縛りと言う名の鎖
「さぁ、乗って!」
カインが手を出し、ニコッと微笑んだ。
「う、うん…」
な、何ですの!?この気持ちは!!心臓が高鳴りますわ-!!
わたくしは、ドキドキしながらカインが出した手を強く握った。
まるで、この手を絶対離さないように-…
カインが馬車の扉を開け、わたくしをエスコートしてくれた。
そして、カインも乗った。
「バンダモ-レ!空の彼方へ飛べ-!」
すると、凄い形相でカインは言った。
そして、カインの響き渡る声と共に、馬車とボロボロの雑巾が浮いた。
「ブラックキャッスルへ行くことを四天王、カイン・アルデスが命じる!」
また、凄い形相でカインは言った。
すると、馬車とボロボロの雑巾が急上昇した。
「い、いやぁぁぁ!おっ、落ちるぅぅぅ!」
嫌嫌嫌!死にたくないよ-!
そんなことを思っていると、フフっと笑われた。
「死にたくないよ!死にたくないよ!」
「マリンちゃん…死なないよ…だって、僕の魔力で馬車をバリアしてるから!」
馬車の周りは、薄い水色のバリアが張っていた。
あっ、本当ですわ!バリアが張っていますわ!
…良かった~
わたくしがほっとしていると、窓から空を見ていたカインがいきなり、真顔でこっちを向いた。
そして、思い口を開いた。
「君に質問がある…
ごくっ…息を飲む。
君は、本当のお嬢様?」
「…えっ!何でですの!?」
「だって、君の口調が白々しい」
「…っ!」
図星だ。
やはり、バレてしまうものなのね…こんなに頑張ったのに…
段々、涙腺が緩くなり、じわっと目に温かい水が
頬に流れる。
っっ!止まれ!止まれ!こんな姿カインに見られるなんて恥ずかしいよ!止まれ、止まれ!
それでも、ポロポロ流れる温かい水。
それに気づいたカインは、そっとわたくしを抱き締めた。
カインは、温かい。
抱き絞められたその手が-…
密着している肌が-…
この暖かさ…懐かしいなぁ…お母様…
いつの間にか私の温かい水は止まっていた。
「…君は、君で良いんだよ…個性を殺したら駄目だよ…」
「うん…!」
…もう、これで良いんだ-もう、これでっっ!
私は、色々な思い鎖がとれたかのような感じの解放を感じた。
色々な縛りが取れた…自由が私に来たんだ!
また、ポロポロと温かい水が頬に流れた。
でも、さっきとは違う苦痛の涙じゃない!
私の新しい一歩の涙!
私は、静かにカインに言った。
「…カイン…聞いてくれる?」
と-…