネの部隊に加わっているのか、そこから説明してください」


 珍しく丁寧に発言したのだが、


「さて戦死しても事故死としてしかカウントされない兵士諸君、これより作戦内容の簡単な説明を行う」


 さらりと無視された。

 なのでスコールも完全に無視する。

 なぜここにいるのか、思い当たる節は少しだけある。

 ウェイルンを基地内の隅っこの誰も寄り付かない個室に引きずり込んで、柔肌にゴツイ黒光りする大口径リボルバーを突き付けて脅したのがいけなかったことくらいだ。

 今後一切蒼月とレイに手を出すな、そしてまともな部屋を用意しろと。

 それだけの内容だったのだが、捻じ曲げた問答でほとんど脅迫紛いのことをしたのが原因なのだろう。

 あれでも立場上はPMCの女社長。

 ”民間人”の履歴を詐称して戦場に放り出すくらいは簡単にできるのだ。

 そもそもスコールはセントラ側では別の名前で軍属。

 ブルグント側でも傭兵として別の名前で活動していたため、こういうことにも慣れている。

 むしろ白き乙女のスクランブルと比べたら、事前の説明がある分お遊びと言えるかもしれない。


「作戦開始時刻は後に指示する。それまでに配置についておけ」

了解ダー!』


 周囲の兵士たちから返事があり、すぐに解散していく。

 そう言えばこちらは『ヤー』ではなく『ダー』なんだな、なんて思いながらスコールも準備のため退出する。

 相手が戦略級だろうが魔法を扱う、魔力を扱うならば勝てる。

 そう余裕すら持って真っ暗闇の外へと向かう。

 指令室のドアが閉じればなんの反射光もない真っ暗闇。黒一色の世界だ。

 周囲から他の兵士たちの話し声や風のざわめきは聞こえてくるが、虫の鳴き声などの自然の音はない。

 とくに話をするような兵士もいないため、スコールは持ってきた無線機のスイッチに指を掛けた。

 一度電源をオンにしてしまえば双方向通信のため押していなくても大丈夫だ。


「ウェイルン、帰ったらとりあえずヘッドショットしてやるから逃げるなよ」

『ひっ……なんでこの周波数を』

「んなこたあどーでもいぃ。作戦概要は」


 至極不機嫌な声を真似して言うとすぐに答えが来る。


『わたくしたちPMCは戦争があるからこそ稼げるのですわ。だから短期決着が可能な強力な魔法士を排除することで泥沼の長期化する戦争を』

「ざけんなよおい。資源の無駄遣いだろうが、もっと別の方向にもってけねえのかなぁ」

『と、とりあえず戦略級の情報ですわ。複数のデバイスを携行して奇抜な戦闘方法を取るとのこと』

補助具デバイスね。使用魔法は」

『自己強化と流体制御としか判明していませんわ。それと』

「もういい。身体的特徴は」

『一八前後の男性。身長は一八〇弱で単独での高速戦闘を得意とする、と』

『通達、作戦開始時刻は日の出と同時だ。五分でも十分でもいいから今のうちに寝ておけ』

「んじゃそういうことで。帰ったら、覚えておけよ」

『や、やめてくださいましぃ……』


 やった後が怖いならやるな、そう言いたいでもある。

 だが通常の心理状態であれば、誰もいつ爆発するか分からない爆弾を身近に置いていたくなどないのが普通だ。


 ---


 森林地帯のどこか。

 寒々しい空っ風が吹き抜け、すぐにやんだそこには砂色の迷彩服を着た集団がいた。

 森の中で砂色。一切の迷彩効果は無く、むしろものすごく目立つ。

 これは本来砂漠用の装備だ。


「ミナ兵長、珍しいですね、こんな辺境に派遣されるなんて」

「何が好きでこんなところに場違いな軽装備で……」

「まあまあそう言わんといてくださいな。もうすぐ日の出ですから、シャキッとしていきましょ」

「へーい……あぁめんどくせぇ」

「主力なんですから、もっと気張ってください。あなたがいなければEランク魔法士との戦闘なんてできやしないんですから」

「ほんとに他力本願だな。できることしかしねぇとか」


 はぁ、とため息をつきながら五つのホルスターに収めた武器を軽く叩く。

 ニードル弾を撃ち出す拳銃。

 パラベラム弾を撃ちだす拳銃。

 残りは銃の形をした別物だ。


