訪問者
台風が接近し 外は大荒れの天気
ロクに出歩くこともできず 彼の1日が終わっていく
「やれやれ もう夜か やること無いし寝るかな~」
ピンポーン
第11話「来訪者」
ピンポーン
ドアチャイムが鳴る こんな嵐の夜に である
「どちらさん?」
ドアを開けず ドア越しに応対する
「よう 俺だよ俺 開けてくれよ」
友人の声だった
「どうしたんだよ こんな時間に」
「いや ちょっと用があってね 開けてくれよ」
「用?」
それならば と 彼はドアを開けようとする が 何を思ったか
彼はドアスコープを覗く
「!?」
顔はありえないほど白く
視線の焦点は定まらず左右の目がギョロギョロ動いている
口はぽかんと開き・・・
彼には分かった
「(こいつはアイツじゃねぇ!)」
そうは分かっても どうしていいか分からない
ガチャガチャ ガチャガチャ
ドアノブが激しく動く
「よれくてけあ~ よれくてれいにかな~」
と 奇妙な言葉が聴こえる その声は 最早友人のものではなかった
「帰ってくれ! お前は友達じゃない!」
ガチャガチャ ガチャガチャ
ダンダンダンダン!! ダンダンダンダン!!
「よだんいなれくてれいでんなああああ! ろだちだもとオオオ!」
と 気持ちの悪い叫び声が聴こえる
ダンダンダンダン! ダンダンダンダン!
「お願いだ! 帰ってくれ! 帰ってくれよおおお!!」
彼は祈るように叫んだ
ダンダンダンダン!
ガチャガチャ・・・
・・・
・・・
「帰ってくれ帰ってくれ・・・」
彼はどれだけ叫んでいたのだろう 彼が我に返った時
外の音が止み 朝日が射してきた
彼は恐る恐るドアスコープを覗く
そこには何もいなかった
彼はすぐに友人に連絡した
・・・
・・・
「もしもし? なんだよこんな朝に」
「お前 昨日ウチ来たか!?」
「はぁ 昨日は外大嵐だったろうが あんな夜に外に出るのは自殺行為だろボケ!」
「だ だよな そうだよな」
「おい どうした・・・」
ブツッ
彼の予想通り 友人は訪ねてきてなどいなかった
では 昨日のアレは あの時 もしアレを中にいれていたら
「よれくてけあ~ よれくてれいにかな~」
あの謎の言葉が 彼の耳に残り続けた
完
今回もいくつかの話を混ぜてます
こういう化け物や幽霊を ラストで「こういうものだったんだよ!」と種明かしするかそれとも「アレは何だったんだ 気味悪いなぁ」とうやむやにして終わるか 難しいところですね




