第14話 最初(さいしょ)のポーション
翌朝。
アルメリア村はいつも通り静かな朝を迎えていた。
鶏の鳴き声。
風に揺れる畑。
村人たちはそれぞれの仕事に向かって歩いている。
悠斗は村長の家の前に立っていた。
昨日の話を受けて、村長ロイドが呼んだからだ。
「おはようございます」
家の中に入ると、ロイドが椅子に座って待っていた。
「おお、悠斗君」
「来てくれてありがとう」
悠斗は軽く頭を下げる。
ロイドは机の上に置かれた袋を指さした。
「これは薬草だ」
「森の近くで取れる簡単なものだが……」
ロイドは少し困ったように笑う。
「この村には薬師も錬金術師もいない」
「だから怪我をした時は、煮て飲むだけなんだ」
悠斗は袋の中を見た。
緑色の葉。
小さな赤い実。
(なるほど)
悠斗は心の中でスキルを使う。
(分析)
視界に文字が浮かんだ。
薬草
回復効果あり
作成可能
・初級ポーション
悠斗は思わず驚いた。
(本当にポーションが作れる……)
ゲームではよくあるが、実際に作るとなると話は別だ。
ロイドが尋ねる。
「どうかな?」
悠斗は頷いた。
「作れると思います」
ロイドの目が大きく開かれる。
「本当か?」
悠斗は袋から薬草を取り出す。
そして静かに呟いた。
「作成」
淡い光が薬草を包む。
数秒後。
悠斗の手の中には小さなガラス瓶が現れた。
中には淡い緑色の液体。
ロイドは驚いて立ち上がる。
「おお……!」
「これがポーション……!」
悠斗は瓶を見つめる。
(これが回復薬か)
ロイドは慎重に瓶を持つ。
「少し試してみよう」
ちょうどその時、外から声が聞こえた。
「村長!」
一人の村人が慌てて入ってくる。
「畑で転んで腕を切った!」
ロイドは悠斗を見る。
悠斗は頷いた。
「ちょうどいいかもしれません」
村人は腕から血が出ていた。
ロイドはポーションを差し出す。
「これを飲んでみてくれ」
村人は不思議そうな顔をしたが、瓶を飲み干した。
その瞬間。
傷がゆっくりと光る。
そして――
血が止まった。
「おおっ!?」
村人が驚く。
「痛みが消えた!」
ロイドは目を丸くした。
「これは……すごい」
そして悠斗の方を見る。
「悠斗君」
「君はこの村の宝だ」
悠斗は苦笑する。
(宝って……)
だがその時、悠斗はまだ知らなかった。
このポーションが――
アルメリア村の未来を大きく変えることになることを。
そして近い将来、
このポーションを求めて 商人のキャラバン が村にやって来ることを。




