第11話 錬金術(れんきんじゅつ)の力(ちから)
森の奥から現れたゴブリンの群れ。
十匹以上。
その光景を見て、リナの顔が青くなった。
「こんなの……聞いてないよ……」
ガルドが低く唸る。
「数が多すぎる」
カイルは槍を構えながら言った。
「退くか?」
だが、その時。
悠斗の頭の中で、静かな声が響いた。
――生産スキルを使用しますか?
悠斗は一瞬驚く。
(生産スキル……)
女神ルミナリアが授けてくれた力。
材料があれば、様々(さまざま)な物を作れる能力。
悠斗は周囲を見渡した。
足元には石。
乾いた木の枝。
そして――
落ち葉。
(……もしかして)
心の中で命令する。
(分析)
視界に文字が浮かんだ。
素材
石
木の枝
乾燥葉
作成可能
簡易火炎瓶
悠斗は思わず目を見開いた。
(火炎瓶……!?)
まさかこんなものまで作れるとは思わなかった。
その間にも、ゴブリンたちは迫ってくる。
「来るぞ!」
カイルが叫んだ。
悠斗は素早く素材を拾う。
そして、小声で呟いた。
「……作成」
その瞬間。
淡い光が悠斗の手を包む。
気がつくと――
手の中には、小さな瓶があった。
中には赤い液体。
(本当に出来た……)
だが、感動している暇はない。
ゴブリンがもう目の前まで迫っていた。
悠斗は瓶を強く握る。
そして――
「行けっ!」
ゴブリンの群れに向かって投げた。
瓶は地面に当たる。
パリンッ!!
次の瞬間。
ボォォッ!!
炎が広がった。
「ギャアアッ!!」
ゴブリンたちが悲鳴を上げる。
火を恐れる魔物たちは一斉に混乱した。
カイルが驚く。
「今のは……!?」
ガルドが叫ぶ。
「今だ!!」
三人は一斉に突っ込んだ。
混乱するゴブリンたちはまともに戦えない。
ガルドの剣。
カイルの槍。
リナの矢。
次々(つぎつぎ)とゴブリンを倒していく。
やがて――
最後の一匹が倒れた。
森は再び静かになった。
ガルドは息を吐く。
「助かった……」
リナは悠斗を見つめる。
「ユウト……今のって……」
カイルも真剣な顔で言った。
「お前、ただの村人じゃないな?」
悠斗は少し困ったように笑う。
「……ちょっとだけ、錬金術が使えるんです」
三人は顔を見合わせた。
そして次の瞬間。
「「「えええええ!?」」」
森に大きな声が響いた。




