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第十三話 - 13

読み飛ばしちゃってください。

いつもと違う気分で書いたので読まないで……。

わたくし、レイズ・メサイアは大変困惑しております。

原子番号13番(アルミニウム)製のベッドに縛り付けられ、13人の山賊に囲まれています。

ついでに魔法が使えません。

いや、これも初めてじゃなくて、もう13回目なんですけどね。

因み今日、昔使われてた暦でいくと13日の金曜日なんですね。

部屋にあるテーブルの上には大アルカナの13番目のカード……。

まあ、あれですね。

死にかけの人の前に出てくるっていうデスサイズ持ったあいつのカードですね。

なんであるんでしょうね?

しかも召喚用の魔法陣の上に供物とかまで用意されて!!


………………。


トリアエズ、オチツコウ。

状況確認から行こうか。

まず上陸艇の上で、蹴られちゃいけないところにスターライトキック受けたわけだ。


◇◆◇◆◇


俺が気づいたときそこはメティの執務室……という名の拷問部屋だった。

眼前に突き付けられているのは請求書。

ただし額が……。


浮遊都市アカモート宛

請求書

此度の作戦において掛かった費用を請求させて頂きます

詳細は以下の通りです

兵員損失分 :5000万G×3170人

兵器損失分

高速上陸艇 :1億G×10隻

強襲揚陸艦 :5億G

暁級空母  :20億G

その他   :1兆G

総計    :1兆1620億G

振り込みが不可能な場合

我が国は実力を持って対応させて頂きます


おいおい待てよ、俺はカ○サルじゃないんだぜ。

しかもアカモート宛のあとにめっちゃ小さい字で(レイズ)って書かれてんだ。

個人で国家予算並みの負債はごめんだね。

それになんだよ、その他1兆って!?


「どうするの?レイズ」


なんだろうね。

すぐ目の前に天使がいるはずなのに、

死神の舞曲ワルツが聞こえるな。


「いっそ戦争でもしますか」

「そうね10分だけ猶予をあげるわ、遺書でもなんでも書きなさい」


遺書なんて書いても無駄だろうな。

でもまあ仕方がない、せめてクロードだけでも助けてやろうか。

この流れで行くとカルロのときと同じようにクロードもつれてこられているだろう。

俺はクロード宛の手紙をささっと書いてレイアに渡した。

さあ、死刑執行は近いぞ!

死神の足音がそこらじゅうを闊歩するなか、俺は死地へと向かったのだった。

そのあと拷問室で、片手に錫杖を持ったメティを見て意識がなくなった。


◇◆◇◆◇


そして気づけばこんなところにいるわけだよ!!

もう!!

どうしろと!!

魔法が使えない!!

縛られてる!!

鉈持った盗賊がいる!!