「敵戦力が未知数ってとこからしても、不用兵士の在庫処分って感じしかしないんだが。しかもマップもないしサテライトのスキャニングも使用不可ときた」

「こうも木が多いと見通しが悪いですからね。せめて索敵魔法か上空にUAVが欲しいですよ」

「んなもん用意するだけの予算が下りないのは分かってるだろ……」


 静かに目を閉じて夜明けを待つ。

 周囲には他の兵士たちが同じように控え、作戦開始時刻を待っている。

 見通しの悪い森林地帯での戦闘。

 数をそろえての力押しか、遠距離から広範囲魔法で火を放つか。

 どちらにせよコストはかかる。


「…………」

「静かですね」


 夜明け前の静けさは風の音すらもない。

 鳥たちも日が出るまでは大人しくしているのか、まったく気配が感じられない。

 やがて、何分かすると肌を撫でる温かい日の光が世界を照らし始める。

 暗闇に閉ざされた視界が徐々に、音もなく開けていく。

 そんな静かな場で待機していたからなのか、足音が聞こえたような気がした。

 限りなく消音しながらも風のように、滑るように高速で迫ってくる。


「敵か?」

「なにか聞こえました?」


 隣に座る兵士がそう言った瞬間、ピシュッと抑えられた鋭い音が聞こえ、別の場所でドサッと、人が倒れるような音が聞こえた。


「敵襲っ!」


 そんな叫びが聞こえた時には、さらにピシュピシュッと射撃音が聞こえ、またどこかで兵士が倒れた。


「ミナ兵長!」

「奇襲か……夜明けと同時、位置は完全に知られてる」


 腰に下げた無線機に手をやり仲間に問う。


「敵の数は」

『一人! たったひとブツッ――』


 途中で通信が切れ、またどこかで兵士が倒れた。

 魔法が使われた気配が微塵も感じられない。

 どんな魔法であれ世界に干渉するのは変わらない、そして世界という対等な場に存在する以上、魔法行使に伴う反動のようなものが絶対に起こり、感じられるはず。

 それがないという事は、相手が単純に己の力だけで攻撃してきたという事。


「見えた! 九時の方角です、ミナ兵長!」


 木々の隙間に一瞬だけ覗いた敵兵。

 二丁拳銃スタイルに砂色の歩兵用軽装備。

 しかも拳銃というにはやけにバレルが長く太い。

 ロングバレルで軌道を安定させつつも消音性を付け加えたものか。


「やるぞ」

「はい!」


 ミナが銃を抜き、隣の兵士が対物障壁を展開する。

 魔法士を含む銃撃戦の基本スタイルだ。一人が障壁で攻撃を弾きつつ、残りが攻撃する。

 木々の隙間に姿を捉えたと同時、相手は銃ではなく紙切れのようなものを大量に構えていた。

 そして狙いをつけて撃つよりも先に、その紙切れがばら撒かれた。

 一枚一枚が瞬時に紋様を描き出し、ばらばらの魔法を発動する。

 虚空に突然出現した水弾。

 目に見えない空気の刃。

 地中から這いよってくる魔力の槍。


「飛べ!」


 ミナがすぐに武器を持ち替え、引き金を引いた。

 それだけで体がふわりと浮かび上がり、木の上へと。

 コンマ数秒前まで立っていた場所に次々と着弾し、逃げ損ねた障壁展開要員が消し飛ばされる。

 死体すらも残さないのが魔法戦における、通常の戦闘とは違うところだ。

 死体処理の手間がないと言えばそれまでだが、遺族側からすれば葬式すらできないのか、と嘆くことにはなるだろう。


「速いな……」

「言ってる場合か?」


 気付けば後ろで引き金を引く寸前の敵が。

 素早く身を捻り、射線から身を退けながら足払いをかける。

 上に飛び避けた敵を目で追えば、すでに姿はあらず。

 またどこかで味方が倒れる音とアサルトライフルの悲鳴にも似た音が響く。

 たった一人を相手に翻弄され、瞬く間に部隊が壊滅に堕ちていく。


「化け物には化け物をぶつけるのが定石だよな」


 あちらこちらで銃声の代わりに魔法が撃たれ始める。

 まだ数十対一の数であるはずなのに、魔法の気配は数百対数百。

 歩兵同士の戦闘ではあるが、魔法の撃ち合いともなれば砲撃戦と同じ。

 ランチェスターの第一法則ではなく第二法則を適用してもいいくらいだ。

 だが、それにしては人数にして砲撃の数に差がありすぎる。


