第13話 村長(そんちょう)への報告(ほうこく)
アルメリア村の中央には、小さな広場がある。
普段は子供たちが遊んでいる場所だが、今は多くの村人が集まっていた。
理由は一つ。
ゴブリン討伐だ。
カイルたちが持ち帰った袋の中には、十匹以上のゴブリンの耳が入っている。
村人たちは驚きながらざわめいた。
「こんなに……?」
「森の近くに群れがいたのか……」
その時、人々(ひとびと)の間から一人の老人が現れた。
白い髭。
落ち着いた目。
アルメリア村の村長――
ロイドだった。
ロイドはゆっくりとカイルたちに近づく。
「よく戻った」
カイルは軽く頭を下げた。
「森の浅い場所で群れを見つけました」
「数は十匹以上です」
その言葉に、村長の表情が少し厳しくなる。
「……多いな」
「巣がある可能性が高い」
村人たちの顔に不安が広がった。
だがその時。
ガルドが口を開く。
「だが、今回は被害はない」
「それに――」
ガルドは悠斗の方を見た。
「この少年のおかげだ」
村長の視線が悠斗へ向けられる。
「ほう?」
悠斗は少し緊張した。
ロイドは静かな声で言う。
「君が、悠斗君だね」
「最近、村に来たと聞いている」
悠斗は頭を下げた。
「はい」
カイルが説明する。
「戦いの途中で、ユウトが火を使った」
「ゴブリンたちが混乱して、俺たちは助かった」
村長の目が少し細くなる。
「火……?」
リナが言った。
「錬金術みたいでした」
その瞬間、周囲が静かになった。
村人たちは驚いた顔で悠斗を見る。
「錬金術師……?」
「この村に?」
村長はしばらく黙っていたが、やがて言った。
「悠斗君」
「少し見せてもらえるかな?」
悠斗は迷った。
だが――
ここで隠しても意味はない。
「……分かりました」
悠斗は地面に落ちていた小さな石と木の枝を拾う。
そして静かに呟いた。
「作成」
淡い光が手の中で輝く。
数秒後。
悠斗の手の中には小さな瓶が現れた。
村人たちは息をのむ。
「おお……」
「本当だ……」
村長は深く頷いた。
「なるほど」
「確かに錬金術だ」
そして、少し笑う。
「悠斗君」
「もしよければ、この村で錬金術を使ってくれないか?」
「薬や道具を作れるなら、村は大いに助かる」
悠斗は少し考えた。
(しばらくこの村にいる予定だし……)
そして答える。
「はい」
「できる範囲で手伝います」
その言葉を聞いた村人たちは歓声を上げた。
「助かる!」
「薬が作れるならありがたい!」
村長ロイドは満足そうに頷く。
だが同時に、ある考えが頭に浮かんでいた。
(この少年の力……)
(いつか村の外でも必要になるだろう)
それが――
後に悠斗が 商人のキャラバン に乗るきっかけになるとは、
まだ誰も知らなかった。