――人間いざというときは体のリミッターが外れるんだぜ。


と、言うわけで俺の体を戒めてる紐を馬鹿力で引き千切って、賊に蹴りを叩き込む。

場所は蹴っちゃいけない一番痛いとこに。

それにしても、下半身がスースーするな。

仕方ないさ、いつものカーゴパンツ穿いてないんだから。


――気づいた時には無くなってました。


まあ、そんなことはどうでもいい。

奇襲で1人潰した、残りは12人。

狭い室内じゃ数の利はない。


「さて、今だけは認めてやる。降伏しろ」


――あれ?声が違うな。


「誰がテメェみたいなのに降るかってんだ。なぁ、おめぇーら」

「おう!!」

「ウォォー!!」


――うん、うん、狙い通り、これで全員心置きなく殺れる。


「そういうことなら死ねよ」


一言だけ言って素早く賊どもの体に触っていく。

魔法は使えないが魔術はなぜか使えた。

使う魔術は『魂奪の魔手(ソウルドレイン)』。

設定条件は接触した者の寿命を全てを奪う。


最後の3人になったところで「降参だ」なんて言われた。

最初にしないって言ったからな、情けなんて物はない。


とりあえず30秒もかからず盗賊を11人絶命、1人潰した訳だ。

俺のカーゴパンツはなかった。

もし、こいつらが盗って売り払ってたりしたら、

ちょっとあっちの世界まで行って拷も……いや、お話する必要があるな。

まあ、いい。

部屋に鏡があった、自分の姿を確認しよう。


頭、いつもの白い髪。少しくすんでいる。なぜか腰まで伸びている。

  青い宝石が嵌めてある羽の髪飾りが付いている。

体、どこかの某ゲームのアイドルのコスプレ的なもの。白を基調に青で修飾されている。

腰、かなりのミニスカート。青地に白で装飾されている。。

足、黒いニーハイソックスと青い紐の白いブーツ。


――あ、最後にもう1つ。棒がない。


なんなんだろうねぇ、性転換手術は受けた覚えがないぞ。

まあいい、どうにもならんことは今は無視だ。

お楽しみと行こうか。

1人だけ生かして置いた賊を拷も……いやいや、説得して情報を聞く。

後ろ手に縛って、魔術で鞭を作って……。


どうやらここはブルグント南大陸の北部森林地帯らしい。

ちょっと前にレイアが一騒動起こしたところだ。

近くには後処理ということで2つの師団が駐屯中らしい。

ついでに2人の戦略級魔法士も駐屯中だとか。

そしてここは森の中で、案内がなければ出られないとかなんとか。


これだけ聞ければもういい。

最後の賊を始末して建物の外に出た。

本当に森の中だった。

コンパスでもなければ確実に迷ってしまう。


さて、どうする?

静かだ、鳥の鳴き声すらしない。

それは異常だ。

つまり近くになにか危険なものがいるということで……。

後ろを振り向けば、ほら。

ぶくぶくと泡が浮かんでる沼から……。

四脚戦車が……。

機関砲と無反動砲を二つずつ備えた結構物騒な奴が!!


「それはないよな?」


意に反して戦車からガチャン、という音が聞こえた。

火器のセーフティが外れた音だろうな。

さて、逃げようか。

ジグザグに走っても無駄だ。

常に射線上に木を挟むようにして逃げなければ。


俺は一番近い木に向かって走った。

そしてこけた。

ブーツなんて雪山の登山以来履いてないもんでな。


「くそっ!」


振り下ろされる脚を転がって躱す。

真下に入り込むと文字の書かれたプレートがあった。


『FRT-JASON』


ジェイソン!?

13日の金曜日で沼から出てくるとは……。

ということは、フロディさんではなくてボーヒーズさんのほうですかな?


ガチャコン!と音がして胴体部分からチェーンソーのような武器が出てきた。

おいジェイソン、君はマチェットを持つべきだ。

それは皮の仮面やろうの持つべきものだ。


すぐに起き上って走る。

背後からは、ズゴンッ!!バゴンッ!!ダダダダダダッ!!

って音が聞こえるけど気にしない。

気にして恐怖に駆られた瞬間、あの世行きってのは分かってるからな。


「あれってセントラの物だよな!?なんでこんなところにあるんだよ!!」


疑問に思っても仕方がない、魔術で消し飛ばすか?

でも、それやってしまうとな……。

木々の間を縫いながら走り抜ける。

四脚戦車から撃ち出された砲弾が土を巻き上げる。


くそっ!

どうせさっき使ったし、だったら久しぶりに概念魔術を使っとくか。

見られる心配が一切ないからな、多分。


――情報改変。範囲、自分を中心に30m。すべての金属は常温で融解する。


世界のルールを限定的に書き換える魔術。

より詳しく言うなら現存する概念を自分の概念で部分的に上塗りする魔術。

これを使えるのは今のところ俺だけ。

模倣ならレイアも使うことが可能だが。

そして魔法や通常の魔術と違うところは概念ルールを欺いて魔力を行使するか、

別の概念ルールを設定して魔力を行使するかだ。



魔術の発動と同時に四脚戦車が溶けた。

そして別のものが空間を裂いて出てきた。

それは、不気味な人間達だった。

両腕に鉄爪を付け、体全体を赤と白の布で覆っていた。


「見つけましたよ。レイズ・アルクノア・レイシス」

――チッ、ここは惚けて適当にあしらう方がいいな。姿も違うことだし。

「何ですか、貴方たちは」

「惚けても無駄です。あなたの気配はそうそう隠せるものではありません」

――やっぱり通用しねぇか。

「今更何の用だ。俺は家には戻らんぞ」

「ならば、強行手段です。当主様に達磨にしてでも連れて来いと言付けられていますので」

「そうかよ、召喚兵(にんぎょう)程度が敵うと思うなよ」


言い終えると同時に反転、自分の目の前に設置型の爆破魔術を設置する。

やつらは魔力の流れを察知できる。

ならば当然、敵は左右から回り込んで斬りかかってくる。

そこで伏せる。

召喚兵は基本的にプログラムされた動きしかしない、ならば逆手に取れば?

