プロローグ
ハイファンタジーとSFの融合。
そこに日本の宗教観を入れる……そんな感じを目指してます。
太古の昔、神々が現れ、世界に生物を創造した。
あらゆる神がそれぞれ多種多様な生物を創るなかで、とある神の一柱がヒトという種に知恵を与えた。
ヒトはそれぞれの環境と個々の習性に特化し、世界各地で様々な繁栄を見せた。それらが後に、エルフやドワーフ、ゴブリン、ケンタウロス、オーガ、獣人や人魚、鬼や魔族などと呼ばれる種族となっていった。
やがて、ヒトの中にひときわ知恵を育む種族が現れた。
それが人間だった。
神々が生物を創造し終え、天界に帰った後も、人間は知恵の力を貪欲に育み、科学というものを身につけた。
火を扱い、電気を操り、原子を分裂させ、人間は世界の中で他のヒトより優れた生き物となった。
数多の戦いや同盟の果てに、人間の王国は鉄とコンクリートでできた要塞となり、他種族の国や集落を属国とするようになった。
神々の創造から長い月日が経ったある日、天界から世界を見ていた神々の中で、世界の覇者のごとく振る舞う人間の存在に、疑問を持つものが現れた。
「世界にこのまま人間があって良いのか?」
その解を得るため、最高神は人間の王国に降り立ち、皇帝に試練を与えた。
「人間よ、この世界でお前達が生み出した、最も偉大なるモノを示せ。十年のうちに示せなければ、この世のヒト全てが持つ知恵を取り上げる」
神はそう言い終えると、天界へと帰り、姿を消した。
皇帝は、すぐに国中へ伝令を出した。
国の最たる賢者や学者が議論を重ね、その偉大なるモノが何かを挙げていった。
国の貴族、政治家、官僚、財閥の主たちは、挙げたものを選別していった。
国の兵士たちは、それらを捜索し、王国へ集めた。
時は経ち、いまだに議論と選別、捜索は続いている。
最高神が宣告した日まで、残された時間は、あと2年だけとなっていた。