33…家 親友 族
「やったか?」これはフラグのように感じるが現実では意外と死んでいる。現に今も福澤は間違えなく倒れた。
「自分が確認してみるっす」矢吹が倒れている福澤の元へ確認に行く
福澤の手がわずかに動く
「矢吹!さがれぇー」
福澤は最後の力を振り絞り矢吹に炎を浴びせた。矢吹は物理攻撃は効かないが炎は…
矢吹は真っ黒になり倒れた。
「矢吹!生きてるか?」
「っ…て」まだ息はある。
「佐々木、能力を使ってくれ。」
「い、生きてる人には無理ですよ」
まずいまずいミナトか?
ミナトの方を見るが首を振られた。
機械音のようなものが鳴り響く
「ゲームは中断されました。生存者は全員元の場所に返されます」
「おい、待てぇ!何中断してんだよ」先輩の声が聞こえる。こいつが中断したんじゃないのか?
しばらくして目を覚ますと最初に矢吹たちと戦った道に戻っていた。
「先輩!先輩!」後ろを振り返るとやけど1つない矢吹が白髪まみれの人に話しかけていた。
「な…ぎ……ごめん…な」
ナギは矢吹の下の名前…あいつはオレと戦った先輩なんだな。
ミナトが矢吹にナイフを渡す。
「先輩……息があるうちに殺すっすよ」
衰弱死だと生まれ変われないが、能力者の手で殺せば生まれ変われる。
「つぎは…ふつ……いき…た…」
「今までありがとうっす、先輩」
矢吹は静かにナイフをおろした。何も言わないしこちらからは表情は見えない。ただ鼻水を啜る音だけが暗闇の中で響いた。
「私たちは帰りましょう」ミナトの言葉でオレは2人に背を向け歩きだした。
家に着くとすぐに自分の部屋に入った。
ベットで横になると今日死んだ人たちのことを思い出す。
どのタイミングからだろうか人が死んでも驚かなくなったのは、自分が死ぬより自分が変わってしまうことの方が怖い。
あの時、死んでても結局自分が変わるだけなら今と変わらないな…
「ツバサー、ご飯よー」お母さんの声が聞こえてくる。そういえばあの空間に半日ぐらいいたと思うのに時間たってないしお腹空かなかったな。
あんまご飯の気分じゃないし寝たフリでもしとくか。
ダダダダという階段を上る音が聞こえてくる。
今1番会いたくないやつだな
「お兄ちゃんご飯だよ。早く下来てよ」
「あー今日外で食べてきたからいいって行ってきて」
「無理、一日4食、5食平気でしょ。早くして」
「無理だ」
もぞもぞとベットの中に妹が入ってくる、
「じゃあ私もご飯食べないよ?」こういうのがだるいねん。道連れ罪悪感やめろ
「早くしないと大声だすぞ」
「大声上げて困るのはお兄ちゃんでしょ?ご飯の代わりに妹食べてましたって親に言うの?」
「わかった、わかった。ご飯食べればいいんだろ」
「分かればよろしい、今日のハンバーグ私がこねたんだぁー」
ベットから起き上がり階段をおりる。
「チーズ入れたか?」
「あー、忘れた…食べてみてからのお楽しみ」
小声で忘れたって言ってるの聞こえてるぞ…まぁいいや
食卓に着くと
チーズが上に乗ったハンバーグが置かれていた。やっぱり入れ忘れたんだな。
「遅い、もう冷めちゃうから早く食べましょ」
いただきますを済ませ食べる。1口ハンバーグを口にした瞬間トイレに駆け込んだ。
まずかった…わけではなく涙がでてきたからだ。なんで涙が急に出てきたか分からないが止まらない。
しばらくして再び食卓に戻ると、心配したような顔で見られた。
「大丈夫?」
「大丈夫、大丈夫お腹痛かっただけ」
「おにぃ…なんでもない」
食事が終わり再び部屋に戻る。
また妹がやってきた…
「何かあった?」
「なんもないからでていけ1人になりたいんだよ」
「目が真っ赤だよ。お母さんは気を使ってなにも言ってなかったけど」
「なんもねぇーよ。花粉症だよ」
「今もう夏だよ。」5月だわ全然花粉も飛んでるだろ
「まぁ後で遊んでやるから」そんなことを言いながら部屋を追い出した
「シコシコする時以外は2人でいた方が楽しいじゃん。いやむしろどんな時でも2人の方が楽しいじゃん」なんかやばいことを叫んでるが無視だ無視、
「明日、先生に相談するか…もう先生も事情を理解しているはずだしな。」独り言をつぶやくとドアの外から
「冗談だよぉー」妹は叫びながら自分の部屋に戻って行った。
そのことではなかったが邪魔なのはいなくなった。
この先もずっとこうやって命を狙われるなら死んだ方が楽な気がしてきてしまう。
次の日学校に行くと
「転校生が急遽来ることになった。入れ」
このタイミングで転校生かよ。
ドアを開け転校生が入ってくる。顔を見て思わずため息がでる。はぁ〜
「さ、佐々木 咲 です。お願いします」
拍手が鳴り響く。佐々木かよ…
転校生紹介というビッグイベントを含めた朝のショートが終わり
職員室に帰ろうとする先生に話しかける
「昨日の事なんですけど…」
「授業で分からないことでもあったか?」
「いや、放課後ですよ。冗談きついっすよ」本当に分からなそうな顔をしている。
「なんでもないです」
「ミナト少しいいか?」
人気のない別棟に連れていく
「ミナト、昨日のこと覚えてるか?」ミナトもキョトンとした顔をしているまさか…
「バカにしてるの?当たり前じゃない」
よかった…先生のことを話す
「もしかしたら、能力者以外は記憶が残らないのかもね」
「そうか…」
「そんなことより、あなたレベルが上がったわよ。新しい能力が貰えると思うわ」




