第8話:隊商(たいしょう)の到着(とうちゃく)
翌朝。
アルメリア村はいつもより少し騒がしかった。
村の入口の方から、車輪の音が聞こえてくる。
ゴトゴト……ゴトゴト……
「来たぞ! 隊商だ!」
誰かの声で、村人たちが一斉に集まり始めた。
悠斗も興味を持って外へ出る。
「これが……隊商か」
村の道に入ってきたのは、三台の大きな荷馬車だった。
荷台には木箱や袋が積まれている。
馬車の周囲には、武器を持った護衛の冒険者たちもいた。
「おーい、村長!」
馬車から降りてきたのは、恰幅のいい中年の男だった。
「久しぶりだな、グラン!」
村長が手を振る。
「今年も来てくれたか」
「まあな。商売だからな」
グランと呼ばれた商人は笑った。
村人たちは荷馬車を囲む。
「布はあるか?」
「塩は?」
「道具は持ってきたか?」
まるで小さな市場のようだった。
悠斗は少し離れた場所からその様子を見ている。
その時。
「……あれ?」
ふと、誰かの声が聞こえた。
振り返ると、一人の少女が立っていた。
銀色の髪が風に揺れている。
澄んだ青い瞳。
軽い革鎧を身につけ、腰には細い剣。
明らかに戦える装備だった。
「あなた……」
少女は悠斗をじっと見つめている。
「見ない顔ね」
悠斗は苦笑した。
「昨日この村に来たばかりだから」
「旅人?」
「まあ、そんな感じかな」
少女は腕を組んだ。
「ふーん」
少し考えるような表情。
そして突然言った。
「あなた、錬金術師?」
悠斗は驚いた。
「え?」
「さっき聞こえたの。村人が話してた」
「ポーションを作ったって」
悠斗は頭を掻いた。
「まあ……少しだけ」
少女の目が少し輝く。
「すごいじゃない」
「錬金術師って珍しいのよ」
悠斗は少し気になった。
「君は?」
少女は胸を張る。
「私はリリア」
「隊商の護衛をしてる冒険者よ」
悠斗は少し驚いた。
「冒険者?」
「そう」
リリアは笑った。
「まだ新人だけどね」
その時。
遠くから声が聞こえた。
「リリアー!」
商人のグランが手を振っている。
「そろそろ荷物降ろすぞ!」
「はーい!」
リリアは軽く手を振り返した。
そして悠斗の方を見る。
「ねえ」
「もし都市に行く予定なら――」
リリアは少し笑った。
「私たちの隊商と一緒に来ない?」
悠斗は少し驚いた。
都市へ行く方法。
それが――
目の前に現れたのだった。




