29…処 執行 刑
勝利したオレたちには1つ大きな選択がある。
それは負けた9人のうち誰を生き残らせ誰を見殺しにするかだ。
助けられるのは1人だけ…
「敗者は今から自己PRをしてくださいね」
主催者が言うと1番だったやつがスクリーンに映る
「お、俺は足に自信がある。生き残らせてくれればなんでも言うこと聞くぞ…聞きます。どうか俺を助けてください」
2番佐々木だ
「私は何もできません。多分ここで死んじゃいますね。」妙に潔いいな
3番斉藤
「私を助けてよ!何でもするから!お願い」ヒステリックに叫んでいる
4番白倉
「自分は念動力を初めとするいくつかの能力を持っています。きっと皆さんのお役に立てます」
5番
「私は勉強に自信があります。頭を使う競技なら皆さんをサポートできます。なにとぞお願いします」頭を下げている。
6番福澤
「私死にたくない…ママ助けて…」
嘘かホントか分からない結構こいつサイコだから
7番中本
「できればまだ死にたくない。俺はお前らより強いから俺を選べ」この土壇場でこの高圧的態度なかなかの大物だな
8番
「私には妻と息子がいます。息子は15歳で受験の大事な時なんです。こんな時に私がいなくなってしまったら…お願いします」頭を床に擦り付け土下座している
9番山田
「俺の事選ばなかったら全員呪い殺すからな。絶対だからな」目がキマってる。ほんとに呪われそう
「これで以上だ。後は勝者が10分以内に話し合え」
こうして見ると全員雷神の豪速球をバントしまくってたせいで手が赤く腫れてるな。アドレナリンがでて痛みを感じていないのだろう。
「みんな誰を助けたい?」清水が聞くと点々と皆が答える
雷神、福島先生、矢吹、ミナトはどうでもいいとのことだ。
ルカルナは出来れば歳の近い佐々木か斉藤がよく
佐藤は福澤以外なら誰でもオーケー
清水は決められないとのことだ。
オレは感情だけで判断するなら8番かな
「なぁ、次の競技が協力とは限らない。下手に強い中本、白倉、福澤を選ぶのは悪手じゃないか?」
オレが言うとルカルナ、佐藤はそれに納得してくれた。
他の奴らは本当にどうでもいいらしく話にすら参加しない。
清水が俯いて何も言わない
「どうした?清水さん」
「ごめんちょっと僕無理だ」そう言うと隅っこに走っていき嘔吐を繰り返している。
「なぁ、ミナトなんで吐いてるんだ?」
オレが聞くとキョトンとした顔で答える
「人が死ぬからじゃないの?」
「あ、そっか」これから人が8人死ぬのにあまり抵抗がなかった。いつからだ?人が死ぬことに抵抗がなくなったのは?
いや今はそれより
「あと5分しかない、そろそろ決めるか」
「清水があれだからオレが話すが、斎藤か佐々木にしようと考えている。意見があるやつはいるか?」
誰も何も言わない
「じゃあ、どっちする?」
誰も何も言わない
これじゃあ埒が明かない。
「お前ら人の命がかかってるだからちゃんと話聞けよ。」
「ツバサくんが決めたまえ、私たちは命価値が分からないからな」雷神が口を開く
「それは1人じゃ決められない…」
「もう時間はない。自分で決断してみたまえ」
どっちだ…どっちが正解だ?
「オレは佐々木を提案する。佐々木はおそらく命の価値が分からない側の人間だ。生き残るために必要な決断ができる。そして戦えばオレたちが勝てる戦力差がある。」
「あなたも命の価値がわかってないわね。人の生死を正解かどうかで選ぶなんて。道徳より国語の方が得意なタイプ?」
見透かされたような発言をされ、かなり腹がたった。だけどこれは自分に腹が立っているのかもしれない…
「おい時間だ。誰を助ける?」主催者の声と同時にスクリーンに全員の様子が映し出される。全員別の部屋にいるみたいだ。
「オレが選ぶのは…佐々木だ」そうすると選ばれなかった6人は膝から崩れ落ち。各々が叫んでいる。
胸が苦しい
「じゃあ、8人は殺すね」
全員が頭に銃弾をぶち込まれる。だが白倉と中本はそれぞれ超能力を使い銃弾を避ける。
「なかなかやるね。じゃあ次行ってみよう」
2人の部屋に手榴弾が投げ込まれる。部屋の大きさ的に避けようがない。
中本は諦めて横になった。
白倉は超能力で部屋の上角に固定して自分は反対の角でうずくまっている
爆発すると中本は跡形も残らず
白倉はかろうじて生きている。
「もういいよ」そういうと毒ガスが部屋に満たされ静かに倒れた。
「これでみんな死んだね。ん?1人生きてるな」
福澤か…
先程と同じように手榴弾が投げ込まれる。それでも無傷、毒ガスが巻かれるがそれでも呼吸している。
でも苦しそうにしてる?口が動いている。
「てめぇ歌ってんじゃねぇーぞ。象でも3秒で死ぬ毒だぞ」あちらの声は聞こえないがこの発言的に毒ガスの中歌っているのか…
明らかに部屋のサイズにあっていない大きさの爆弾が出てくる。爆発するとこちらまで振動が伝わってくる。部屋は崩壊したが福澤は生きている。
「次でラストだ」そう言うと新たな部屋ができその中に水がパンパンに入っていく、溺死か…
しかし苦しむどころか優雅に泳いでいる。
「おい勝者共、てめぇらの次の競技はあの化け物の討伐だ。武器はこちらからいくらでも支給してやる」
ま、マジかよ。これ普通に強すぎて勝てなくないか?




