間章
雲一つない澄み切った青空。
そんな空の下を皮の鎧を着込んだ青年と、青い法衣に身を包んだ少女が街道を歩いている。
「あいつらと一緒に旅立とうと思ったら、飛び込みの仕事が入って3時間くらい遅れて出発することなったし! 」
「まぁまぁ、落ち着いてよタクト。旅にお金は必須だし、2時間程度で銀貨1枚の仕事だったんだから良いじゃない」
タクトと呼ばれた皮の鎧を着た青年を宥める少女。
それでも青年のイライラは治まらないのか、ズンッズンッズンッと力足を踏みながら進む青年。
「だけどよぉ、マヤは付いて来なくても良かったんだぞ? きっと魔族や見たことない魔物と戦わなきゃいけなくなるだろうし···その、なんだ、心配なんだよ」
タクトは顔を赤らめ、マヤと呼んだ少女の方に顔を向け今にも泣きそうな顔をしていたものだからマヤはクスッと笑みをこぼす。
「大丈夫よ。 私にはタクトっていう勇者がいるもの」
「ゆ、勇者って······俺の実力じゃまだまだだけど、いつかは勇者になるぜ! 」
ドン!!!!
"タクトは、もう充分勇者だよ"
その声は突然起きた爆発音にかきけされ、少し行った先に火の竜巻が見えた後に黒煙が立ち込める。
「なんか嫌な予感がする······行こう!マヤ! 」
「うん」
マヤとタクトは立ち込める黒煙を目指し走り出した。