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親友を作りたいなら女の子になればいいじゃない  作者:
1章. 天使とのゴールデンウィーク
6/40

6. 禁断領域

300PV、100ユニーク突破しました!こんなに読んでもらえると思ってなかったのですごく驚いてます!本当にありがとうございます!

今回はとある漫画を参考に書かせてもらいました。

「では、こちらへどうぞ」

「あ、私も中入ってもいいですか?この子極度の人見知りで」

「ええ、お客様が構わないのでしたら大丈夫ですけど」


 店の奥側、フィッティングルームと書かれた所はいくつも大きな試着室のようなものがあった。店員さんに言われるがままその中の一つに入ると、中は人が二、三人と入れるほど広く前には大きな鏡があった。


「それでは、準備してきますので少々お待ちください」


 そういうと、店員さんは行ってしまった。俺は今、男だと絶対に入ることの許されない禁断領域に踏み込んでいる。というより、強制的に入れられた。


「さあ奏向、上を脱いでください」


 この妙にテンションが上がってるやつに。


「店員さん来てからでいいでしょ!」

「まあ、別に構いませんけど。覚悟は早めに決めた方がいいですよ」

「お前が言うな!」


 もともとは、服を買いに行くとしか聞いてなかったために下着購入の可能性を完全に忘れていた。というか元からそんな考えがなかった。男だったら下着専門店なんかで下着を買うわけがない。有名な大量生産してる衣服店でそれとなく柄のいいやつをサイズを選んで買ってるくらいだ。だから、下着専門店で採寸をして下着を買う、なんてことは考えになかった。

 そんな今更な後悔を募らせてると店員さんがメジャーを持って戻ってきた。


「失礼します。お待たせしました。では、上着を脱いでもらってもよろしいですか?」


 ゴクリ、いよいよか。他人の前で半裸を晒すなんて、しかも女性に。男だったら逮捕ものだろう。ゆっくりと上着を脱ぎ始めた。


「あ、ブラは外さないで大丈夫ですよ」

「え、あ、はい」


 てっきり脱いでやるもんだと思ってた。


「それではアンダーバストから測りますね」


 アンダー?店員さんはそう言うと俺の胸の付け根あたりにメジャーを巻きつけた。


「えーと、アンダーは69cmですね。ではトップバストも測ります」


 すると今度はメジャーを胸の一番膨らんでるところに合わせて巻きつける。


「えー、トップは87cmですね。お客様のサイズはD70でDカップですね」


 ダメだ。全然わからない。でも、Dカップって大きいのかな?女になってからそこそこの重みを両胸に感じてはいるけど。


「あの、できればサイズとかの説明してもらってもいいですか?この子、まだちゃんとサイズ測ったことなくてトップとかわからないみたいなんです」


 俺の動揺を察してかエリスが店員さんに説明を頼んだ。


「あ、そうなんですか。ブラのサイズもあっているみたいだったので、てっきり経験があるものだと」


 店員さんは少し驚いたように返した。そういえば、俺の体を変えたのはこいつなんだからサイズとかも別に測る必要はないんじゃ……。


「成長期なんですから、いつサイズが変わるかわからないじゃないですか!」

「!!!」

「???」


 こいつ、俺の心の声を読みやがった。逆に店員さんは驚いてるし。


「えーと、とりあえずバストサイズについて説明させてもらいます。まず、バストサイズは胸の付け根あたりのサイズ、アンダーバストと呼んでいますがこちらと胸の一番膨らんでいる部分のサイズ、トップバストと呼ぶこの二つのサイズの差によって決まります」


 店員さんは丁寧に説明してくれる。ただ、これを俺が知っていいのかすごく複雑だ。


「AAAカップの5cmから2.5cmずつバストサイズが上がっています。お客様の場合は差が18cmなのでそれに一番近いサイズがDカップとなるわけです。ちなみに日本人ではB〜Dカップが多いと言われていますよ」


