廃病院のカルテ
ある廃墟マニアの男がいた
彼は山奥にあるという廃病院の噂を聞き そこに向かうことにした
噂通り 廃病院は見つかった 閉院してから長らく放置されてたであろうその建物は草木で覆い尽くされ荒れ果てていた
第9話「廃病院のカルテ」
正面入り口が施錠されていたが 窓が開いていたので男はそこから忍び込んだ
中は様々な医療器具の残骸やカルテらしき紙が散乱していた
壁にはよく分からない趣旨の落書きやらでかでかと「祝ってやる」などと書かれていた
「呪ってやる の間違いかぁ?」
などとのんきな事を考えながら進むと やがて診察室らしき所にたどり着く
とても寝れそうにないベッドやら 今にも動き出しそうな骨格標本やらがあった
「うわ 雰囲気バツグンだな」
収穫品は無いかと 診療机の上を探る 机の上もカルテらしき色あせた紙が散乱していた
探っているうちに 気になるカルテを発見した
「☓山○男」
自分の名前が書かれていたのである しかし 男にはここを受診した記憶が無い
「なんで俺の名前が・・・同姓同名か?」
気になった男は他の部分も読んでみる
生年月日
住所
全て自分のものだった さすがの男もこれには気味の悪さを感じた
が 好奇心というものは恐ろしいものである 男はその「自分のカルテ」を読み進めていった
すると
<☓☓年 ○月□日 複雑骨折>
当院受診・・・ X-P撮影・・・
「レントゲン撮影する場所なんてどこにあった? って待てよ?」
日付を見る その日付はなんと未来のものだった
「なんだこれ健康預言書か! こいつぁすげぇ! 持って帰ろ!!」
それからというもの カルテに書かれている日付が近づけば
男は病気や怪我に注意するようになった
きちんと病気予防をし 骨折など事故っぽい内容だと 周囲に気を付け
事故を回避することができた
周囲からは「几帳面すぎるだろ」「気持ち悪い」などとも言われたが
そんなことは気にはならなかった それで病気や怪我が回避できる それだけで充分だった
そんな素晴らしい生活を送っていた矢先 男はある事に気づいた
「あれ このカルテ こんなに埋まってたっけ?」
持って帰った時より カルテの余白部分が減っているのである
「そうか 予測するのも限度があるのか!」
カルテの空白部分はわずか 何かあるとすれば 次で埋まってしまいそうである
「仕方ないか これから先は自分で気をつけろって話だなぁ」
その数日後 カルテに新たな書き込みがあった
<○○年△月☆日 横断歩道横断中に信号無視で走ってきた車と衝突 ○時○分 死亡を確認>
「し 死亡・・・?」
しかし男はポジティブに考えた ここで予測されたなら死亡事故すら回避できるかもしれない そう考えたからだ
そして その日は来た
家に引きこもっていたかったが その日は仕事 しかも通勤ルートに横断歩道があるため否が応でも横断歩道を渡らないといけなかった
「死亡事故・・・」
男は不安だったが いくしかない 気をつければ大丈夫
「そう 大丈・・・」
キキキキキー ガシャーン
男の体に強い衝撃が走る
薄れていく意識の中で 男の耳に声が聞こえた
「診察代・・・いただきました」
完
廃墟でも何でも持って帰るのはやめましょう
というか廃墟でも心霊スポットでもよく行く気になれますねぇ 私はそんな勇気がない チキンですから
この廃墟からモノ持ち帰ってなんだかんだあった話はもう一つパターンがあるのでまた追々
次はホラー系ではないものを