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到来する暴走者

「ゲホゲホ」


口から吹き出る水を吐き出した。 水とともに流れ出た唾を手で拭きながら周りを見回した。 胸をなでおろしながら安堵のため息をつく私と同年代の女の子が目に入った。


少女は変わった紋様が描かれた、マントを着ていた。 全身を覆うマントを着た少女は、じっと座ったまま私を眺めていた。 私も彼女を注意深く観察した.


彼女の白い肌と小さな唇、丸い大きな目を見ると、私の顔がほてってくるようだった。 ちょうど肩まで届く彼女の茶色い髪が風になびいた.


その姿に、心臓がドキドキして、口がブルブル震えて、何も言い出せなかった。 彼女の姿をずっと見ていては何か恥ずかしいことを犯しそうになってそのままそっぽを向いてしまった. 首を回したまま胸に手を当てて深呼吸をした.


落ち着こう、落ち着こう。 ちょっと落ち着こう。


やっと女の子の顔一つ見ただけでこんなことになるなんて。 自分自身が恥ずかしく情けないと思った。 なんとか気を取り直して、また女の子のほうに振り向こうとしたそのとき、肋骨のほうで激しい痛みが走った。


肋骨を手でぎゅっと握って歯をくいしばった. 正体不明の不審者に背中を打たれた時とは、また別の痛みに今にも呻きそうだった。


「ねえ, 大丈夫ですか」


少女の質問に何か答えたかったが、痛みのためまともに話すことができなかった。 目を閉じたまま「ううっ」という音だけを繰り返した。


こんなにいきなり痛みが襲ってくるなんて. もしかすると、水におぼれた時、岩と衝突でもしたのだろうか。 それとも怪しい男にやられた時に骨にひびが入ったとか。 現在としては痛みの理由が分からない。


ある程度痛みに慣れてからやっと少女に話しかけることができた.


「ねえ、君が助けてくれたの?”


そっと顔を赤らめた少女は、笑みを浮かべたままうなずいた。

少女が命の恩人であることを確かめた私は、もっとドキドキするような気がした。 何というか。 運命の相手に出会った感じというか。 こんなにかわいい子供が溺れた私を助けてくれたなんて。 「人魚姫」に出会ったような気がする。


少女が次の言葉さえ取り出さなかったら私はそのまま少女に惚れていただろう。 しかし、少女は私の期待を粉々にする言葉を投げてしまった。


「水を抜くためにあなたの胸を押したが、あまりにも強く押したようです。 骨が折れたみたいなんです。 あの、力を最大限抜いたつもりなのに、そうなってしまいました。 そういうことなんです。 本当に申し訳ございません」。


頭を下げて謝る少女の言葉を聞いて、最初は何を言っているのか理解できなかった。 しばらく思案したあげく,わたしはちいさく独り言を言った.


「心肺蘇生法。 そうか。それなら話になるよ。


そうだ。心肺蘇生法。 それなら肋骨の痛みを説明することができた。

昔から心肺蘇生法とは被構造者の肋骨を折る覚悟でやってこそ、ようやく被構造者を生かすことができると言うほど、強い腕の力を要するものだ。 したがって心肺蘇生術のために私の肋骨がこんなふうになったなら、何でも整理ができた。


ただ理解できないのは、水の中に落ちた私をこの少女が引き出したという点だった。男子生徒の平均体重を持った自分を水中で引き上げるというのは、並大抵のことではなかっただろう。 もし私の体がかなり深いところにいたら、少女は水圧と私の体重を一緒に耐えたということになる。 「そんなに私を助けるだけでも力を尽くしたはずの少女が心肺蘇生法を行ったのか」。 話にならない。 「それができるはずがない。


如何考えても簡単に信じられなかった


周辺が森に囲まれていることと、南の方向に巨大な山が一つあることを確認した私は、もしかして私を救うような人がいないか調べた。 急いで森から飛び出してどこかに走っていく動物たちは見えたが、何度見ても少女と私以外の他の'人'は見えなかった。 情況上,彼女は私を救った恩人であることが明らかだった.




