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漂流7日目

廃村にてこの惑星初めての戦闘を経験したヴァルデミリアン。

しかし、拍子抜けするほどの弱さに落胆する。

とりあえず生け捕りをし、情報収集をすることにした。

この惑星にきて1週間。

少しずつ情報が集まり始めた。

まず、昼と夜が存在すること。太陽もしくは太陽に近い恒星が

この惑星に影響を与えている。

次に水や植物などが豊富で生態系が惑星プレストルよりも複雑

でもある。

偵察ドローンを飛ばして50km四方を探索したが、建造物と呼

べる物はあの廃村だけだった。

そこで俺は廃村近くまでポルトで移動し、新しい生命体の見張

りを行うことにした。

前に捕まえた奴らが斥候ならば、帰還せずにいることは組織に

とって異常事態のはず。

確認のために別の斥候が来るはずだ。


3日後、奴らはきた。

今度はトカゲのような姿をしたのが2匹。

手には鞭のような武器を持っている。

なるべく知能レベルが高い奴を捕獲したいが、どちらも脳筋

ぽいな。

前回同様、屋根の上からプラズマキャノンで片方を始末する。


バシュ!


プラズマ弾が発射されると、トカゲ野郎の体を貫通する。


「ギャァ!!!」


「オイ、ド・・・タ?ナン・・・ド・・?」


前回同様、翻訳はまだまだのようだ。

今回は光学迷彩をオンにしたまま接近し、シミターソードで両手を

切断する。


「グ・・・・ギ・・・・!」


こいつをポルトに持ち帰っても、前回から進捗はなさそうだ。

そこで俺はこいつを囮にすることにした。

廃村で一番高い建物にこいつの死体を吊るす。

こいつの組織がそれに気づき新しい部隊がくる。

それを繰り返すことによって、知能レベルの高い獲物が来るはずだ。


その後、2日に一度の割合で死体を確認する部隊が現れたが、期待

するレベルの生命体はいなかった。

待つこと10日、ついに現れた。

今までのやつとは見た目で違うと分かる生命体だ。


5匹の牛のような下僕を連れ、自身は金属製の鎧を着ている。

赤い肌に鋭い牙と角。

下僕に指図をしていることから、知能レベルもそれなりにあるようだ。

生きて捕獲するには下僕が邪魔だ。

俺は屋根の上から下僕3体をロックオンすると、プラズマキャノンと

両手でハンターディスクを投げる。

まず1体は射殺し、もう2体はハンターディスクが刺さると毒酸で

溶け始める。


「グォ・・・・!」


角持ち以外はキョロキョロと確認しつつ咆哮をあげている。

次にスピアを投擲すると、下僕2体をそのまま貫通する。


「イル・・・ハ・・・・テル。デ・・・・イ!」


角持ちが叫ぶ。


俺は光学迷彩を解除すると角持ちの前に現れた。


「お前がボス・・・ではないな」


「オ・・・・ガ、ウ・・・ユ・・・カ?」


いいね。この状況でも落ち着いて俺と会話をしている。

経験、知能、闘争本能とそれなりに兼ね備えてるな。

俺はスピアを手に戻すと、刃にプラズマを纏わせる。


角持ちも理解したのか、自分の武器を握る。

俺と同様槍タイプの武器だ。

間合いを詰めると、お互いに一気に攻める。

恐ろしい速さで連続突きをし、さらに足元を薙ぎ払う。

一連の動きが今までの雑魚と全然違うことに俺は武者震い

がした。

こっちも負けじとスピアを回転させながら両サイドの刃で

連続攻撃をしかける。

プラズマを纏っているので、相手の武器が少しずつ削れて

いくのがわかる。


角持ちの表情が少しずつ険しくなっていく。

奴の経験上、想定外の出来事が起きてるようだ。


「オ・・・・エ、ヤ・・・ユ・・ャ・・ノカ?」


角持ちは後方にジャンプすると一定の距離を保ってきた。

サーモグラフィーで両手の温度が上がるのがわかる。

どうやら近接だけじゃなく、遠距離もできるようだ。

ここはどんな攻撃なのか受けてみよう。

角持ちが両手を重ねると、そこからいきなり火の玉が

飛んできた。

高エネルギー反応を示すアラートが表示され、回避を

促されたが俺は無視をし、左腕のガントレットでプラズマ

シールドを展開した。


ドゴォ・・・!


