第7話:村(むら)の錬金術師(れんきんじゅつし)
アルメリア村の小さな診療所は、いつもより少し騒がしかった。
「本当に治ったのか?」
「さっきまで足を引きずっていたのに……」
村人たちは驚いた顔で少年を見ている。
少年は元気に立ち上がり、その場で軽く跳んでみせた。
「ぜんぜん痛くない!」
その言葉に、村人たちはざわめいた。
「すごい……」
「こんな薬、見たことがないぞ」
村長は腕を組みながら、悠斗を見つめる。
「悠斗くん……君は錬金術師なのか?」
悠斗は少し考えた。
隠しても、もう意味はないだろう。
「はい。一応……錬金術が使えます」
その瞬間、村人たちが一斉に驚いた。
「錬金術師!?」
「こんな村に!?」
村長も目を丸くしていた。
「錬金術師は都市でも珍しい存在だぞ……」
悠斗は苦笑した。
「まだ見習いみたいなものです」
本当は女神の力だが、説明できるわけがない。
村長はしばらく考え、やがて大きく頷いた。
「ならば――お願い(ねが)いがある」
「お願い?」
「この村には薬師がいない。もしよければ、薬を作ってくれないか」
悠斗はすぐに答えた。
「もちろんです」
薬草さえあれば、ポーションは作れる。
むしろ練習にもなる。
それから数時間後。
悠斗は村人たちから集めてもらった薬草を机の上に並べていた。
心の中で呟く。
「分析」
すると、薬草の情報が頭に浮かぶ。
【回復草】
軽傷回復
【緑葉草】
疲労回復
「なるほど……」
悠斗は静かに頷く。
「錬成」
淡い光が机の上で輝いた。
数分後。
机の上にはいくつもの小瓶が並んでいた。
「すごい……」
村人たちは驚いている。
「こんなに作れるのか……」
悠斗は少し笑った。
「材料があれば、まだ作れますよ」
その時。
村長がふと思い出したように言った。
「そういえば……」
「明日、この村に商人の隊商が来る予定なんだ」
「隊商?」
「都市から来る行商人だ。数ヶ月に一度だけ立ち寄る」
悠斗の目が少し輝く。
「都市から……」
つまり、情報も物資も手に入る。
もしかすると――
この世界について、もっと知ることができる。
村長は微笑んだ。
「もしよければ、君も会ってみるといい」
「その隊商は、王都まで旅をしているからな」
悠斗は小さく頷いた。
「分かりました」
まだこの時、悠斗は知らない。
明日やって来る隊商の中に――
彼の運命を変える出会いが待っていることを。




