プロローグ
*一部描写にてマヤ文明とは異なる説明などがあります。
あくまでIFストーリーとして楽しんでいただけると幸いです。
谷山に吹き抜けていく砂風。
その麓付近にて二人の男が全身ひどく傷だらけでありながらも、重い足で急な坂を登っている。
それと同時に何か目的を成し遂げたい執念と、正義感あふれる意思がオーラとして放ち、一歩ずつ前に進み続けていた。
「---私らの旅もここまできたようだね」
蒼き髪で所々ひびが入った鎧を纏っているタクトは隣にいる相棒に潔く言ったことに対し、薄赤と黒に混ざった髪でボロボロの布マントを羽織った裕樹は「そうだな」と答え、さらに言い続けた。
「世界が暗闇に満ちているなかで、誰もが平和を望んで足掻いているんだ!だから俺は・・・いろんな人たちから託された全ての想いをここで無駄にはさせない!!」
「あぁ!好き勝手に暴れているあいつらを倒して、この広い大陸と私たちの王国をヒロキと共に救ってみせるぞ!!」
裕樹とタクトはお互いの拳を軽くぶつけ、決意を固めたのであった。
しばらく谷山の頂上にたどり着いた二人は、断崖絶壁の先に聳え立つ居城を発見する。
辺りには紫色の霧があらゆるものを拒絶しているかのように不気味に包みこまれていた。
タクトは大きな城を見た途端、とてつもない緊張感と恐怖に突然襲われたのだが、何事にも屈しない勇気が唯一の感情を表していた。
一方、裕樹は険しい顔になりながら、心のなかでつぶやいた。
「やっとたどりついた・・・俺はこのときを迎えるまでどれだけ待って、どれだけ戦い抜いてきたか・・・すべての元凶は自分がいた世界こそが始まりだったな・・」
そして目をゆっくり閉じて、これまでの出来事を振り返りはじめたのであった。