爆発音と共に砂煙が蔓延する。

俺はスピアを回転させると、一気に砂煙を払う。

その姿を見た角持ちの表情はかなり複雑だった。

驚き、困惑、恐怖。

悪いな。お前は俺の狙い通りの獲物だ。

これから俺のために情報を提供してもらうよ。

光学迷彩をオンにすると角持ちに近づく。


「ド・・・ダ?ス・・・・ロ!」


たぶん、お前は追い詰められた事が殆どないだろう。

どうだ、追い詰められる側は?

武器を振り回しながら威嚇する姿に、最初の余裕はもう

微塵もなかった。


俺は背中からネットランチャーを発射すると、角持ちを

捕獲した。

電撃を流し、失神したところでポルトへと戻る。


「ポルト、いい獲物を捕獲したぞ。満遍なく調べてくれ」


”了解しました。情報収集後はどうしますか?”


「また囮に使うから焼却はしなくていいよ」


”これから収集作業に移ります”


作業を待っている間、ヘルメットに録画された先ほどの戦闘

をスクリーンで確認した。

今までのタイプは接近戦タイプしかいなかったが、こいつは

接近戦と遠距離を同時にやってきた。

しかも、特有の装備もないのに火の玉を出す。

これは一体なんなんだ?

この惑星の生命体独自の攻撃なのか?


深まる謎と共に純粋な興味が湧き出す。

当初は文明レベルも低く、とても戦利品なぞ期待できない

環境だと思っていたがなかなかどうして。

角持ちの武器は特に目立った機能などはなく、戦利品として

はお粗末であった。

しかし、それと同時に奴以上の敵がいることも確信した。

そいつを倒せば上等な戦利品が期待できる。

俺は自然に溢れる笑いを止められずにいた。


”収集作業が完了しました”


ポルトが船内のスクリーンを使って説明を始める。

それは非常に興味深い内容であった。


まず、俺が今まで倒してきた奴らは魔王軍という組織だということ。

これはこの惑星において強大な勢力らしく、支配を目論んでいる

らしい。そして、魔王軍と敵対しているのが人間(人類?)だ。


「人間だって?ということはここはやっぱり地球なのか?」


”彼らは地球という言葉を知りませんでした”


「どういうことだ?地球以外にも人間が存在できる惑星が

 あるということか?」


”現状、その考えが一番適切だと思われます”


「言語に関してはどうだ?」


”今までのサンプルとは違い、大量のデータが取得できました”


「それは魔王軍と人間の言語ということか?」


”主に魔王軍側の言語が補完されました”


「他に何かあるか?」


”この惑星では魔法という力があるようです”


「魔法?」


”今日捕獲した個体が高エネルギー弾を放出したのが該当します”


「あれが魔法・・・か」


”個体により装備が必要な場合とそうでない場合があるようです”

「その差はなんだ?」


”個体の知能レベル及びエネルギー量の違いがあるようです”


「今日の個体はその魔王軍の中ではどのくらいの強さなんだ?」


”斥候部隊の隊長クラスです”


「その魔王が一番強いなら、そいつを倒せば儀式が終了って

 ことだよな?」


”魔王の居住地はこの惑星上に存在しますが、捕捉できません”


「どういうことだ?」


”おそらく何らかの防御状態がそうさせると思われます”


「あの個体で何か使える細胞はあるか?」


”残念ながらスーツをアップデートする細胞はありませんでした”


他に手に入れた情報としては、今まで戦ってきた戦歴による個体

の数値化ができるようになったこと。

雑魚どもは概ね個体値が100前後であったが、今日の角持ちは

650を表示していた。

この数値が今後の目安として役に立つだろう。


「角持ちは死んだのか?」


”細胞レベルまで一度分解したので、体は再構築しましたが

魂は失われています”


まぁ、吊るすことはできるってことか。

しかし、かなりの情報を手に入れることができた俺は、退屈から

やっと解放されそうでこの環境を楽しむようになっていった。


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