4話
人は辛い時こそ真実を知る。
人は涙してこそ成長出来る。
それでも前を向いて生きていきなさい。
『風の声』
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「そんな事あるわけ無いでしょ?もしあったとしても私は行かないから玲音一人でいって来なさい。」
暁美は玲音が思い描いていた想像通りの答えを持ってきていた。
やはりこんな話、誰がどう聞こうが信じられた話では無いのだ。
もうこの世にはいない人のライブなんて暁美が信じるはずもなかった。
「分かった。」
本当は嘘のようで本当の話だと伝えたかったがその日はやけに言葉に詰まった。
チケットだけをテーブルの上に乗せて玲音は自分の部屋へと向かった。
今夜はやけに静かな夜である。
あまり自分の感情を表にださない暁美があんなにも悲しそうな表情をするとは思ってもいなかったので"分かった"以上の言葉以外浮かばなかった。
逆に父に本当に会える最後のチャンスだと伝えた所で暁美をより悲しませてしまうのではというのと父は本当は私なんかよりお母さんに会いたいに決まっているのに私だけが行って良いのか?と玲音はその夜、悩みながら気がついたら眠りについてきた。
夜が明け、照りつける太陽の光が玲音の顔を突き刺さり目が覚めた。
いつものようにリビングに行くといつも横になって韓国ドラマを観ている暁美の姿は無かった。
何処かのスーパーの特売日だろうか?
そう思った玲音は1人朝食を済ませ自分の部屋へと向かった。
「んーライブって言ってもどんな服を着て行ったら良いのだろう?」
玲音はライブとかパーティーに誘われた事がなく、でもそれなりに身だしなみは気にしたせいかひと通り落ち着きのある黒をベースにしたワンピースやらジャケッ卜を取り出しては悩んでいた。
「やっぱりこういう日こそお洒落をしないとね~」
鏡の前で色々なバリエーションを着てみた結果、黒のワンピースに赤いカーディガンを羽織る感じにした。
この日は暁美が居なかったのでひと通り家の事を済ませ皇綺羅図書館へと向った。
図書館では颯人が待ってましたと言わんばかりに御馳走を並べて待っていた。
図書館の机に豪華な料理と言うのも何かシュールに見えて玲音は驚きの前に爆笑してしまった。
「ねーねー颯人、いくらなんでも図書館としての礼儀があるんじゃない?」
「僕の図書館だからいいんだよ、この方が特別感があって良いだろ?折角の玲音のお父さんの晴れ舞台なんだからさ!」
颯人は今までに見た事の無い位楽しそうだった。
流石にライブの時間までは武雄は顔を出せない決まりなので時間になるまで二人で他愛のない話で盛り上がったりお薦めされた本を読んだりして過ごした。
「ほんと颯人と居ると時間が経つのがあっという間なんだよなーてかもっと一緒に居たくなる」
「そうだね、俺も玲音と居ると楽しいよ」
そこで玲音はいつも感じている違和感に気づいた。
「ねー、颯人、いつも思っていた事を言っても良い?」
「ん?どうしたの?」
「颯人っていつもはどうなのかは分からないけど、私と話してる時にたまにだけど悲しい顔をするの、、、なんで?」
すると颯人ははにかんだ笑顔で上を向いた
「俺ってすぐ顔に出るんだよなー、、、」
ふと気付くと颯人が真面目な表情になってこっちを見ていた。
颯人の眼力が玲音に緊張感を演出する、、、
生唾が聞こえてしまうくらい静かな時間が流れた。
颯人が少し息を吸い込み
「あーやっぱやめたやめた!今言う事じゃないよなー今は玲音のお父さんの成功する為に頭がいっぱいでさ、その、、、ライブが終わってからでもいい?」
思わぬ回答に安堵感か玲音は深い溜息をもらした。
「もぅーなんだったの?緊張して胸がはちきれそうだったよ、ライブの後、絶対だよ?」
「うん、、、」
そして二人は、ホットティーを飲みながらその時まで過ごした。
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お久しぶりの投稿になります。
大分遅くなり気がついたら夏が過ぎて残暑ですね、私は夏バテしててなかなか次話がかけない状態でした、すみませんでした。
(半分嘘で半分は優しさです)
で、今回の話になるのですがいつもより短い文面でお気づきでしょうが、この終わり方が1番"きりが良い"と思ったので一旦ここで区切らせて頂きます。
さて、次回は遂に最終話となるのですが玲音、そして颯人の行末はどうなるのでしょう?
次話は夏バテにならなければ来週中には投稿したいと思っております。
ここまで読んで下さった皆様、最終話も楽しみにしていて頂けると嬉しく思います。
おかぴ先生