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1-32 研究施設

 切り抜いた扉の先にあったのは広い空間だった。


 中央に果てしない存在感を放っている円柱状の水槽らしきものがある。


 それの中に何があるのかはガラスが曇っていて見えないが、おそらくはこれがここでの研究対象、あるいは実験の産物だろうな。


 どっちにせよ、嫌の予感しかしない。


 この部屋はこの研究所でも中心的な場所だったんだろうが、俺たちの襲撃を知っているのか、たくさんある席には誰一人座っていない。


 近くにあったデスクのコンピュータを弄ってみる。


「…………実験データは破棄されてるっぽいな」


 万が一のために消しているのだろう。多分他の端末を調べたところで意味ないな。


 それにしても、この世界でパソコンを見る事になるなんてな。


 そんな化学技術ないと思っていたが、この世界で一番大きな組織らしいギルドにはそういう機械類もあるらしいな。


 まあ、箱型の旧式だけど。


「さて、次に行くべきはどっちだ?」


 研究所っていうのはそこに所属していて慣れている者以外からすれば迷路だと思うんだよね。


 考えたところで道がわかるわけじゃない。

 ゲームとかだと謎解きとかあるかもしれないが、ここは現実。道が封鎖されているなら切り開けば良い。


 あっ。扉見っけ。


 探索をしていたら扉を三つ見つけた。うわー、また分かれ道だー。


 ほんとこういう分かれ道の多い場所って嫌なんだよなー。選んだ道が違かったら面倒だし。


「さて、どの道を行くか」


 とまあ、ぶっちゃけ考える必要はなさそうなんだよなー。


「……さて、この扉だけロックされているわけだが……まあ、そういう事だよなー」


 ここにいた奴らがここから退避して追ってこられないようた鍵をした。そんな感じだろう。


「はーい。ぶった斬りまーす」


 もはやこの施設を破壊する事に迷いなんてない。


 息をするかのように刀を抜いた俺は上段に構え、一閃。


「さて、行くか」


 扉なんて最初からなかったのだ。

 そんな気持ちで俺は先に向かった。


   ☆ ★ ☆ ★


 気持ちを落ち着かせた後、あたしは一人先を急いだ。


 さっき一つの扉を壊してきたのだけど、そこから廊下の感じが一気に変わったのよね。


 洋館のような場所から真っ白の、まさに研究所って感じのする場所。


 また扉。


「ていっ」


 立ち止まる事もなくあたしは拳に電撃を纏わせるとそのまま扉をぶち抜いた。


「……ここは……」


 そうして出たのはたくさんのパソコンがある部屋。


 真ん中で強く存在感を放っている円柱状の水槽っぽいものはとりあえず放置。


「データは……削除されてるか」


 こっちの世界にもパソコンなどの電気器具があることは知っている。


 だけど構造は物理世界にあるものとは違ってところどころ幻理の応用がされていて、つまり魔法が使われているわ。


 イメージするなら電気の代わりに魔力で動くパソコンね。


「さてと……既に壊れている扉が三つ……」


 あたしがたった今壊した扉以外にらしきものが三つあるのだが、その全てが破壊されている。


 内二つは壊し方が一緒ね。

 この感じ、斬ったって感じね。


 もう一つのこれは燃やしたって感じ。だって焦げてるもの。


 確かに一輝っていつの間にか刀を持ってたわね。

 あいつが剣を使えるなんて聞いたことないけど、この切り口。……うん。上手。


 二つあるってことはどっちかから入って来て、もう片方から出たって事になるけど……。


「凄い力押ししてるわね。あいつ」


 どっち側から扉を破壊したのかは一目瞭然だった。


 瓦礫が奥の通路まで散乱している。こっちね。


 あたしはそう結論付けるとその道を進み始めた。


   ☆ ★ ☆ ★

 次回更新は月曜日です!

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