「まあ、戦略級の恐ろしさを甘く見るなってことくらい知ってるだろう」


 木から飛び降りたミナは銃を乱射した。

 跳ね返ってくる音で大まかな位置を探り、またも武器を持ち替えて構える。


「来い……」


 そのまま構えていると、敵はバカ正直に正面から突っ込んできた。

 片手に手帳サイズの魔導書を。もう片方にはピン球よりも小さな玉を。

 それを認識したうえでミナは拳銃型をした武器の引き金を引き、相手は魔導書を空に投げて玉を地面に投げた。それは接触と同時に炸裂して煙を散らす。

 ミナが使ったのはピンポイントで対象を加熱させるメーザー。

 だが射線を遮られ照準も誤魔化されて効果がなく、敵がなぜか真後ろから襲ってきた。


「幻影か……面白い」

「いつまで持つかな」


 トランプを持つように持たれた四本のナイフが投擲され、わざと体勢を崩して躱し、反撃に片手の拳銃を撃ち尽くす。

 だが銃弾は地に押し付けられた。

 上を見れば宙に浮かび、パラパラとページが捲れ続ける魔導書。

 自動的に魔法を詠唱キャスティングし続ける自動砲台。

 気配だけで照準し、補助具を通して魔力塊をぶつけ、即座に破壊する。


「リバース!」


 先ほど躱したナイフが再び狙いながら向かってくる。

 よく見れば刀身にルーンが刻まれている。


「チッ」


 身を捻って後方のナイフに魔力塊をぶつけ、勢い任せに撃ち切った拳銃を投げつける。


「無駄」


 簡単にキャッチされ、一瞬で分解されて打ち捨てられる。

 別段高い物でもない、思い入れもない銃のためにどうも思わない。

 それに相手の武器は早めに無力化するのも基本だ。


「…………」

「…………」


 互いに睨み合いながら攻撃手段を編み上げる。


「あんたが戦略級か。事前情報通り、様々な手段で攻撃を可能とするとかいう」

「そうだ。名前なんかないから、ドゥとでも呼んでくれ」

「身元不明ね……」

「そういうお前は? たった一人生き残ったんだ、少しくらい記憶の隅に置いてやる」

「対戦略級戦闘員……ミナ、とでも言っておこう」

「ん? まさかおまっ」


 ドゥが言い終わる前にミナは素早くホルスターから銃器の形をした補助具を引き抜いた。

 そして……撃つ前に横合いから真っ白な弾丸が貫いた。

 数瞬固まった後、すぐに補助具をしまって、お互いに遮蔽物代わりの木に身を預ける。


「誰だ!」


 ドゥが叫び、空から紅い刺繍が施された白い修道服を着た者が降り立った。

 雰囲気からして只者ではなく、纏う魔力の量から通常魔法攻撃は通らないと分かる。


「久しぶりだな、こんちくしょう!」

「誰だつってごふぅっ!?」

「ああ、だいたい三か月振りか。この野郎」

「誰だ……がぅ」

「ああ分からないよなぁ、そうだよなぁ! こちとら白き乙女のトップやってんだがなぁ!」


 バコバコ殴られ、ボコボコ蹴られ、どんどんボロボロになっていく戦略級魔法士を余所目にミナは駆けだしていた。

 殺す手間が省ける。そう思いながら自分を狙撃しようとしている者へと向かっていく。

 狙われたらおおよその位置は把握できてしまう。

 後は小刻みに左右に動いて、狙いを安定させず、近づいて終わらせる。

 木々の合間を抜けて行けば数百メートル先に狙撃銃を構えた少女が見える。

 照準はもう終わっている、後は引き金を引くだけの相手。

 対するこちらの武器はニードル弾を込めた銃。

 互いの一発目が偶然、中空でぶつかって運動エネルギーを散らし合い、軌道を反らし合った。

 少女はボルトアクション式の狙撃銃、ミナはガス圧による自動装填。

 結果は明白だった。

 避ける間もなく、立て続けに放たれたニードルが対物障壁を削り取り、その華奢な身体を貫いた。


「撃破一」


 呟くと同時にしゃがんで、後ろ斜め上にやけに白く光る最後の一発を放つ。

 頭の上をビュンッと通り過ぎた蹴り。

 ザグッと嫌な音を発してどさりと倒れる音。

 それは白い修道服の男……レイズである。


「撃破二」


 脳天に鋼の弾丸が突き刺さったのは何度目だろうか。

 とりあえず直近で言えばレイアにぶち込まれたのが一番新しいだろう。


