28…案 幸運 外
「あの遅くするやつどうする?ホームラン以外全部アウトだぞ」
「うーん。なにか案がある人はいる?」
超能力を無効化なんて出来ないしなぁー。なんもなくね
「私にひとついい案があるぞ」雷神が自信満々に言う
「何?」
「中本くんを殺す。ルール上ありかは知らないがもうそれしかないだろ?」
な、たしかに賢いがいいのかな…
「清水の番が終わってから改めて考えようぜ。もしかしたらもう使えないかもしれないだろ?」
「楽観的ね。私は殺すのに賛成だわ。」
「私も賛成だ。どうせ私たちが勝ったら死ぬんだからな」
雷神の意見に先生とミナトが同意するが他はあまり乗り気では無い
「ま、まぁ始めてみましょうよ」ルカだかルナだか分からないがどちらかがそう言ってくれた。
9回の裏
20対11
1番清水、心眼を使い1球目から打った。
走り出すがやはり遅くされ、なかなか一塁に行けないアウトか…
雷神が立ち上がると中本めがけてバットを投げつけた。ボォフという音の後中本が倒れた。
「これで、清水君はセーフだな」
「…」オレ含め何人かはドン引きしているが、何人かは雷神に賛同している。
しばらくするとAI審判は雷神の試合参加不可ということに結論づけた。雷神(4番)はアウトになるそうだ。清水がセーフなのは普通のスピードで走れば間に合ったと判断されたからだ。超能力は無視して判定されるらしい
「な、なぁ今9点差だよな。雷神さんがアウトになるなら。もうあと1人しかアウトになれないのか」
「自分含めて植野くんとルカちゃん、福嶋さんの4人がキツいっすね」
やばいな…しかも安定してホームラン打ってくれてた雷神が抜けるのか…
「ねぇ、私気づいたことがあるんだけど」
「なんだよ?」
「さっきの中本見てて思ったんだけど、ベンチからだと球をでかくしたり遅くしたりする超能力を使えないけどグラウンドだと使えるのよ」
「あ!じゃあさっきの中本みたいにするってことか」
「そう、私が3塁で全員を出すわ」
「よし、それで行こう!」
2番ミナト球を遅くし、打ったあとにボールをデカくするコンボでホームベースまで帰れるところを3塁で止まった。ここで清水が帰って来て1点。
3番オレ、ミナトに球を遅くしてもらい後はさっきと同じようにでかくしてもらい2塁まで行った
4番の雷神はさっきの件でアウト
5番の先生も同じことをし満塁になった。
6番ルカ、下手に打つとアウトになりそうで怖いな。そんな心配も虚しくほぼ止まっている球は誰でも打てた。そしてこの球で全員帰ってくる。
「よし、4点!」あと5点で逆転だ…
7番ルナ、能力を使いバットを変な使い方をしているような気がするがヒットを打った。
8番佐藤
「悲報ワイ2打席連続ホームランを打つ」こいつの凄いところはこれを言うだけで現実で起こるということだな。
佐藤は適当にバットを振るとホームランになり2点入った。
9番矢吹
「自分やってくるっすよ」
だが動体視力が上がっているとは言え打てずに三振した。
「矢吹大丈夫か?」
「大丈夫っすよ…」あからさまに落ち込んでいて隅っこに行ってしまった。かける言葉は見つからないしそっとしておこう…
1番清水ここでミスるともう後がない…
しっかりと1球目から打って言った。
2番ミナト
先程と同じように清水をホームベースに返し、自分は3塁で待っている。
最後はオレか…アウトならその時点で負け、まぁミナトの能力を使えばな、!
その瞬間シュパッっと音が鳴るとミナトは血だらけになって倒れていた。
!?
「ミナト大丈夫か?どうして?」
「油断した…福澤」そのまま意識を失い倒れてしまった。
「お姉さん頑丈です。他の人なら今ので死んでます。」
「お前やっぱりおかしいな」
「そうですか?」
審判は福澤を退場させ、ミナトの代わりに一番足が速い矢吹が3塁に行った。
これまずくないか?1点差で負けていて頼みの綱のミナトはベンチに下げられてしまった。
更に既にツーアウトで雷神は確定アウト。ここでヒットかホームランを打たないと…負ける…
色々考えていると1球目が目の前を抜ける。無理だ。そうだ佐藤だ。こういう時に…
「佐藤、能力を頼む」
「悲報ワイ、試合を傍観する。あ、まじですまンゴ」
泣きそうだわ。これ運で内容変わるのかよ。
2球目不思議とこの後、球がどう動くかわかる気がした。想像通りの方に曲がったがまだバットを振っていない。
3球目恐らくこの球は左曲がる。バットを振る瞬間少し後ろに下がった。
予想通り球が曲がった。打てた!
打った先は福澤が抜けたところだ!矢吹が帰ってくる。オレは二塁にいて相手は既に球を取っているがもう走るしかない!
山田が球を投げる焦っていたのか少し高いここでエラーだ。
間に合う!
オレは無事走りきることが出来た。ランニングホームラン!
「植野くんナイス」
「ツバサ殿〜」
「よくやった」
みんなから口々褒められた。
矢吹は少し暗めのテンションでこちらに近づいてくる。
「矢吹、ナイスラン」
「自分も役に立ったっすかねぇー。でも正直あそこは誰でもよかった気がするんすけどね」
それを言われたら言い返せなかった。そんなことないよとも言えないし、そうだとも言えない最悪のジレンマだ。
言葉に詰まっていると近くで寝ていたミナトが話しかけてくる。
「ツバサくん、最後は良かったわよ」
このタイミングで矢吹はどこかに歩いていった。
「ミナト!お前大丈夫なのか?」
「本当なら死んでたわね。覚えてる?ギフト付与した内容」
「オレとミナトがハズレだったやつか?」
「いいえ、大当たりよ。防御力upのおかげで私は死ななかったし、あなたは経験値upのおかげで最後ボールの動きが分かったじゃない」
そうか最後、軌道が予測できたのは経験値か…
「でも本当によかったわ。あと矢吹に少し聞きたいことがあるんだけど」
ミナトは今やっと意識を取り戻したばかりだここは安静させときたい。
「後でじゃダメか?」
「まぁ、今はいいわ」
取り敢えずオレたちは勝ったんだな