そりゃこうなるさ。

俺の上で鉄爪を刺し合って自滅。

単純な作業なんだよな。


そして3分ほどで最後の一体になる。


「帰って伝えろ。テメェの都合で捨てて、必要になったから戻って来いってのは我儘すぎると」

「後悔しますよ」

「どういうことだ」

「貴方の計画は既に露見しています。アーク計画などという無駄なこ……」


いつの間にか召喚兵の周りには白い粒子が渦巻いていた。


「黙れ、テメェらが好き勝手に他の世界を侵略するから、”人の世界”に多種族よけいなものが流れて来る。結果、ただでさえ住める場所がないのにどんどん溢れるから、無駄な争いが起こって弱い種族は滅びていくんだろうが」

「それがどうしたと言うのです。弱いものは奴隷となって生きるか、

 野垂れ死ぬかのどちらかでしょう」


召喚兵が言うと同時にまた、空間が裂け次々と召喚兵が現れた。


――話すだけ無駄だな。


両手に魔力を集めて軽く打ち鳴らす。

濃密な魔力の霧が発生する。

召喚兵は魔力で動く、故に高濃度の魔力にさらされると動作不良を起こす。

と、いう訳で今のうちにさっさと逃げるに限る。


◇◆◇


あれから3日たった。

召喚兵どもはあれきり何もしかけてこないのでよしとする。

さて、これからどうするか。


食糧については問題ない。

襲ってくる熊や魔物を返り討ちにしてグロテスクな解体作業をして焼いて食べる。

水については魔術で。

なのでこのまま世界が終わるまで森の人になっても大丈夫だ。


ただ1つ問題がある。

洗濯ができない。

水を出せるからできるだろ、と思うだろ。

俺の場合使える魔術は殆どが戦闘用。

よって、水を得るときも洪水並みのものを一度空に打ち上げて、降ってきたものを使う。

だったらそれを貯めて洗えと思うだろう。

洗う暇も乾かす暇もないんだよ。

臭いで色々寄ってくるからな。

100くらいなら相手しながらなんとかなるが、

この森はやけに魔物が多くてな。


狼とか熊とか触手系のモンスターとか。

とくに今の体で触手系は色々とまずい。

最初は体が勝手に拒否反応起こして、ほんと危なかった。

というわけで、たった3日で泥まみれの血まみれでとても臭う。

最終兵器な臭いがする。

藪を突いたらダンボール被った蛇さんが、待たせたなっ!

とか言って出てきてくれたら、すぐにでも無線機奪って人里に行きたいね。


◇◆◇

 

さらに4日たった。

俺の服って茶褐色だったっけ?

いや、白かったはずだ。

それと俺は森に久しぶりに来たせいか、少しなめていた。

地面に直に寝てはいけないという事をすっかり忘れていた。

狼や魔物に襲われるのはまだ可愛いもんだ。

一番の問題はダニだよ!

かゆい、ウザイ、しつこい。

昨日なんてカチンときてあたり一帯冗談抜きで火の海にしたからな。

消火するのが大変だったけども。

というかどっかに旅○扉とかないの?

こういうところって大抵なんかあるじゃん。


◇◆◇


早くも1ヵ月立ちました。

この生活の中で俺は奇妙な体験をした。

なんと!

いままでどうやっても使えなかった初級魔術の弱き水流(インフィルマ・アクア)微風(ブリーズ)を修得しました!!

何言ってんだ、だって?

今まで使ってた魔術をLv.80~100とするなら、

初級はLv.1~5の範囲だぞ。

戦闘ではなく基本生活に使える魔術だぞ!

普通は初級から中級、そして上級って修得するはずなんですけどねぇ……。

まあいい、これでやっと念願の洗濯ができる。

だいたい最初から木の上に上るって方法をなんで思いつかなかったんだ。


普通に水を作って浮かばせて、洗った後に優しい風で乾燥……。

これでやっと服が元の色に………もどりますかね?

もう真っ黒ですよ。

しかも、臭いがやばいことになってるよ。

生物兵器並みだよ。

バイ○ハザード起こせちゃうよ。

セントハウンドって言う、臭いを頼りに獲物を探す奴を絶命させちゃいましたよ。


それにしてもねえ、生まれて初めて使ったのが『概念魔術』ですからね。

しかも詠唱なしで。感覚でドカーンとやっちゃったんですね。

レベルで示すならLv.100を超えるものですよ。

家族に恐れられて気付いたら無人の荒野に1人ぽつんだよ。

なんで初級魔術が修得できなかったのかね?