所属不明部隊アンノウンって……」


 呟きながら拳銃を捨て、パラベラム弾の詰まった予備マガジンも捨てる。

 使い道のないものは持っておくだけ邪魔になる。

 残る武装はコンバットナイフくらいか。

 補助具もなくなり通常武装も頼りない。

 会敵する前にこの場から離脱したいところだが、それは叶わないようだ。

 振り向けば魔法で傷を癒したドゥがいる。

 その顔は驚愕に固まってしまっているが。


「お、おまっ……白い悪魔を殺し……たのか?」

「災害級魔法士、白き乙女のレイズ。一撃で撃破」

「お前、どこの所属だ。軍部に行けば」

「嫌だね。めんどくさい」


 言いながら逆手にコンバットナイフを構え、臨戦態勢を取る。

 魔法士相手にこのような戦闘は大変不利だ。

 近づく前に魔法でやられ、よしんば近づけたところで障壁に阻まれる。


「なぜ魔法を詠唱しない。それになぜ障壁すら展開しない!」

「使えないから。それだけだ」


 それを挑発と取ったのか、ドゥがもっとも基本の構えを取る。

 右の手の平を相手に向け、ピンと指を伸ばして腕を伸ばす。

 左の手を右肘に添えるようにして掲げる。

 射撃魔法の練習、もっとも基礎となる照準の構え。


「その程度で十分。そういう判断か」

「お前こそ、魔法もなしに」


 ドゥの手の平に基礎炎撃魔法ファイアボールが作りだされ、ミナの握るナイフが白い魔法陣を纏う。


「やはり使えるのか!」

「ふぅ……疾風斬」


 突如として直系二メートルまで膨れ上がった火炎弾? 否、火焔の砲弾が撃ち出され、ミナが振り下ろしたナイフから風の刃が放たれる。

 虚空にて衝突した双方の術は、どちらともが散り消える。

 だが耳をつんざく風鳴りと、吹き散らされた風の刃が作りだした斬痕は周囲の木々を綺麗に切断していた。

 威力で見れば明らかにドゥの方が劣る。

 即興とはいえ戦略級が放つ魔法。

 同じものでも威力はランクが二つ分ほど上がっているはずだ。


「なぁ………………未登録の……魔法士?」

「冥土の土産に聞きたいことはあるか。名前、所属、属性どれか教えてやろうか」

「名前と所属を教えろ。お前をひっ捕らえて軍部に突き出す!」

「それは御免蒙る。ま、メメント・モリの疾風ゲイル魔狼フェンリル突風スコールとでも。ミナ、これも使ってる名前の一つだから」


 ヘルメットを脱ぎ捨てながら、抑えつけられていた黒髪をわしゃわしゃとほぐす。

 不愛想、それ以外に言いようのない特徴がなさすぎる顔がそこにはある。

 諸事情あって現在魔力関係は補助具なしでは本当に使用不可。

 刻印を用いても流し込む魔力の調節ができないため危険すぎる。


「フェンリル……あの悪名高いフェンリルか!」

「はい、正解。さようなら」


 カチッ、と無線機のスイッチを押すと辺り一帯に不可聴の騒音がまき散らされた。

 ちょうどこの場所を囲むように強力な魔法用のジャマーが発動されたのだ。


「クライアントはセントラか!? 俺を捕らえて何をする気だ!」

「依頼人なんかいやしない。魔狼は好き勝手に食い散らかすだけだ」


 冷徹に言い放ち、ナイフを構える。

 周囲の木々の残骸の合い間には、気づけば盗賊風味の者たちがぞろぞろと。

 十代の少年少女から人生の折り返し地点付近の者までバラつきの激しい者たちだ。


鉄狼アイゼンヴォルフ、一部だが揃った」

人喰狼クルトー、半数だがここまで来た。残りは沿岸でキャンプ張ってる」

荒野の狼(ステッペンウルフ)。呼ばれてないけど来ました」

「「ステップ、お前ら偵察だから出て来るんじゃねぇ!」」


 どうもふざけているとしか思えない集団だが、気配は猟犬よりも恐ろしい野生の狼だ。

 世界中の犯罪行為に関わっているとも言われるほどに悪名はある。

 そもそも一部の部隊はプロフィールに堂々とグレーゾーンの行いを書き連ねてもいる。


「さあ、狩りの時間だ。一分だけ猶予をやる」


 その一言を聞いた途端、魔法を封じられた戦略級のドゥは、懐から小さな宝石を取りだした。


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