千夜
私は、好きなのか?マサルのことが…
私は、あの後マサルと別れて今、ボロアパ-トの洗面台で自分の顔を見つめながらそんなことを思っていた。
バンバンバン!
ドアを激しく叩く音が聞こえる。
あ-大家さんかな-また、家賃払ってないのかな…
そんなことを思いながら息を殺した。
「ったくそろそろ家賃払えよ!ったく…家には、誰一人いないし…これじゃあマリンちゃんと千夜君が可哀想だよ…」
ボソボソ大家さんが言った。
…すみません…すみません…家賃を払えなくてすみません…
私は、心の中で何度も謝った。
スタスタスタ…
大家さんは、立ち去った。
それと、同時に私は家を飛び出した。
…良かった!大家さん気付いてない!
私は、裸足のまま2Km離れているマサルの家に行った。
はぁはぁはぁ…
私は、先が見えない草むらを走っている。
今にも、心臓が口から飛び出そうだ。
けど、そんなことどうでもいい!伝えなきゃ!私の気持ち!
聞かなきゃ!マサルの気持ち!
すると、いきなりトラックがこちらに向かってきた!
私は、逃げようとしたが挫いた足が言うことを聞かない。
…もうダメ-…
と思ったとき。
ドンッ!
と鼓膜が破れそうな位の生々しい音が聞こえた。
当たった…
と思いゆっくり目を開けると前には、血まみれのマサルが倒れていた。
「…マ、マサル…?」
私は、おどおどしながら言ったけど、返事は無い。
それどころか、どんどんマサルの顔が青白くなる。
どうしよう…
混乱していると
「あれっ?助けないんだ~」
倒れたトラックから、陽気な少年の声が聞こえた。
その声は…!
「千夜…!」