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63…行 追憶 動

次の日の朝、屋上に行くと椎名さんがいた。

流石に覚えてたらしく会話した。天才少女はどんなにことを話すのかと身構えていたが、登校中に猫がいただの睡眠学習の効率的なやり方だの結構頭悪そうな話題が多かった。


それから数日そんな日を続けた。

オレは授業が始まると教室に戻るが椎名さんはいつも一限をサボって寝ていた。夜遅くまで勉強してるから疲れてるんだろう。テストで点が取れてる以上先生が注意することも無かった。


そして土日を挟み今日は月曜だ。

さすがに覚えてるよな…屋上に行くと椎名さんがいた。こちらから声をかけるか

「おはよ!」


「おはよう、植野くん」


「良かったぁ忘れられてるかと思ったよ。」


「忘れるわけないよ…」

今表情一瞬暗くならなかったか?いやでもオレのことは覚えてるし気の所為か?


会話をしていつものように授業に戻った。

そして休み時間になる。流石に10分休みにわざわざ屋上にはお互い行っていないので各々教室ですごしている、

「なぁミナト、平和だな」


「またそれ?あなたがそういうこと言うと何か起こるイメージあるから何も言わないで」


「はいはい、ていうかさ椎名さんの話、お前に良くしてるじゃん。記憶なくなるってどういうことなんだろうな。」


「知らないわよ。ていうかあなたも能力者になる前に死んだ人の記憶ないでしょ?それと同じじゃない?」


「た、確かに…いや待て違うだろそれは、椎名さんは自分一人だけ記憶ないんだから」


「それもそうね。あ、そういえば、思い出させてくれる人いたわ!」


「何を?」


「失った記憶をよ、椎名さんと今度いってきたら?」


「そんな都合のいいことが…」


「あ、かなりお金がいるみたいだからそこはどうにかしなさい。」


「無理やんけ。貯金3万だわ」


「能力使って稼ぎなさいよ。バカね、」


その手があったか宝箱からはちょくちょく刀やナイフが出てくるし金になるぞ!

「おっしゃ、宝箱で稼いだるわ。」


『宝箱』を使用!

宝箱の中身は…オシャレな形をしたナイフだ!

早速査定に出すと…800円で売れた…


「はぁ、大金が楽に稼げそうなめちゃくちゃな能力のやついねぇかなぁ」


そんなヤツいるわけねぇ。めちゃくちゃな能力のやつがいたとしてもそんな金持ちに関わりなんてあるわけないな。ん?めちゃくちゃな能力…


「あ、一人いたな」

そいつの家に向かって歩き出す。

呼び鈴を押してしばらく待つと


「お前、佐藤?めちゃくちゃ痩せてね?」


「ケテ…ンゴ…タスケテンゴ…能力使ったら…ンゴ…痩せないとになって…ツラインゴ」


「何やってんだか…そんなことよりこの800円1億円にできない?」


「無理だろンゴ…まぁ一応挑戦はするけどンゴ」


「悲報、スクラッチくじ2枚買ったらどっちも300万円で600万臨時ボーナスが入る。」


「…お前ってやっぱすごいな、」


「300万手数料でよこせンゴ」


「…それじゃあな。もう二度と合わねぇかもな」


「おいンゴ!」


宝くじを買うとしっかりと600万になった。明日椎名さんを誘って行ってみるか。


次の日

「ねぇ記憶を蘇らせてくれる。能力者がいるらしいんだけど行ってみる?」


「能力者?あぁ前に言ってた…本か何かの設定だと思ってたよ…」


「やっぱ記憶無くなってんのか…」


「うん…ごめんね。えーえっと行ってみようかな。家族のこと思い出せるかも知れないなら…」


「よし、じゃあ放課後行こうぜ。」

家族ね…記憶が無いからいつからいないのか分からないのか…辛いだろうな…



その日の放課後

二人で行こうとしたが道が分からずミナトに案内をしてもらう事になった。どうやらミナトを見た事は忘れてたけど名前は覚えてたらしい。


歩いて30分ほど移動してやっと着いた。ミナトと言い争ってばっかで気づかなかったが椎名さんすごい不安そうな顔してる。


せめてオレは明るく行動するか…

「ここがその店?普通に喫茶店にしか見えないんだけど」


「入ればわかるわよ。」


ドアを開けると強面の男がたっていた。店ミスったな帰りたい。

「らっしゃい」

ていうか喫茶店だよな?らっしゃいってなんだよ寿司屋かよ。マグロ頼んでみるか?いやこれはきっとハンター試験みたいなもんだ。


「へい大将、お寿司を弱火でじっくりコトコト煮込みで」


大将がニヤッと笑う。

「奥の部屋へどうぞ」


マジか適当に言ったら通じた。さすがオレ!


「私が予約してたから、あの人が私たちを鑑定して名前が一致したから入れてくれたのよ。」


え、あ、オレは結局醜態を晒しただけか…


奥に進んでいくと今にも死にそうな老人がひとり座っていた。

「じいさん生きてる?あんたが思い出させてくれる人?」


「そうじゃ、それで誰のどの記憶じゃ?」


「この子と家族の記憶をお願いしたい」


「なんだそんなことか…5万でいいぞ」


お金を手渡す。

「椎名さんどうする?まだ引き返せるよ」


「大丈夫…ちょっと怖いけど家族のこと思い出したいから…」


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