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私の中に、西園寺君がぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?

1話

──私の中に、西園寺君がぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?─




『 8月29日、月曜日の放送です。

今日のコメンテーターは岸さん、松本さん、大澤さん

そして………………………………今、SNSを中心に話題沸騰中、TVにも引っ張りだこの、西園寺さんです!!!!』


パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ





弾けるような拍手の音で目が覚めた。

うちには実は、言いたくないのだがTVが1台しかない。

もちろんテレビはリビングにある。

ただ、拍手の音があまりにも大きすぎて、隣にある私のの部屋まで聞こえる。

全く、近所迷惑にならないか心配だ。



それにしても拍手が目覚ましだなんて、私もとんだ変態野郎だ。


あぁ、こんなことを考えている時間はひとつもない。

早く学校に行かなければ!!!!


ボサボサの髪を即座にクシでとく。

クシには抜けた長い髪の毛が絡まりついている。

顔を洗う時間なんてもっぱら無い。

今日はちょうど雨が降るらしい。

じゃあ雨を浴びて顔を洗おう。

そうだ、そうしよう。


自分はなんて頭がいいんだろう!

そんなことを思いながらテーブルに置かれたおにぎりを頬張る。


今どき朝ごはんがおにぎりだなんて!!と思うかもしれない。

ただ、私の家庭はかなり健康志向?らしくて、パンにはグルテンが入ってるから何とかで、消化に悪いらしい。

そういう理由で、パンは控えている。


私には別に、どうでもいいので知ったこっちゃないのだが。


『やぁぁばい!!!』


もう時間が無い。

走りながらおにぎりをまた1口。

幸い、私の家は学校に限りなく近い。

走れば三分ほどで着く。


「キーンコーンカーンコーン……」

ここからは鐘との勝負だ。

あいにく、私は負けず嫌いなので絶対に遅刻はしない。

今日だって────────────



あれ?


一瞬、セカイがぐらついた。

私の骨ばった白い手が、ほんの一瞬、ゴツゴツした黒い手に見えた。



あれ?


もう一度見てみると、それはいつも通りの私の手だった。


不思議に思いながらも教室に入る。


『ふぅ、ギリギリセーフ』

思わず声が出る。

私には話せるほどのクラスメイトはいるが、友人までの間柄では無い。

だからこの言葉も、独り言になってしまう。


(いや、悲しいこと言わせんな!)



ダルい学校はやっと終わった。

よし、帰って推しを拝もう!!!


大嫌いな学校を後にした。


家に着くなり、手も洗わずに私はスマホを見る。


推しはなんと言っても西園寺君!!!!♡

ゴツゴツした黒い手、

筋肉が見え隠れするふくらはぎ、

高いトークスキル、

綺麗なお顔……………………


もう、好きなところを言うとキリがない。

だから、私な西園寺君の全部が好き!だ。


あれ?




まただ、学校で体験したような感じ…………

つかさず手を見る。


そこにはどこかで見た、ゴツゴツした黒い手があった。

足を見下ろすと、筋肉質なふくらはぎが映った。




あれ、これってもしかして!?──────────


スマートフォンの電源をオフにして液晶に写った自分を見る。


あぁ、やっぱり




『 西園寺君だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?』

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