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杯を交わす・・・・これが、この黒歩の入学のしきたりらしい。
「それでは、希里君。カンパーイ!!!」
「か、乾杯」
俺と、萌黄先生の杯の音が響き
先生は酒を。俺はオレンジジュースを飲み干した
なんか、俺が思っていた《杯を交わす》とかなりかけ離れていた
むしろ、ユルい感じでよかったのか・・・?
「萌黄先生、勤務中に飲酒していいんですか。」
ふとした疑問。
「心配ないさ
この学園の教師は、みんなお酒に強い人ばっかりだから大丈夫に決まってるレロ・・」
「完璧、先生ラリってるんですが!!!!!」
「まぁまぁ、それよりはやく教室に行こうか」
萌黄先生は千鳥足ながらも、職員室のドアをガラっと開け、廊下に出る
職員室の隣にある、俺が今日から転入するクラス「1年拾組」
どんな人がいるか、心配だ・・・ただでさえ危険な学校だっていうのに。
「おはようございます」
萌黄先生の明るい挨拶で俺も教室に入場
あぁ、どうしよう椅子とか机とか投げられたら!!!
多分今の俺はビクビクしまくっていると思う
「あざーす」
「おはようございます」
「good morning!!」
「あ、もしかしてその子転校生??」
恐る恐る目を開けると、その教室には至って普通の生徒たちがいた
誰も制服を乱してはいないし、そこまで怖い雰囲気がない
「すごい」
俺は、感動を覚えた。
「おーい!!」
阪本くんが俺に向かって手をブンブンと振っている。席は一番後ろだ。
「みなさん、今日からこのクラスで一緒に勉強することになった
五反田希里君です。」
「五反田希里です、よろしくお願いします!!!」
クラスの人の反応は、俺が思っていたよりは良い
中には拍手してくれる人もいたし。
「んで、センセ。どうするんですか?転入した五反田くんも参加して学級委員長決めするんすか?」
一番前にいた男子が、質問した。
「あぁ、そういえば!!そういうことになりますね。でも本人の意志を聞かないと・・・。
希里くん?」
「はい?」
萌黄先生が、俺をニコニコの笑顔で見つめていた
嫌な予感がするような、しないような・・・・
「希里君は、このクラスの学級委員長になりたいですか?」
「が、学級委員長ですか?」
拍子抜けな質問だった。しかも、いきなりだし
「学級委員長って他の委員よりめっちゃ楽やで」
阪本くんがそう叫んだ
「そうそう」
他の生徒もそう促していた
「五反田くんにやってほしいな」
「俺も、同感!!」
「私もそう思う」
こんなに人から、推されたことはない。だから気分が良いな
「や、やってみようかな」
「やりますか?」
1分間ぐらい、考えた。そして出た答え・・・・
「やり・・ま、す。っていうかやってみたいです・・。」
その言葉を俺が言った瞬間、ただならぬ殺気を感じた
それと共に、クラス人が歓声をあげた
「はじまるぞーーーーー!!!学級委員長決戦!!」
は?何っていった
「学級委員長はクラスで一番強力なボス的存在。つまり、学級委員長になるってことは
このクラスで一番強い人が相応しいわけです。
まぁ誰が一番強いかを証明するのが戦闘っていうわけなんですよねー。」
萌黄先生、あんた説明も軽すぎます
「簡単に言えば・・・・・・
俺が学級委員長になるためには、このクラスの全員と戦って頂点を取れと!?」
「いやいや、全員じゃないよ。もう他のみんなは入学してすぐに、戦闘し合ったから
今の頂点は決まっているんだ。しかも学級委員長決戦は勝ち抜き戦。
希里君が学級委員長になるために戦うのは、現学級委員長である・・・・
四ヵ羽美空さんとだ。」
コツコツ
コツコツ
俺に向かって近づいてくる足音。
「君、私と戦いたいんだって?」
その凛とした声が、静寂を生んだ