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 ガクガクと足の震えが止まらず自分の足なのに全く言う事を聞かない···蛇に睨まれた蛙状態。


 魔族と初めて対峙してわかる重圧。


 全身から力を吸い盗られ、はっきりと見て取れる相手の邪気。


「タ···タクゥ···」


 必死に振り絞った微かな···恐怖でひきつったマヤの声にならない声が後ろから聞こえてきたが、後ろを向く余裕がない。


「おやおや、どうしました人間? 戦意がないならば邪魔しないでいただけますか? この私に傷を付けたこの忌々しい小僧の首を切り落とさないとなんですから」


 魔族はそう言うとディーノの首に自分の長い爪を押し当てる。


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 突然雄叫びを上げ自分の気持ちを奮い起たせ、駆け足で魔族へと詰めより手にした斧を横に振りかぶり、力任せに胴体へ叩き込む。

 途端にタクトの手に電撃の様な痺れが走り感覚を奪う。

「くっ···」


「残念でしたね人間、私の体が並大抵の武器が通じるわけないでしょ?」


 ディーノを掴んでいた手を放し地面に横たわるディーノ。

 その手で今度はタクトの首根っこを持ち体を宙に浮かす。


「邪魔するというなら貴方から殺しましょう。 この男も目の前で仲間である人間を殺され、憎しみと怒りに満ちたまま自分の死を待たせるのも悪くないでしょう」


『我が呼びかけに応えよ、我が力の解放を助けよ、そして我が敵を業火で焼き尽くせ!······イグニートアロー!!!!』


 刹那、一本の魔法の火矢が魔族の頭に突き刺さり全身を炎に包む。あまりの突然の事に両手で顔を覆いタクトの事も手放し、解放される。


「ぐおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」


「お···遅いぜ···元魔王が」


「詠唱魔法ってことは中級魔法だよね? なんで使えるの?」


「マジかよ···」


 ディーノ、タクト、マヤの視線の先にはアルバートがいて横にはマヤが。

 タクトが攻撃を魔族に仕掛けている間にマヤはアルバートに近づき回復魔法をかけ、口に魔力の回復薬を流し込んでいた。


「ありがとうマヤ」


「ううん。それよりなんで中級魔法が···?」


 グシャン!!


「ヒッ!」


 先ほど燃えていた魔族の体が絶命し、地面に崩れ落ちた。情けない声を上げたのはタクトだ。


「これで終わった···のか?」


「終わってくれなきゃ困る。 私の残された体力と魔力をありったけ注いだんですから」


 戦いが終わったことがわかると今まで隠れていた村人達がぞろぞろと姿を現し、4人を囲んだ。


「ほんにありがとうございましただ。 今日はゆっくりおやすみくだせぇ。 部屋は用意しましただ。」


 村人の申し出を快く受け入れ4人はそのまま床についた。

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