信じられないが、信じなければならない。 成人男性でも難しいことを目の前の少女がやり遂げたのだ。 そっと彼女の腕を見た私は再び少女の言葉を疑いたくなった. 彼女の腕は細くて小さな筋肉すら見えなかった. あんな弱そうな腕で僕を救ったとは。




「本当に私を救ったの?”

「はい、そのとおりです。」

「ありがとう。おかげで助かった」





儀礼的ではあるが、彼女の言葉を信じることにした以上、感謝の言葉を言わざるを得なかった。 命の恩人である彼女は、私の感謝の挨拶を聞いてとてもクールに、


「ええ、それよりね」



対話の話題を転じた.




突然の話題の転換に疑い深い視線を向けると,彼女はむしろ目を輝かせながらうなずいた. その姿は小動物が愛嬌をふりまくようでかなり可愛かった。



しかし、彼女の可愛さに油断したのが禍根だった。 彼女の必殺の可愛さに我を忘れて気がついたら、彼女は私の体を手探りしているのではないか。 彼女がそんな行動をするとは思いもよらなかったので,当惑せざるを得なかった.




彼女は鼻歌すら口ずさみながら私のシャツをなでた. ぬれてじとじとした私の服はいつもよりも体にぴったりとくっついていた 当然、シャツも身体と密着した状態だ。 このような状況では,彼女は服を触っているのか自分の体に触っているのか区別がつかなかった.




暖かくて柔らかい彼女の手が胸に届くと、心臓のポンプ動作はさらに激しくなった。 胸をなでた彼女の手は徐々に下に、下に下がり始めた。 それを見ていた私は、しばらくして気がついた。




水に濡れてしまったのだから、服の上に私の上半身がそのまま露出するのは当たり前だった。 腹筋一つない恥ずかしい腹と筋肉一つない平べったい胸が、彼女の目にそのまま映るだろうと想像したら顔がほてってきた。 いや、単純に見るだけでなく、彼女はその恥ずかしいところを手で直接撫でている。 そんな, 許せるはずがない 結局、



「やめろ!」


少女を押しのけてしまった.


強く押された少女はしりもちをついた。 お尻をなでながら少女は痛みのうめき声を流した。 それを見ても、


「やめてよ。 そのようになでると告訴する」。



こんなことばかり言ってしまった。




実際、彼女の行動に私は強い憤りを感じた。 しかしそうだとしても、生命の恩人に告訴すると言って怒ったのは最悪の行動としか説明できない。 恩を仇で返すことかも知れない。








「すみません. あのう, 『告訴』がなんだか分かりませんが, 一言でお詫びします」 本当に申し訳ございません」。

「いや、わたしは過剰反応をした。 命の恩人なのに押しのけて」




彼女がとても丁重に謝罪したので私もつられて謝罪した。 謝罪をしながら私は違和感を感じた. --今、少女の言葉に変なところがあったんじゃないか。


「ちょっと、今『告訴』を知らないの?」

「初めて聞く言葉です。 それは何ですか?」

「いやいや。 分からないはずがあるか。」

「『告訴』という言葉、初めて聞くような気がします。」







「告訴」という単語が分からないこともあるとは。 私くらいの年齢なら誰もが知っている単語ではなかったのか。 法と関連した用語ではあるが、これを知らないはずがない。




目の前の少女がふざけているのか、あるいは本当に知らないのか見当がつかなかった。 痛くなるこめかみを擦りながらため息をついた後、次の言葉を考えてみた。 じっくり悩んだ末、ようやくかなりいい話題を見つけた。


「それはそうと、私をどう救ったの?”

「手に入れた方法ですね。 もちろん魔法を使いました。」

「そうだ、魔法を使ったんだ。 それで私が水から出た.............」



少女が、とても自然に、まるで何事もないように言ったせいで、私は少女の言葉に乗るところだった。 彼女の堂々とした力強い声に、正直さや信頼感を感じたのかもしれない。 しかし、しかしだ!

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