オルゴールが止まるまで
ちきちきちき。
ねじが回される。
オルゴールの蓋の上で、王子様とお姫様が踊っている。
初めてこのオルゴールを貰ったのは歳の誕生日だった、可愛い王子様とお姫様が踊るのが嬉しくて、どこに行く時も持ち歩いていた。
歳のある日ずっと空き家だった家に、若い夫婦と犬が引っ越してきた。
その犬は初めて私を見た時から、ぐるるるると唸って、激しく吠えたてた。
私は怖くて泣いてしまった。
家に戻ってから、オルゴールを回す。
ちきちきちき。
王子様とお姫様に、「お隣の家怖いよ」と言った、次の日幼稚園に行く時もママの方は見ないで、私の方だけ見て犬は吠えたてた。
慌てて犬が見えなくなるまで、走って逃げたけれど、ママは「お隣の犬ご機嫌が悪かったねえ」
なんて微笑ましく笑っている。
私はその日も家に帰ったらオルゴールを鳴らしながら、「隣の犬が怖いの、いなくなればいいのに」
と泣いていた。
日目事件は起きた、隣の犬が誰かに毒殺されて死んだらしい。
私は、死ぬなんてあんまり意味もわかってなかったから、犬がいなくなって内心喜んでいた。
小学校に入学した。
クラスのなかでボスみたいに威張ってる、花山 らぶちゃんが、私の持ってる筆箱が可愛いからと言って、先生に「こんなの持ってきていいんですか?勉強に力が入らないと思います」
なんてくだらないことを言ったせいで、先生に「違う筆箱を持ってきなさい、それからみんなも、キャラクターのある文房具はだめだぞ、無地にしなさい」
と宣った。
みんな文句を言っていた、らぶちゃんが悪いのに私のせいになっていた。
帰ってオルゴールを鳴らす
ちきちきちき。
今日あったことを泣きながら話した、
「らぶちゃんなんて大っ嫌い、先生も大っ嫌い!」
次の日みんなに囲まれて、「お前のせいで、文房具買い直しになっただろ」
「そうよ!うちのお母さんだって怒ってたよ」
「お前のせいだ!」
らぶちゃんを見るとほくそ笑んでいた。
分休みに席に戻ると机に「おまえのせいだ」と鉛筆で書かれていた。
悔しくて、泣きながら消しゴムで消した。
家でオルゴールを鳴らす。
ちきちきちき。
踊り続ける王子様とお姫様に泣きながら話しかける。
「らぶちゃんなんて大っ嫌い!いなくなればいいのに」
次の日学校に行くと「らぶさんは大きな病気が発覚して、当分入院することになった」と先生が言った。
その後らぶちゃんを見ることはなかった。
中学生になった、オルゴールの調子が悪かったから、パパに頼んで修理に出してもらうことにした。
とても寂しい。
しばらくしてオルゴールが、ぴかぴかになって帰ってきた。
私はおかえりなさいとオルゴールに言った、王子様とお姫様も嬉しそうに見えた。
同じクラスの八神君に告白された。
好きじゃなかったけど、好奇心で「はい」
と返事をした。
その日は一緒に帰った。
次の日学校に行くと、黒板に八神白鳥結婚おめでとう!
なんて幼稚なことが書かれていた。
八神くんが教室についてそれを見て「白鳥みたいなぶすと付き合うわけないだろう、罰ゲームだ!」
と言うと教室にいた何人かの男子が大笑いしながら「ばらすの早すぎ!」
と騒ぎ立てた。
その日は悔しくて悔しくてたまらなかった。
帰宅後私はすぐにオルゴールのところに行った。
ちきちきちき。
「八神君酷すぎるよ……死んじゃえばいいのに」
その日の夜保護者は騒然としていた。
八神君が学校の帰り道トラックに轢かれて、亡くなったと。
私は「天罰が下ったんだ」と思った。
高校生になった。
クラスで一番モテる神崎君が付き合って欲しいと言ってきた。
中学の時のことがあったので、「何?罰ゲーム?」と言うと。
神崎君は「真剣なんだ、付き合って欲しい」ともう一度言ってきた。
私は少し警戒しながらも付き合うことに決めた。
それからは楽しい毎日だった、バイトしたり、神崎君と下校したり。
デートにも何回も行った、すごく充実した毎日だった。
ある日トイレの手洗い場で、隣のクラスの女の子に「絶対許さない、神崎君は私のもの」
と言われた、しばらく様子を見ていたら、ボディタッチ、積極的に話しかける、思わせぶりな態度をとる。など神崎くんに粉をかけていた。
私はその日神崎くんと帰らず、急いで家に帰ると。
ちきちきちき。
オルゴールを回す。
「あの女本当に腹が立つ、目障り、死んじゃえばいいのに」
と言った。
オルゴールのダンスを止まるまで見ていた。
次の日学校は休みになった。
あの女が通り魔に滅多刺しにされて亡くなったそうだ。
昔から、私の宝物のオルゴールは、いつでも私の言うことを聞いてくれる。
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