いきなり強力なもん使ったから、弱いものが使えなくなったとか?


◇◆◇


あれから10日たった。

転移だの飛行だの移動だのは全部魔法でやっていた。

そのせいで魔術での詠唱の仕方をすっかり忘れている。

BASICでプログラムやってC言語ならった後に、すっかりBASICを忘れていたのに似ている。

いつの話だ?もうC言語も危ういのに。

そう、危ういといえば魔法が全然使えてない。

魔法を使うときの魔力の動かし方を忘れてきている。

これは不味い。

そもそもなんで魔法が使えない?

前は使えていた。

今は使えない。

変わったものは?

全部ですねぇ……。

服装も髪型も性別も……。


仮説立てて証明をば…。

マジックアイテムは大抵アクセサリ型である。

故にピアスや指輪、髪飾りなどである。

殆どは魔石を削り出してアクセサリに嵌めてある。

封印系の魔石は白色や青色である。

他は面倒だから考えん。

ずぼら天使に思考が似ているが気にしない、気にしない。


…………。


髪飾りしかねぇじゃん。


「外すか……イッテェェェェェェェ!!」


なんだろうね変な感じなんだ。

実に変な感じなんだ。

頭の皮膚と融合してるような感じなんだよ!

諦めんぞ、レーザーで切断なり焼いて溶かすなり方法はあるはずだ。


◇◆◇


あれから思いつく限りの方法を試しましたが、全っ然外れませんでした。

気づけばもう雪が降る季節です。

あまりにストレスが溜まってたので、

某人型の女の子のアンドロイドを真似て星を割ってみようかと思いました。

結果、岩盤は砕けました。

そして温泉が湧いたのでゆったり浸かってます。

なんか雪猿どもが寄ってきたけど。

生憎腹は減ってない。

見逃してやる、お前らもこの温泉を使ってもいいぞ。


「あぁーー、いい湯だぁーー」


そう言えば俺の負債はどうなった?

クロードはちゃんと逃げただろうか?

桜都国とは戦争になってないだろうか。

これは結構心配である。

総力戦になれば白き乙女は桜都を見捨てることになる。

そういう契約だ。

すると桜都側は主戦力はPMSCsだけなので一気に戦力が3分の2になる。

まあ、ぶっちゃけ残り二つのPMSCs、

アウトサイドガーディアンとブロッサムセキュリティは、

月姫隊に3秒で消されるのが落ちだろうな。

1秒で補足、1秒で詠唱、発動、最後の1秒は眺めるだけ。

あいつらの恐ろしさは身をもって体感している。

とある手違いで女湯に叩き込まれて……。

うん、あの時は月まで逃げたよ。マジで。

……桜都国、マジで滅亡してないよね?

してたらちょっと困るよ。

あそこの桜って綺麗だからな。

ずらーっとならんだ桜並木。

とくに如月隊のやつらが使ってる如月寮の桜は……。


そう、木といえばこの森林地帯、

歩けば端から端まで1年かかるそうです。

ゴブリンを拷も……じゃなくて、ちょっと遊んであげたら教えてくれました。

どうも見た目で判断して女だと思ったらしい。

そして下着を盗んでいったもんだからな。

盗まれる側の気持ちがわかりました。

変態は死んでもいいと思います。

ちなみに盗んだほうのゴブリンは行方不明。


◇◆◇


だんだんと雪が積もってきました。

今日は珍しいものを発見したんですねぇ。

黒色のレザーの際どい恰好をした氷漬けのサキュバスなんですよ。

因みに、因みにだけどな、こいつ白き乙女の13番目の部隊の隊長なんですよ。

名前はシャルティ。いっつもふらふらしてて気付けばどこにもいない。

目撃情報が入るたびに捕獲作戦を実行するも逃げられる。よくアカモートのコンビニの前にいるけど……。

隊長がこれだと隊員もあれだと思うだろ?

