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都市伝説 Reboot  作者: UGM
16/20

トイレの・・・

ある女子高で奇妙な噂が広まっていた


「ねえ知ってる? うちの学校さぁ 花子さん出るんだって」


「マジで? 今どき古くない? いつの流行だよw」


「なんかさぁ 午前0時ピッタリに 4階の女子トイレの一番奥の個室をノックすると 中から返事が帰ってくるんだってさぁ」


「なにそれ ベタすぎww」


「だよね ないわーww」



第16話「トイレの・・・」



この学校に通うA子も この噂を聞いていた


A子は いわゆるいじめられっ子だった


ビリビリビリ


バサッ


床に叩きつけられる彼女の教科書 そしてノート類


「やめてよ!」


「『やめてよ!』だってさぁ アンタなんてブスだし頭悪いのになんで学校通ってるわけ?」


ブス ブス


死ね 死ね


陰惨な言葉が投げかけられ 嫌がらせを受ける毎日


頼りにするべき大人達もまた


「お前がしっかりしないから!」


「お前にも原因があるんだろ!! ちゃんとした生活をしていればこんなことには・・・」


頼れる人など いなかった 彼女は孤独だったのだ


「もう 死にたい・・・」



自殺が頭をよぎる 仮に自分が死んだとしても悲しむ人間はいないだろう


「ウフフ ・・・死んだほうが楽かもね」


夜 ふらふらとした足取りで学校に向かう彼女

鍵を掛け忘れていたのだろうか 開く窓があった

彼女はそこから 校舎内に侵入した


そこで ふと噂の事を思い出す


「そういえば 噂って 本当なのかな」


時計を見る 0時まで近い


彼女は例のトイレに向かった



噂の個室の前で時間が来るのを待った


「どうせ死ぬなら 呪い殺された方が目立っていいかもね フフフ・・・」


そして 0時が来た



ドンドン


ドンドン


彼女は個室のドアをノックする


が 返事はない


「やっぱり噂か 幽霊にも好かれないか」


そう言って立ち去ろうとした瞬間


「ねぇ」


背後から声がした


「誰?」


彼女は叫ぶ


「呼んだでしょ?」


個室の中から声がする


「あなたが 花子さん?」


扉越しに 話しかけてみる


「どうかしら? ところで あなた何故私を呼んだの?」


色々と予想外の質問である 彼女は少し戸惑いながらも


「幽霊に呪い殺されれば楽に死ねると思って呼んだ」


と答える


「あなた 死にたいの?」


「死にたい だってこんな日常 生きてたって仕方ないもの」


中からはぁ・・・と溜息が聞こえてきた


「何よ」


「いじめられでもしたのかしら それで誰にも助けてもらえず自暴自棄になって

呪い殺して下さい? バカじゃないの?」


さすがの彼女も幽霊に馬鹿にされるとは考えてもいなかった


「あなたまで私を馬鹿にするの? もういいわ 屋上から飛び降りるから」


と言って去ろうとする が


「待ちなさい」


やたらドスの効いた声で引き止められる


「何よ?」


「お望みならこのまま呪い殺してあげるわ ただし」


「ただし?」


「今のあなたの状況より 苦しい目に遭うわ いいの?」


幽霊の問いかけに 彼女は黙ってしまう


「やっぱり怖いのね 死を恐れるのは未練があるからよ あなたは生きるべき」


「未練なんて・・・!」


彼女は感情を押し殺して言う


「あなたは口では死にたいと言ってても心の奥底では生きたいと思ってる

そういう事よ」


「じゃあ生きてれば何か良いことがあるわけ? どうなのよ!」


彼女は思わず叫んでしまう


「一気に変わるのは無理よ 一つ一つ思い返してごらんなさい 自分の行動 言った言葉」



そういったきり 個室の中から気配が消えた


「見直す?」


彼女は幽霊の言葉に疑問に思いながらも 帰路についた



翌日


「あんたまだ生きてたの? 早く死ねばいいのに」


いつものようにいじめっ子が寄ってくる


「(自分の言葉を・・・見直す)」


彼女は昨晩の幽霊の言葉を思い出す


そして


「アンタなんかに言われる筋合いはないわ!」


考えているか否か 自然にそんな言葉が出る


「な 何よアンタ ブスで頭悪いくせに・・・!」


「そうやってすぐ人を見下して馬鹿にするアンタに私 負けないから!

 ・・・負けないんだから!!」


内にあった何かが爆発したかのように言葉が溢れでて その目からは涙が


「(あれ? 私 なんでこんな)」


「そこまで言うならやってみなさいよ!」


そう言い捨てていじめっ子は去っていった


この出来事をきっかけに 彼女は自分の生活や 言動の数々を直してみた


ネガティブな発想を捨て 小さな事でも良いことだと受け止めるように考えた


すると どうしたことだろう 少しずつではあるが会話できる人が増えてきた


「もしあの時 あの幽霊に出会わなかったら」


変な話ではあるが 幽霊に感謝をしたくなった


そして その夜の午前0時 再び噂のトイレの扉を叩く



※ちょっとここから2通りの結末を書きます

どちらがお好みですか? ※


Aパターン


返事は無かった もう会えないのかと思い 帰ろうとする


「また来たの?」


あの時と同じ声が聞こえてきた


「私が間違ってた あなたの言葉を聞いて 色々変えてみたの そうしたら世界が変わった 幽霊に言うのは変だけど ありがとう」


「・・・私と同じような人を生み出してくなかっただけよ  もう行きなさい もう会うことはないわ」


それっきり 気配は消えた


この幽霊はもしかしたら いじめを苦にして自ら命を絶った人なのかもしれない

自分と似たような人を見つけて 叱ってくれた


そう思うと 切なくはあったが それでも感謝の思いで一杯だった





Bパターン

返事は無かった もう会えないのかと思い 帰ろうとする


「また来たの?」


あの時と同じ声が聞こえてきた


「私が間違ってた あなたの言葉を聞いて 色々変えてみたの そうしたら世界が変わった 幽霊に言うのは変だけど ありがとう」


「そう あなたはそれで幸せになったのね じゃあ



     呪い殺してあげる




「え?」


そう言った瞬間 トイレの扉が開き そこからのびた腕が彼女の首を掴み 強い力で彼女を個室の中に引きずり込む


「え? 離・・・して」


そしてそのままバタンと扉は閉まり 辺りに静寂が戻る



・・・

・・・


ある女子高で奇妙な噂が広まっていた


「ねえ知ってる? うちの学校さぁ 花子さん出るんだって」


「マジで? 今どき古くない? いつの流行だよw」


「うちの場合さ 花子さんじゃなくてA子さんって言うんだって 何でもこの学校で行方不明になった子らしくって」


「え~ マジ~? コワーww」


「それで扉を叩いた人に聞いてくるんだってさ 『あなたは今幸せか?』って

そこではいと答えると あの世に連れて行かれるんだってさ」






結末をどちらにしようか悩んだ末 両方書くという暴挙に出ました

いじめダメ 絶対  筆者も昔いじめに遭っていましたが 友人がいたので何とか乗り切れました その分 自分は幸せなのかもしれません 人との繋がりに感謝している毎日です


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