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チンコロ

 ジンゴロはつぎにはたびた。

かえまえに、ねえさんに手紙てがみとどけてほしいからもう一度寄いちどよってくれよ。」

 ヤツは万一まんいちとき連絡れんらくにと、一筆書いっぴつかいてかれわたした。ジンゴロにはなんていてあるかはわからない。

 そとへでると、むらひとびかけてくる。

「チンコロ、またてくれよ。」

「チンコロ、達者たっしゃでな。」

 どうやら、ジンゴロがチンコロにこえたようだ。この地方ちほうではチンコロは子犬こいぬのことをす。それは、さげすむ表現ひょうげんにも使つかわれるが、すくなくともかれたいしては親愛しんあい意味いみ使つかわれていた。


「ヒロもそうだが、この地方ちほう濁点だくてん発音はつおん苦手にがてなようだ。」

 ジンゴロはいくつかの集落しゅうらくまりあるいた。どこへいっても歓迎かんげいけた。しろあたたかいオムスビにしょっぱい大根だいこん塩漬しおづけ。すっぱいうめ紫蘇漬しそづけ。粗末そまつではあったが、かれらの精一杯せいいっぱいのもてなしにジンゴロは感激かんげきした。

 かれっていた。かれへのもてなしのための料理りょうりに、むら人々(ひとびと)何日分なんにちぶんもの食料しょくりょう消費しょうひされてしまうということを。かれは、それをむら子供こどもたちと一緒いっしょべた。子供こどもたちにとってきゃくがくるなど非日常ひにちじょうのことだ。非日常ひにちじょうのときには、非日常ひにちじょう食事しょくじがあってもいいだろう。かれはおれいちいさな人参にんじんのウサギや大根だいこんうまって、子供こどもたちに手渡てわたした。べてくれていいのだが、かれらはそれらがからびるまで大事だいじ神棚かみだなかざった。


 時折ときおり買出かいだしにまちとおる。まちひとは、ジンゴロがまりたいというといくらせるかとたずねる。食事しょくじがしたいというと、ちかくのみせへと案内あんないする。

「よそものあぶないから民家みんかじゃ部屋へやにあげてなんてくれないよ。玄関げんかんまでてくれるいえはまだ親切しんせつなほうさ。」

 みせ女将おかみさんがおしえてくれた。

「このくにには、2つの民族みんぞくがいるかのようだ。」

 ジンゴロはおな民族みんぞくなのに環境かんきょうによってこんなにも人々(ひとびと)態度たいどわるものなのかとおどろいた。

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