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1-33 お前凄い奴だったんだな

 お待たせしました!

 今週も頑張っていきましょーう!!


 扉をぶった斬った先に続くのはさっきと同じような白い廊下。


 正直嫌になる。


 またこの道を進むのかと憂鬱にもなるのだが、ふと後ろから視線を感じた。


 なんだこの感じ。視線の主はおそらく一つ。だけど、まるで複数の者に見られているような。

 そんな、よくわからない感覚を俺に与えた。


 視線の持ち主が動く気配はない。

 ここで戦うのは正直避けたい。うまくいけばパソコンからデータを復旧させることの出来る可能性だって万が一にもあるかもしれないからな。


 戦いに巻き込まれて壊すわけにはいかない。


 先がどうなってるかはわからないが、向こうから出てくる気配は今の所ない。


 進むしかないか。


 いっそのこと視線の持ち主を置いていってみるか。


「ピピカ」


(オッケー)


 雷纏を発動しながら肉体とリミッターを解除する。


 圧倒的な力によって俺は一気に加速した。


 これなら視線の持ち主も見失うだろう。そう思ったのだが。


 代わりに背後で凄まじい爆発音が鳴り響いた。


「なんだ!?」


 慌てて立ち止まり、後ろを見る。

 見えるのは真っ黒に染まった煙。直接は見えないが、さっきの部屋で爆発でもあったのか!?


 黒煙はゆっくりとだがこっちに向かっている。

 あの煙そのものに熱はないと思うが、ススだらけになるのはごめんだな。


 広い場所に抜けるまで全力疾走しようと視線を前に戻そうとした瞬間。煙の中に何かが違う黒を蠢めくのが見えた。


 そして気付く。


 例の妙な視線あの煙の中からする事に。


 煙の中から出てきたそれを見て俺は不覚にも硬直してしまった。


「……なんだよ……あれ……」


 それが何であるか。

 それを文章で説明しようとすれば、翼の生えた黒い三つ首の四足動物。


 三つの頭はそれぞれ鳥、狼、そして。


「……龍の顔か?」


 真ん中で強い存在感を放っている龍の顔。

 それは一体なんと呼称すれば良いのだろうか。


 キメラのようなケルベロス。


 キメラケルベロスとでも呼んでおくか。そのまんまだけど。


「ぐごわぁっ!」

「おおっと!」


 狼の首が突然伸びたと思ったら噛み付いてきたぞ!?


 躱すのとほぼ同時に鳥の首も伸び、狼の頭とは真逆。背後から迫った。


「らっ!」


 抜刀と同時に斬りつける。見よう見まねの抜刀術だ。


「ちっ。硬い」


 鳥首を落とすつもりだったのだが、鱗のようなものに覆われている首は頑丈で小さな傷すら付けることが出来なかった。


 攻撃が通用しないという事態に一瞬動きを止めてしまっていると、残った真ん中の首。龍の頭が大きく口を開けた。


「ブレス!?」


 真紅に染まった業火が打ち放たれた。

 この狭い廊下じゃ逃げる場所なんてない。


「ピピカ!」


 俺の心臓のあたりから翼の生えたちっこい人間に見える精霊のピピカが具現化すると、前の戦いと同様、俺の頭の上で静止した。


「大っきいのいっくよー!」


 全身からビリビリと放電させながら小さな両手を前に突き出すピピカ。


 今までは細くて早い電撃を何本も同時に放っていたが、それは相手が人間だったから必要以上に威力をあげる必要がなかったからだ。


 それと、俺自身が心の中で人間を消し炭にしてしまうような攻撃を人間相手に使いたくないと思っていたからだ。


 俺は言っていなくとも契約の関係で俺たちは互いの心が繋がってしまう。そういう迷いや拒絶は強く伝わってしまう。


 だが今回それはない。


 キメラケルベロスを滅する事に迷いなんて皆無だ。


 特大の電撃が一本。まるで光線のようなそれが放たれた。


「……すげえな」


 ピピカの放ったそれは炎を打ち破るだけでなく、その後ろにいたキメラケルベロスごと消し炭にしていた。


 ……鎧男戦で使われることなくてよかったな。

 次回更新は明日です!

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