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14…開 人狼 始


「ツバサくん生きてるってことは勝ったのね」

オレをみつけ明るい声でミナトが話しかけてくる。だが今はそんな気分ではない…


「勝った?…オレの目の前で人が死んだんだ」


「そう…」

少し申し訳なさそうに返事をする。


「オレがじゃんけんで勝って相手が死んだ」


「でもこれをはじめた人が悪いんであってツバサくんは生き残るためにしょうがなく戦ったのよ」


「でもオレがじゃんけんで勝ったから死んだ」


「戦わなくても相手は死んでたのよ。それに殺したのはあいつじゃない」


「直接殺したのはオレじゃなくてもオレの行動によって人が死んだ。それはもうただの人殺しだよ」そう呟くとミナトの前から立ち去った。ここまでで分かったことは死の価値観の違いだな。オレとあいつは違う。


「えー、1回戦目突破おめでとうございます。2回戦目を始める前に片付けを済ませなければ行けません。少しお待ちを」主催者が言う、するとある人物が声を上げる。


「何回戦まであるのか教えてクレメンス。」小太りのおじさんが叫ぶ。


「ん?ある程度人が死ぬまで、つかさー、この能力欠陥なんだよねー自分の力じゃ止められないん、しかもこのデスゲーム終わったら俺死ぬんよ、まじクソだわ。お前らも道ずれにしてやるからせいぜい頑張れよー」


「ンゴぉー」雄たけびをあげている。アイツは人の死とか気にしてなさそうだな…


元々の参加人数は100人は超えていそうだったが今残っている数は僅か31人


ひとり見覚えのある人が視界に入ると助けを求めるように駆け寄った。

「先生生きてたんすか?」


「あぁ、運がよかったよ」小さく笑う。この人に今までのことを相談しよう。そう思ったとき


「それとお前に頼みたい奴がいる」


「誰です?」


「やってくれるか?」


そういえばそうだった。この先生は内容の前にやるかやらないか聞いて来るんだ…まぁオレも1人は不安だし、そいつと一緒にやるか

「いいですよ」


「すまない、こいつらだ」女子高生4人組が近づいてきた。


「ひとりじゃなかったんすか?」


「いつ1人なんて言った?」ほぼほぼ詐欺だろこんなの、まぁ1人でいるよりは気が紛れるか。


「えっと、オレはウエノ ツバサって言います」


「安藤 あん (アンドウ アン)」

「斉藤 彩 (サイトウ サイ)」

「伊藤 糸 (イトウ イト)」

3人とも名前だけぶっきらぼうに答え顔すらこちら向けない、最後の一人は


「佐々木 咲 (ササキ サキ)です」4人の中なら1番いい子に感じた。


「そいつがあたしらの友達を殺したのよ」安藤が叫ぶ。


「そうよ、人の友達殺しといてよく男にしっぽ触れるわね」


「私は、私は悪くない」今にも泣き出しそうな顔してうずくまっている。おそらくジャンケンで勝ったのだろう…


「えっとそれって」オレが聞くと3人が口々に叫びだす。


全員の言葉から憶測を立てると、佐々木っていう子はここの3人プラス1人に虐められていた。ジャンケンが始まった時、佐々木という子はグーをだせと言われたのにも関わらずチョキをだしてジャンケンに勝ち、殺したということらしい。