以外に真面目なんだよ。

全員魔族で魔法は上手い、書類の整理も上手い、他のことも文句言うところはない。

さて、どうしようかね。

死んじゃいないはずだ。

こいつと出会った時もニブルヘイムをこの格好で歩いてたんだから。

こいつを運ぶとペイロード、重量オーバーだ。

俺はしょくりょうを引きずるので精いっぱいだ。

とりあえず春までここで凍っていてもらおう。

……覚えていたら来年掘り起こしに来てやるよ。


◇◆◇


雪が積もる時期になりました。

昨日久しぶりに召喚兵どもが来ました。

6000匹という大群できやがったよ。

単位が違う?匹で十分だあいつらは。

久々にカチンときたわたくし、レイズ・メサイアはアイツを召喚してみました。

雪が積もってるから氷の女王とか破壊神とか呼ばれるアイツですね。

もののついでにバハムートも召喚したら、「ついでとは何だ!」とか怒りましてね。

森の中心から端まで消し飛ばしちゃってくれたんですね。

まあ、そのせいで今こうして戦略級魔法士に追いかけられてんだがな!!


「待て、貴様ぁぁーーー!!」


後ろから飛んでくる尖がった岩の弾丸が怖い。

当たったら多分、体に風穴が空くだろうね。


「待てと言われて止まるバカはいねぇよ!!」


適当に雪を魔術で舞い上げながら逃げる。

正直、戦ってしまえば1秒で仕留める自信はあるよ。

でもね、メティが怖いんですよ。

どこぞのカオスな天使より怖いんですよ。

後で、何されるか分からんのですよ。

今回も性転換されたじゃん、そろそろ次は種族転換とかされそうな気がするんですよ!!

しかも天使のくせして神より強いんですよ!!

そしてあのさぼり癖、上から2番目から下から2番目まで落とされるだけのことはある。

人の命を何とも思ってない。


「どこまで逃げる気かぁー!!」

「どこまででも逃げてやるよ、ほらよ!!」


魔力を圧縮した弾丸を飛ばしてやる。

当たれば怪我はしないけどメチャクチャ痛いよ、あれ。


「ふん、効かん」


さすが戦略級、真っ向から当たって平気か。

さて、どうしたもんかね。

そして前に見えるのはもう1人の戦略級ではないか。

もう、いっそ殺っちゃいますか。


arc(アーク)-en(アン)-ciel(シエル)


俺の周囲に7つのクリスタルが現れる。

虹の色をそれぞれにそのまま使いました、というような色だ。

赤から紫までの7色。

クリスタルからはそれぞれ光を放つことができる。

そしてそれぞれに対応する罪があり、光に触れると感覚を奪われる。

7つすべての感覚を奪われると死ぬ。

光を回避する術はないわけで、俺が所有するチート性能な物の1つだ。

ちなみにメティは例外、当たりません。

おかしいです。


「食らえ」

「光なんざ効かねえよ」

「くそっ。光吸障壁か」


効かない。

かと言ってほかの武器を使えばここら一帯が消し飛ぶ。


――いっそあっち側に逃げるか。


「ちょっと待ってくれませんか。もう戦う気はありません」


両手を挙げて降参するふりをしながら魔力を圧縮する。


「へ、どうした今更降参か?」

「ええ、ここでこれ以上やりあっても利益がないので」

「そうか。じゃあそこから動くなこれから魔封具をつけるからな」


敵が近づいてくるが問題ない。

ちょうど魔力の準備は整った。

一気に解放すれば空間に穴をあける程度はなんとかなる。

後はメティの力でも頼りに飛べば安全なところに出られるだろう。


「残念でした。まだ捕まらねえよ!」


魔力を開放する。

膨大な魔力の圧で服が破れる、足元の雪が舞い散る。

そして出現した穴に飛び込む。


「まて貴様ぁぁーーー!!」

「じゃあなーー」


真っ黒な空間に飛び込んだ。

本来なら中継界イーサっていう世界をつなぐ場所を通らないといけないが、一部のやつらはそれを無視する。俺もその一人だ。

さて、何か頼りになるものを探さねばこのまま次元の狭間を揺蕩うことになる。

某剣豪のようにはなりたくないからな。

何かないか?

軽くあたりを見回す。

すると邪な光が見えた。

あれはメティがたまに書く魔導書か……。

ということはまた被害者が……。


光に向かって何もない空間を泳ぐ。

やがて光に触れると一気に景色が変わる。

周囲を囲むのは巨大な氷の壁。

そして真下にはさえない見た目の人間がいた。

ガツンッ!

まっすぐに落ちた俺はそいつに直撃した。

そしてそいつの腰にぶら下がっている魔導書が目に入る。

――こいつが今回の被害者か……。

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