中古ビデオ
ある男が ビデオショップでビデオを買った
ラベルのない 何のタイトルか分からないものだった
「これはもしかしたらアダルトなアレかもしれないな」
男は早速ビデオを再生してみることにした
第7話「中古ビデオ」
カメラはどこかを歩いている
どこか見知らぬ風景
「なんだ 個人ビデオか?」
目的地があるのか無いのか
ただひたすら 歩いていた
「なんだ ずっとこの調子かよ」
といって男はビデオを早送りにした
過ぎゆく風景 そこで男は違和感に気づく
「なんか見覚えあるぞ・・・どこだっけなぁ」
再び早送り
「ありゃ これウチの近所じゃね?」
カメラの歩く場所が だんだんと自宅に近づいているのである
「おいおい なんのジョークだ」
男は2階に上がり 外の景色を見る
遠くに カメラを持った人の姿が見える
「あれか・・・」
人影は 何かを探すようにカメラをあちらこちらに向けている
そして
こちらを向いた
「!?」
その瞬間 人影はこちらに向けて走ってくる
ダダダダダダダダ
「うわ何だよ何だよ!」
パニックに陥る男
「何だよアレどうすればいいんだよぉ」
ドンドンドン!
ドアが強く叩かれる音が響く
「うひゃひゃひゃひゃ うひゃひゃひゃひゃ」
気持ちの悪い笑い声が響く
「何なんだよぉ! あ そうだ ビデオ!」
テレビを見る ビデオには自宅のドアが映っている
「巻き戻しだ!」
キュルキュルキュル
映像が戻っていく
自分の家からかなり離れたところで ビデオを止め 取り出す
「まさしく呪われたビデオだな そうだ あいつに渡してやろう」
男はオカルト好きな友人に事情を話し ビデオを渡した
「ほんとにやべーんだって! 見てみろよ!」
「そんなにヤバイのかよ 分かった 見たら電話するわ」
その夜
「あいつアレ見たのかなぁ 今頃カメラ男がやってきて大変なことになってんだろうなぁ」
プルルルルル
ピッ
「よう ビデオどうだったよ!」
「凄いね このビデオ」
「そうだろそうだろ 緊迫感あふれる映像だったろ」
とは言いながら あまりの冷静な電話に 男は少々戸惑っていた
「そうだね あの幽霊が天井から降りてくるシーンなんてヤバかったね 鳥肌立つホラー映画は素晴らしいよ」
話が噛み合わない
「は? 天井? 女? 俺が渡したビデオだよな あのホームビデオっぽい」
「はい? 何の話? 僕が言ってるのは君からもらったビデオで」
「そうそう カメラ持った男が歩く映像」
「いや違うでしょ これは昔のカルト映画 呪いのリング2 Curse Pandemicだよ DVDになってないビデオだけの激レア作品だよ!!」
そんな馬鹿なと 翌日 友人を呼び そのビデオをもう一度見てみる
映画だった
男は 何を見たのか そして あのカメラを持った人影は何だったのか
今は 確かめようもない
完
ホラー系ってのは色々出尽くされていて なかなか展開を作るのが大変です
このビデオの話 都市伝説だとのこぎりを持った男が家を切りに来るという衝撃的な話でした
余談ですが ようつべで「中古ビデオ」で検索すると・・・