Episode2 日常品
背中にヒヤリとしたものが走る。こう言う時は変に抵抗しない方がいいんだっけ?
「...わかりました。その話受けます」
この後どうなるのだろうかと息を呑む。しかし返って来たのは意外過ぎる反応だった。
「本当ですか!?良かったです!あ、この書類にサインと印鑑お願いします」
突然の変わりばえに言葉を失う。多分僕じゃなくてもこうなると思う。
そんな僕の様子に気が付いたのか声を掛けてくる。
「あ、先程は傷口に塩を塗る様な事をしてすみません。しかしどうしても貴方に預かって欲しかったのです。そのままだったらどうしても断られてもおかしくはなかったので...」
どうやら演技だったらみたいだ。でも、そこまでして俺に預かって欲しい理由はあるのだろうか?
まあ、おいおい分かることだろう。サインと印鑑を押した。
「こちらが彼女の詳細です。」
「わかりました。ありがとうございます」
「ところで明日はお暇でしょうか?」
明日か何か予定が入っていただろうか?明日は精々春休み中に読む本を買うぐらいだ。
「特に予定はないです」
「そうですか。では買い出しに行きませんか?」
「買い出しですか?彼女のですか?」
「はい、日常品などを早めに揃えたいと思っていますので」
確かに女子の好みなんてわからないから冬里さんが一緒なら安心だと思う。
「わかりました。何時からにしますか?」
「そうですね、朝の九時にまた来ます。それからにしましょう」
朝の九時か、妥当な線だと思う。
「わかりました」
「こちらこそありがとうございます。お茶美味しかったです」
「そうですか?ありがとうございます」
市販のパックを使ってるんだけどなあと思ったが、深く考えずに終わった。
しかし、ここまで大切にされている彼女とは一体どういう人なのだろうか?
少しだけ興味を持った。
***
「よし!」
準備を終え、後は冬里さんを待つだけだ。
ピンポン
とチャイムがなった。
外にいたのは案の定冬里さんで今日はグレーのスーツだ。グレーのスーツだからか長い黒髪が良く目立っている。
「お待たせ致しました」
「いえ、大丈夫ですよ。どこに行きますか?」
「...そうですね。先に日常品を買いましょう」
ということでバスに乗って近くの大型チェーン店に行くことになった。
「冬里さん」
「なんでしょう?」
「一応お金下ろして来たんですが足りますか?」
「すみません。言い忘れていましたね。彼女の物は経費で払うことになっています」
「わかりました」
日常品とか消耗品とか色々足したら大分お金が掛かりそうだと思っていたので、少し安心したが、それだけのお金を持って来た冬里さんも凄い。
色々考えている間にお店に着いた。
まだまだ頑張ります!ので、次も見て下さると嬉しいです。また、誤字脱字等ありましたらご指摘お願いします。