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プロローグ
世界に異変が起き始めたのは数年前。
突然、山が燃えたりー
海が凍てついたりー
建物が消失したりー
人に異変が起き始めたのは去年ー
謎の錯乱によって暴徒と化したりー
『死ぬ』のではなく『消滅』したりー
世界は着々と壊れ始めていた。
しかし、人々はのんきに生活を営んでいた。
「学校が無くなって休みって…」
「おかしいよね。私たちが小学生くらいまでの頃だったら、小説の中の出来事だったのにね。今じゃなんともないし…」
「ましてや、人だって消えるしな。今日までで何人クラスメイト減った?」
「5人。もはや世界の終わりも近いかもね。」
黒髪の少年が隣を歩く茶髪でポニーテールの少女と話しながら歩く。
「ねぇ、刹。」
「なんだよ?」
「私が消えたら悲しい?」
少女が何処か寂しそうに言った。
「当たり前だろ?自分の親友に消えられたら誰だって悲しいよ。」
刹は顔を少し赤くしながら少女に言った。
「そっか…」
相変わらず悲しそうな目をする少女。
刹も薄々分かっていた。彼女ー本王寺遊が自分に好意を寄せていることはー
しかし、恥ずかしく、なんとなくぎこちない為に、気付かないフリをしていた。