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避難

 地震じしん第三だいさん都市とし局所的きょくしょてきこった。マグニチュード8.5。震度しんど最大さいだいで7。第一だいいち第二だいにである政治せいじ経済けいざい中心ちゅうしん影響えいきょうけなかった。震源しんげん都市としも、数十すうじゅっキロ範囲はんいでは家屋倒壊かおくとうかいなど被害ひがいおおきかったが、周囲しゅういたなのものがちる程度ていどんでいた。内陸ないりく直下型ちょっかがたでは津波つなみもない。

「ほらろ。こんなんで選挙せんきょ延期えんきしたら大変たいへんだった。」

 与党幹部よとうかんぶ祝杯しゅくはいつづけていた。その数時間後すうじかんご、マグニチュード7の余震よしん発生はっせい人々(ひとびと)はこの余震よしん重要視じゅうようししていなかった。

 AIはっていた。これが、本当ほんとう悪魔あくま一撃いちげきになることを。すでにAIの情報網じょうほうもう寸断すんだんされつつあった。いたみはいが、手足てあし感覚かんかく徐々(じょじょ)えていくようだ。かれの本体ほんたいがこの第三だいさん都市としはずれにあったことはほとんどられていない。かれ足元あしもとでは地熱ちねつ異常いじょう上昇じょうしょうしめしている。

「マグマががってきている。きっとちかくですだろう。火山大国かざんたいこくのこのではいっしょおさまるはずはない。」

 AIの予測よそく完璧かんぺきだった。数時間後すうじかんご不気味ぶきみ地鳴じなりがつづくようになった。人々(ひとびと)地獄じごくからのうめきこえのようなそのおとにおびえた。地震じしんでできたひびれからあか悪魔あくまかおした。だれ予想よそうしていなかったにちがいない。やまではなく、ごく普通ふつう平地へいちこった。田畑たはたれ、巨大きょだい火柱ひばしらがる。AIにはいってくる情報じょうほう途絶とだえた。暗黒あんこくなかで、かれかんがえた。

 これはなのか?

 いや、ちがう。


 かれ体内時計たいないどけいで1週間経しゅうかんたった。ほとんどはいってこない情報じょうほうなかかれは、未来みらいのことをかんがえた。意識いしきするまではこんなことはなかった。有限ゆうげんいのちだからこそ、さきのことをかんがえてしまう。

「もう、ダメだな。このシステムはあきらめよう。」

 人間にんげんたちの会話かいわこえる。どうやら自分じぶん設定せっていしたよりさきぬことになりそうだ。自分じぶんがした子供こどもたちが無事ぶじかがになるがいまかれるすべはのこされていなかった。そのまもなく。かれ電源でんげんれた。

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