 サイズってそんな風に決まってたんだ。まあ、知らなくて当然なんだけど。鏡をチラ見するとDカップの胸が映る。Dってもっと大きいものかと思ってた。結構肩にくるけど。


「そしてブラの種類はカップだけではなくアンダーバストでも分かれています。お客様の場合は70cmに近いためブラの種類はD70となるわけです」

「「おー!」」


 気づけば二人して拍手をしていた。


「お、おほん。お客様のサイズのものをすぐご用意しますね。ご希望の色とかはありますか?」


 少し照れながら店員さんが聞いてくる。色。下着に特にこだわってたわけじゃないから色とかはなんでもいいんだが。


「それなら水色をお願いします!あとはピンクとか白なんかも!」

「かしこまりました。少々お待ちください」


 スタスタと店員さんが出ていく。


「なんで俺の好きな色知ってるんだ!」

「そんなのお姉ちゃんなんだから当然じゃないですか」


 ドヤ顔で威張るエリス。何故知ってるのかは天使の力とかなのだろうが、少しはプライバシーとかの考えはないのか。


「ちなみにピンクとか白を入れた理由は?」

「もちろんかわいいから!」


 こいつと出会ってから一日くらいしか経ってないが、俺で楽しんでるんではないかと思う。そうこうしてるうちに店員さんが戻ってきた。


「とりあえずご希望の色とデザインでいくつか持ってきました」


 青、水色、白、ピンク、フリルが付いてたりシンプルだったり模様が可愛いものなどが数着持ってこられた。


「奏向!とりあえず水色からにしてみましょう!」


 してみましょう?


「それではご試着をお願いします」

「え、え、あ、の、し、試着?」


 試着、しなきゃダメなの!?あまりの動揺に言葉が詰まる。


「はい。サイズが合うからと買っても、いざ着てみたら自分には合わないなんてことはザラですから。ご試着して確認された方がいいと思いますよ」


 そう言って店員さんは、水色のブラを渡してくる。試着ってことは、脱ぐんだよね!?無理!無理!

 だが、そのブラをエリスがひょいと取ると、


「すいません。着るまで外にいてもらってもいいですか?」


 と言った。明らかに動揺してる俺の姿を見てか店員さんは「かしこまりました」と外に出てくれた。

 少しホッとするが、それでも自体は変わらない。


「それじゃあ、とりあえず脱いでください」


 エリスはおれにそう諭した。ここまで来たら覚悟を決めるしかない。俺は意を決して着ていたブラを外す。それを下に置くと、水色のブラを着け始める。だが、思った以上に着けづらい。特に後ろでホックを止めるのが、腕つりそう。


「無理して後ろで止めなくても、前で止めてから後ろに回せばいいんですよ。あと、前かがみの方がやりやすいです」


 言われるがまま、前かがみになって前後ろを逆にして着けてみる。ん?ホックが三つもある。どれに止めればいいんだろう?


「最初は一番端のホックに止めるんです。他の二つは生地が伸びてきたように使います」


 エリスが所々解説してくれるおかげか、着るまではスムーズにいけた。あとはこのストラップを両肩に掛けて、と。


「それで終わりじゃないですよ。今朝も言った通りブラのカップに胸を収めないと」


 エリスに後ろから抱きつかれる。手を握られて勝手に胸を寄せ始めた。


「ちょ、また!?」

「ちゃんと入れないと形が崩れちゃうんですよ?ほら!」


 みるみるうちに胸の肉がカップの中へと収まっていく。いつのまにか、綺麗な半球が二つ出来ていた。


「はい!鏡を見てください!」


 上体を起こすと鏡に映ったのは可愛らしい水色のブラを着けた少女だった。


「え、これ」

「店員さん!着け終わりました」

「はい、確認します」


 しばらく、ぼーっとしながら店員さんがブラの着け心地を確認する。


「はい。サイズが合ってないとかはないみたいですね。お客様の感じはどうですか?変なところはないですか?」


 これが、俺?新しいブラを着けて、似合ってるか確認して、まるで本当に年頃の女の子になったような。


「さま?客様?お客様?」

「ひゃ、ひゃい!」


 意識が現実に呼び戻される。いつのまにか考えふけってたみたいだ。


「着け心地に変なところはないですか?」


 店員さんに促されるまま、体を捻ったり、肩を回したり、飛んでみたりしてみる。


「多分……大丈夫……です」

「そうですか。でしたら、他のも試着してみましょう」


 店員さんが別のブラを差し出す。


「あ、できれば下のサイズも測ってもらえますか?」

「かしこまりました」


 その後はお尻のサイズを測られて、ブラの試着を何点もして、ショーツも選ばされて、気付いた時には会計が終わっていた。自分自身、よくわからないけど気持ちがずっとふわふわしてる。嫌な感じじゃないけど落ち着かない。


「こちら、お客様のカードになります」


 渡されたお店のカードには「柏木奏向」と書かれて、胸やお尻のサイズが記載されていた。


「また、何かありましたらお気軽にご来店ください。採寸でも相談でもなんでも質問してもらって構いませんから」


 店員さんは笑顔で見送ってくれた。俺はその時、初めて店員さんの顔を見た。すごく綺麗な女性で、すごく親切で。また、お願いしようかな。


「ふふ、奏向が嬉しそうで良かったです!」

「へ?」


 自分の頰が緩んでることに気がつかないほど、俺はショッピングを楽しんでたみたいだ。これで、本当に男に戻れるのだろうか。でも、今はいいかな。


「さあ、次のお店行きますよ!」


 俺はエリスの背中を追いかけながら。次のお店へと向かっていった。



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