表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/3

異世界の勇士はにせもの

流れる水の音が耳を打った.


「おい、ちゃんと連れてきたんだろ?」

「わからない、いったん移そうよ。 その変態村長が死んでから、ここに来なくてもいいのかと思ったら、もうその村長の娘が仕事をやらせてね。 むかつくんだって、本当に。」

「そうすると これを うつせと いう やつも いた。 ところでこれは一体何?」

「またこれか。 虫がいっぱいいるね。 何でこんなものを注文するんだろう、あいつ?」


愚痴をこぼしながら話す2人の男の声も聞こえてきた。

周りの騒音で目が覚めた私は、眠気を振り払って周りを見まわした。 周囲を見渡した私は驚かずにはいられなかった。


私を取り巻く周りの世の中が真っ黒になったのだ。 すべてが闇に埋もれたように、どこにも光はなかった。 ひょっとしてこの世から太陽が消えたりしたのか。


恐怖に襲われた私は,暗闇の中で腕を振り回した. 手に触れる柔らかい何か。その部分を押すとそれはこれから長く伸びた。 もうちょっとで破れそうなので、もっと強く押した。


しかし、私を覆っている何かはその程度では破れなかった。 周辺に使えそうな道具はないか調べたが、何も手につかなかった。 悪口を言って怒ろうとした瞬間、けたたましい悲鳴が聞こえた。 悲鳴の間で私が聞ける音は、


「おい、お前は何だ。 ここによくいるという怪物か。」

「お前なんかにやられそうか?」


会話を交わしていた2人の男の叫び声だけだった。 彼らは誰かに怒りをぶちまけて,強い敵愾心をのぞかせていた. 反面、彼らが遭遇した相手は何も言わなかった。



2人の男が叫びながら先にけんかをしかけたようだった. なにか大きな戦いになることをきざし、外の声を聞いてみた。 けれども、私の予想に反して、その戦いはあっけなく終わった。 刃物が何度も衝突する音が聞こえた直後、


「わっ!」

「さあ、ちょっと待って。 いいか, その必要はないじゃないか. 助けて……」


断末魔の悲鳴とともに2人が倒れる音が聞こえた。 もう決着がついたのか。 でも、なんで周りがこんなに静かなんだろう。 何か変だなと思いながら、私は周りの声に集中した。 水の音のほかには何の音も聞こえなかった。 人の気配すら感じられなかった。 まさか、周りの人たちが皆死んだのは。。。。考えがそこに至ると恐怖がわき起こった。


しかし、そのような感傷に浸っている時ではなかった。 突然、周辺が揺れ始めたのだ。


上下にはげしく揺れる土地 私の体は閉じ込められた状態で激しく揺れ,そのまま横に転がっていった. 止めようとしたが、手が外に出ず、止められなかった。 助けを求めるにもあまりにもあっという間に起こったことなので、声を上げることもできなかった。


木にぶつかったような鈍い音とともに痛みが後頭部を襲った。 手で頭をこすりながらあたりを見回した。 周囲がふさがっているので肉眼では外の状況が分からない。


すみません。今、何が起きたのですか?”


周りの人たちに質問をしてみたが、何の返事も返ってこなかった。 あたりにはただ不吉な静けさだけが流れていた。 手足に一人捨てられたような感じで、鳥肌が立った。 本当にみんな死ぬことでもしたのか。


もっと大声で叫んだ.


「あのう、今何が……」


わたしの話は続かなかった。 肺が潰れるような苦痛が身を走らせたのだ。 口の中の空気がよだれと共に吹き出し、私のからだはまたどこかに転がっていった。 鍼を磨く時間も与えず、2度目の攻撃が続いた。 今度は苦痛が背中を襲った。


背中を押さえつけるその力は想像を絶するものだった。


息が苦しくなり、痛みで生じたうめき声さえ、これ以上出すことができなくなる頃、私は最後の力を絞り出して私を踏む何かをつかもうとした。 しかし、得体の知れないことに囲まれた体では、何もできなかった。


動かせば動くほど、私を取り巻く何か-たぶん袋に見えるもの-はむしろ体にもっとくっついてきた。 それに比例するかのように、私を踏みにじる相手の攻撃もさらに強くなった。


情け容赦のない攻撃に終始した. 泣くことも悲鳴をあげることもできなかった. ただこの痛みが消えることを、私を攻撃する誰かが早くいなくなることを願った。 しかし、その望みは叶わなかった。


相手は攻撃するのを止めると私を持ち上げてきた. 突然の浮遊感で頭がぼうっとなった. すべてを引き裂くような激しい音が確実に聞こえていた. --初めて起きた時より、水に近づいたのか。 頭の中に不吉な想像が浮かんだ.


耳の中に入り込む音が幻聴であることを望み、何も起こらないと信じようとした。 しかし、幻聴を願った声は生々しい現実となって私を包み込んだ。


持ち上げた相手が私の予想を裏切ったのだ。 彼は私を投げ捨てた!


と叫ぶ間もなく、自分のからだは、そのまま水につかった。 かろうじて維持できた肺が痛みの悲鳴を上げ,私はもがくほかなかった.


泳ごうとしても手足の自由が利かず、何もできなかった。 このままでは水葬になるに違いない。 最後のあがきだと思ってわたしは身をゆさぶった.


そのせいで硬い何かと肩が衝突し、肩が少し裂けてしまった。 破れた傷の間から水が入り、さらに痛くなった。 しかし、擦り傷に気を使う時間はなかった。 硬い何かと衝突する時、肩だけでなく、私を覆っていた袋も一緒に裂けたようだった。


裂け目の間から水が狂ったように流れ込んできた。 水のせいで重くなったのか、私を閉じ込めた袋はもっと早く沈んだ。 水中でジャイロドロップに乗った感じだ。 他のことは、地上では空気の抵抗を感じるが、ここでは水の抵抗を感じるという点だろうか。


しかし私はすぐにこれがチャンスだとわかった. 私の視野に初めて光が見えたのだ。 屈折した光が私の目の前で漂うように遊泳していた. 子宮の中で光を発見した胎児の気持ちはこのようなものだろうか。 私はここに来て初めて希望にかられた.


私は穴を開けた部分に手を入れて広げ,楽に袋を破ることができた. 私を巻きつけた袋から抜け出した後、素早く泳いだ。 肺に残った空気が底をつく寸前まで来ていたが、生きたいという一心で、なんとか水の外に顔を出すことができた。


私を迎えてくれる光とさわやかな空気。 「生きているという実感があった。 ぬれた髪がワカメのように頬にくっつき、水の流れが顔を何度かなぐったが、生存の喜びに私には何も考えられなかった。 九死に一生の喜びに酔ってニヤニヤしていた私は、思わず後ろを振り向いた。


神様がまた新たな試練を押していた。 船の破片が、ぼくに向かってはげしくやって来たのだ。 避ける間もなくそれは私を襲った.


船の破片とぶつかった後,私の体は水に落ちた. その中でぐるぐる回った私には、私の行くべきところがどこか見当がつかなかった。 上と下、前と後、右と左さえ区別できないほど水の中でくるくる回る状況だ。


呼吸が苦しいうえ、方向感覚まで喪失した状態で生存のためにできることはないも同然だった。 あきらめると、その考えが頭の中にいっぱい詰まった。


悲鳴もあげられず、私は急流の下の深淵にそのまま飲み込まれた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