表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/67

クジラに乗った人々

 むかしちいさなしまちいさなくにでのはなしあらそいもく、人々(ひとびと)うみとわずかな大地だいちからのゆたかなめぐみ不自由ふじゆうなくらしていた。あることおおきなくろふねおきあらわれた。

「おけクジラだ。」

 島中しまなか大騒おおさわぎになった。


 しま周囲しゅういあさいサンゴしょうのため、ふねちかづけなかった。何艘なんそうもの小型こがたのポートで船員せんいんたちが上陸じょうりくしてきた。ふね遭難そうなんし、みず食料しょくりょう調達ちょうたつするためにやってきたようだった。

 住民じゅうみんがいるとわかると、船員せんいんたちは身振みぶ手振てぶりで交渉こうしょうをする。

「すべては、自然しぜんめぐみ。」

 かれらがこまっていることがわかると、しまひとたちは気前良きまえよ食料しょくりょうけた。かれらは元気げんきになるまでしまらした。ぼろぼろのふくしま女性じょせいたちはしまでは貴重きちょうぬのけて起用きよう補修ほしゅうした。おとこたちは、かれらに食料しょくりょうとなるはこんだ。

 言葉ことばつうじなかったが、船員せんいんたちはしま人々(ひとびと)感謝かんしゃしるしとしてナイフやロープなどしまにないしないてっていった。

 翌年よくとししまには数隻すうせき船団せんだんがやってきた。通訳つうやくっていた。何人なんにんもの通訳つうやくて、会話かいわはじまった。

昨年さくねんは、わがくにふねたすけていただき、女王じょおう感謝かんしゃしております。」

 船長せんちょう女王じょおう親書しんしょ手渡てわたすと、金銀きんぎん装飾品そうしょくひん反物たんものなどをしまおさわたした。よるになると、うたげはじまった。しま料理りょうり外国がいこく料理りょうりならぶ。

 大人おとなたちははじめての料理りょうり戸惑とまどったが、子供こどもたちはそのあじゆたかさにすぐにとりこになってしまった。むしろ大人おとなたちは、こと金属製品きんぞくせいひん興味きょうみがあった。


 何度なんどかの訪問ほうもんにより、しま連中れんちゅう異国いこくめずらしいしながもっとしいとかんがえるようになった。

本国ほんごくではしま修復しゅうふくしたふく人気にんきがある。パッチワークでつくられたものがあれば交換こうかんしよう。」

 船長せんちょうもう

しまには、材料ざいりょうとなる植物しょくぶつがほとんどい。」

 と、島長しまおさこたえた。


 船長せんちょう材料ざいりょう調達ちょうたつするとうので取引とりひきはじまった。はじめは島民とうみんのペースでキルト生地きじつくられていた。しかし、人気にんきがでるにつれ要求量ようきゅうりょうえていく。しまおんなたちは家事かじをそっちのけではたらかされるようになった。収入しゅうにゅうえるにつれ、男達おとこたちりょうなくなった。わざわざりょうにいかなくてももの輸入ゆにゅうすればむようになったからだ。


「これで、しあわせになれているのだろうか?」

 しま若者わかものジンゴロは浜辺はまべおきまっている巨大きょだいふねをみながらつぶやいた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