1-43 エピローグ
ありがとうございます。
バリバーンから連絡が来た。
あのUSBメモリーの内容からギルドの地下で行われていた非道な実験は総本部に知らされる事になった。
あの研究所で色々と悪さをしていた奴らはたったの一人を除いて皆死んでしまっていた。
その生き残りであり、俺と実久が捕まえたあの白衣の男はその後バリバーンに連行されていった。
こうしてこの街の地下で行われていた非道な事件は解決した。
ということで俺たちもこの街から出る事が正式に許可されたのだが。
「早くしないさいよ!」
先に門の前に待っていた実久が不機嫌をその顔にぶらさげているのだが、あのやろう、荷物を全て俺に全なげしてきやがった。
「こちとら重いんだよ!」
「あんた男でしょ! それくらいで弱音吐いてんじゃないわよ!」
次の街が結構遠いらしく、これまた結構な量の食べ物を買い込んだのだが……うぐ、重い。
「ふぅー」
荷物を馬車に乗せてとりあえず一段楽だな。
ここから次の街まで一週間以上掛かるらしいが、今回はずっと馬車での移動だからな。体力面では前より楽だろう。
ここに来た時は途中から馬車だったけど、前半は徒歩だったからな。
マーレ師匠の命令で。
今までは修行も兼ねて馬車はできるだけ使わないようにしてきたのだがこれからはそうもいかないため、なななんと、馬車を買いました。
無論、実久のお金でだ。
おいこらそこ! 甲斐性が無いとか言うな! こちとらこの世界に来てからお金を稼ぐ事が出来ないでいるんだよ!
「さて、荷物も運び終えたし、後は待つだけね」
「そうだな」
何を待つかって?
そんなもの。今更言葉にする必要もないだろ? わかりきっている。
「ご、ごめんなさーいっ!!」
慌てた様子で向かってくる一人の少女。
「遅いじゃない。何してたのよ」
「……はぁ、はぁ、ごめんなさいですぅー」
「ふふ、もう。謝る必要なんてないじゃない。これからは一緒に旅する仲間じゃない。そうでしょ?」
「メディン」
薬草師メディン。
「はいっ!」
満面の笑みで頷く彼女は俺たちと共にいく事を選択した。そして、それを俺たちは承諾した。
俺の力じゃ実久が怪我をした時に助ける事は出来ないからな。
そんな時はメディンの薬草師としての力が必要になるだろうしな。
「それじゃあ。次の街に行くわよ!」
「「おー」」
元気よく声を張り上げた実久が天に向かって突き出した拳を追うように、俺とメディンもまた拳を振り上げた。
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これはまだ俺の物語の序曲。
第一章 完
これにて第一章完結でございます。
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