13…暴 戦略 力
「オレはグーをだす。」これを相手に伝える。
相手目線だと
真実なら
チョキをだしたら負け
グーならあいこ
パーで勝ち
になる。だがこれを信じるほど相手もバカじゃない
相手は自分がパーを出すことを読まれてオレがチョキをだしてくるとも考える。
そしてさらに自分がそれを倒すためにグーをだしオレがパーをだしてくることも考える。
つまり裏の裏を読んで無限ループに陥るということだ。
「何をだすか決まったか?」そしてここでこれを聞くことに意味がある。ここで相手は焦り頭の中がぐちゃぐちゃになる。
「ま、まて、まだ何をだすか決めてない…」このまま行くと相手は決められない、そして最後に運に任せる。
「もう一度言う、オレは1回目グーをだしその後もグーをだす」相手にこれを伝えジャンケンを始める。相手が逃げればその時点で不戦勝でオレの勝ち
戦ってもオレの勝ちだ。
「「出さなきゃ負けよう最初はグー、ジャンケン」」
「パー」
「グー」
決着はついたそしてオレは勝った。
この場合大半の人間は1度目の戦いから逃げあいこにしようとする。なぜなら自分に負ける可能性が高いチョキはだしにくいし、パーは読まれる確率が高い。この場合1度目は流すためにグーをだしてくる可能性が1番高い。だがこれは相手に時間を与えてしまうとオレが1番安全なのがパーだとわかってしまう。そのために相手に次にだす手を教え情報量を増やし、思考がまとまらないうちに勝負を挑み、次の試合に勝負を託すように仕向けた。
「死にたくない、お前が死ねぇー」殴りかかってくる。だが細い体からくり出されるパンチはそこまで痛くなかった。
くしゃくしゃの顔になりながら叫んでいる
「僕は、お母さんに恩返しするんだ。迷惑かけた分ちゃんと恩返して家族で…僕は、僕はもう一度お母さんに会い…」
バァンと銃声がなると目の前から男がいなくなった。辺りを見渡すと血の海になっていた。
オレは膝が震え立てなくなり、座り込み嘔吐した。
一方その頃ミナトは
「ちょっとあなた、ジャンケンするわよ」
「は、はいお願いします。」
スーツを着て髪がワックスで整えられている、いかにもな社会人が相手だった。ミナトがこの人を選んだ理由は特にない。
「あのどうせ私はここで死ぬので最後に話だけ聞いて貰えますか?」
「死ぬって?ジャンケンだから分からないわよ?」
「いいえ私はあなたに負けます。そもそも私は自殺をし飛び降りてる最中にここに連れてこられました。元から死んでいるようなものなんです、」
ミナトがいちばん嫌いなタイプは自分の命を粗末にするやつだ。つまりこいつのことは初対面だが既に悪印象、それでも自殺するやつにはそれなりの理由があると考え話を聞くことにした。
「そう、時間内なら話は聞いてあげるわ」
「ありがとうございます。私はゲーム制作会社で働いていました。そこはチームの皆も仲が良くとてもやりがいのある職場でした。」
「ですが社長が自殺してしまったのです。皆が原因もわからず慌てていました。しばらくすると会社には莫大な借金があることが分かりました。そして多くの人が辞めていきました。潰れるとわかっている会社に残りたい人なんていませんよ。」
「でも、あなたも辞めて別のところで働けばよかったじゃない?わざわざ死ぬこともないわ。」
「私がただの社員ならそれができたでしょう。その死んだ社長は私の父です。父に憧れ共にその会社で働きたい、これが子供の時の夢でした。今では尊敬する父も会社もありませんがね。私には借金と仕事がこなくなり給料が払えなくなった従業員しか残っていません。」
「父がいなくなり、社員になんて言われるかも分からなくなり怖くて不安なんです。だからもう何も考えないで死のうと思ったんです。ここまで長話を聞いてくださりありがとうございました。」
「死んだら、従業員はどうするの?」語気を強める
「申し訳ないとは思っています」
「死んで困る人がいるなら、守りたい会社があるなら生きなさいよ。あなたの憧れはそんなものなの?」言葉は強く早口でまくし立てるように言う
「私はもういいんです。最後は逃げます。私らしい最後ですね。」何を言われても諦めたような表情だ。まぁ自殺するような人がそんなすぐに切り替えれるわけない。
「逃げるのは別にいいと思う、だけど自殺は逃げの中で唯一最低よ。現実から自分だけが逃げて、周りの人間には不利益を残す。怖くて不安なぐらいで死ぬなら夜逃げしでもしなさい。」
「そしたら私は一生罪悪感が残りますね。」
「罪悪感を感じるうちは死なない方がいいわ、罪の意識がない人間なんていない、みんな大小問わず何かしらの無くならない罪悪感と共存してるのよ。」
「共存ですか…僕には………でも少しは死ななくてもと思えてきてしまいました。」
「死ななくてもじゃなくて生きたいと思いなさい。」
「そう…ですね。ジャンケン負けるつもりでしたが全力でやらしてもらいます。」
「いいわよ」
「「出さなきゃ負けよう最初はグージャンケン」」
「ちょき」
「……」
「申し訳ございません。全力でやると嘘をついてしまい。あなたには生きて欲しいと思ったので」
「そう…」
「でも、もう少しは生きて父の会社の最後を見届けたかったっていう気持ちもありますね。」
「ごめんなさい」ミナトは能力でナイフをだしこの人を切りつけた。この空間内で主宰者に殺されると生まれ変わる事ができるか分からない。つまり本当の死を迎えてしまうかもしれない。その最悪の事態を回避させるためにミナトは相手をきった。今ミナトと話した人は死んでしまったが、彼の記憶を引き継ぐ別人が最後を見届けることを期待し殺害した。もちろんここでの記憶は無い。また自殺するかもしれない。これに意味があるのかは分からない。言ってしまえばただの自己満のためだけに殺した。ミナトには殺してしまった罪悪感だけが残った。
一方そのころ
「ワイ負けたくないンゴ。お前勝負するンゴ。」
小太りのおじさん?が細型のおじさんに話しかける
「や、やりましょう」
「よろしくンゴ、その前に手を見せてクレメンス」
細いおじさんはなんの躊躇もなく見せる。手なんか見てどうするのだろうか。
「こ、こうですか?」
「失礼するンゴ」
ボキッと鈍い音がすると同時に細い方おじさんの悲鳴が聞こえる。指を同時に5本折られたのだ。
「反対の手もやるンゴ」泣き叫ぶだけで抵抗できないおじさんの反対の手を押えそちら側も折る
「これで指が折れてパーしか出せないンゴねぇー」
「出さなきゃ負けよう最初はグージャンケン」
「チョキンゴ」
「無効だこんなのだせないだろ」
涙目だが憎しみを感じる目で睨みつける。
「口で言えば良かったンゴねぇ〜」
バァンと銃声がなると細いおじさんが死んだ
「ンゴォー」打たれたおじさんを見て雄叫びをあげた。