「なるほどな、だいたい分かった。でもお前らも…」話している最中にあの主催者の声が聞こえてくる。


「2回戦目は『特殊人狼』です」


「特殊人狼?」始めて聞く競技だ。


「今からABCの部屋に入ってもらいます。A、Bの部屋は先着10名Cの部屋は11名です、ルールは部屋に移動してから説明します。」


「どうする?」ツバサが4人に聞くと


「全員同じ部屋でいいんじゃない?」

「みんな同じ部屋がいいよね」

「佐々木は来るなよ、人殺し」


「佐々木さんはどうする?」ツバサが聞くがうずくまって動かない。

「オレは佐々木さんと行くから3人は適当に入っといてくれ」


「そんなやつほっとけばいいのに」

「正義ヅラしててキモ」

すき放題言ってどこかへ行ってしまった。


「どこかに入らないと、殺されちゃうよ?」人は不思議なもので自分より怖がっている人や緊張している人を見ると少し落ち着く。


「私、金沢さんを殺した」泣きながら話し出した。


「私、入学した時はあの3人とも金沢さんとも仲良かったの。だけどある時きっかけがなんなのか分からないけど私急に無視されだしちゃって、それでも平気なフリして他の人と話してたら、なんで平気そうな顔してんだよとか言われて、それからぶたれたり、ものを隠されたりするようになったの。」


「そうか、ひどい奴らなんだな」


「でも私も最低よ」


「君が最低なことなんて何もないよ」


「だって金沢さんが死んだとき私、私…スッキリしたの」すごくいい顔で笑いこちらを見てきた。背筋に冷たいものを感じた


「…」言葉がでない、正直今恐怖を感じている。


その時

「早く部屋入れ、あと1分以内に入らなかったら殺すから」


「行くか…」


「うん」うずくまっていた佐々木が立ち上がり歩き始める。


「空いている部屋はCだけか…」


部屋に入るとあの3人がいた。ミナトと先生はいない。あ、ミナトと戦ってたあの後輩もいる。あとはさっき何回戦か聞いてた小太りのおじさんがいる他は知らない。この部屋にはドアがいくつもあるな。関係あるのか?


「ルールを説明します。分かりにくいですが1度しか言いません。話したこと以外で分からないことはその都度聞いてください。」


なにかコソコソ言っていた3人も静かになる。


「まずこの人狼は役職が5つあります。市民、剣士、占い師、回復師、人狼です。人狼が2人、剣士、占い師、回復師はそれぞれ1人残りは市民です」


「それぞれの役職の能力について説明します」


「市民は何もありません。人狼は毎晩絶対に1人は殺してください。1人につき1人殺す権利が貰えますので人狼が2人いる時は2人殺しても構いません。剣士は任意で1人殺せます。占い師は1人占いその人の役職が分かります。回復師は1日1回人狼を市民にできるチャンスがあります。」


「終わりになる条件はいくつかあります。

1、人狼と同じ数になるまで市民側が殺される。この場合人狼の二人の勝ちになり残った2人と人狼以外殺します。2、人狼が全て回復師によって市民になる。この場合は回復師によって最後の人狼が直されたターンを含み人狼に殺された人は皆殺しになりますあとついでに剣士も死にます。

3、人狼が通報されるまたは剣士に殺されるこの場合は市民側の勝ちです。この場合は人狼の2人だけが殺されます。ですが1人が回復師によって市民になっていた場合はその人は市民側として殺されません。この場合は剣士は死にません」


「今から言うのが注意点です。一日目の昼は自分の役職を教えてはならない。人狼は昼のターンに自分以外の人狼の話をしては行けない。あ、最低限、市民に紛れるためならいいからね。ただ自分が人狼とカミングアウトしてからとか占われ後から言うのはダメってこと。続けるね剣士が殺した人はゲームの勝ち負けに関係なく殺される。話し合いで1人通報する人を選ぶ、選ばなくてもいいよ。話し合いで通報された人もゲームの勝ち負けに関係なく殺すから。昼の話し合いが終わったら各自別の部屋に入る。役職持ちの行動順番は人狼→回復師→剣士→占い師ね。夜のターンは電話していいよ、何人に電話してもいいけど同じ人には10分までしかできない。人狼は電話で話し合って殺す人を決めてね。後は各自の部屋に俺から電話するから役職持ちは考えといてね。」


「まぁいったん始めてみるか」

そんな軽いノリで命がけの人狼が始まった…


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