始まり
高校2年生にもなった俺は時折、神を怨む
みんなも一回くらいは怨んだことがあるだろ?
テストの点が悪かったり、不意の事故に遭ったり
理由はどうであれ一度は怨むだろう
そして、神様はこう受け取っていると思う
『これも有名税でしょ?』なんてな
まあ、いるかわからないやつを怨むのはおかしいかもしれない
しかし、人は誰かを怨み、誰かを妬む
でもそれは決して表には出さず、隠しながら生きていく
「よお、待ったか?」
墓を前にして俺はそう言う
俺の両親の墓だ
海岸に両親の墓を自分で作った
俺が殺したんだ
この手でな
殺した理由が・・・笑えるんだ
中学の先輩
いや、恋人が殺されたんだ
しかも、最も残酷な殺し方で
俺は怒り狂い
父と母を決闘し、勝った
しかし、残ったのはただの屍と少年だけになった
それが・・・とても悲しかった
最愛の人を一気に失った
それを俺がしたんだ
バカみたいだろ?
「あんたら、殺して3年・・・変わったよ俺も世界も」
墓に向かって話しかける
正直に言う
俺は父と母が好きだった
でも、それと同じくらいにあの先輩が好きだった
今でもあの家族の家に遊び・・・いや、花を持っていく
あの先輩の家族が俺を快く受け入れてくれている
ちなみに、あっちは4人家族だった
今は3人家族だ
父と母と妹
そんな感じのところに俺はたまに行く
先輩の妹とは同じ学校で同じクラブだ
よく合う
でもいつまでたっても俺は真実を言えない
そんな罪悪感を少しでも償いたいのか
俺はあの家族に邪魔なものをすべて消した
ライバル会社のスキャンダル
転勤されようとなったら社長を脅す
そんなことをやっていた
すべては・・・償い
「そうそう、最近になって俺のコピーが現れたよ。参るよな」
気軽に話し合う
さびしいけどちょっと楽しい
こうするとあのころに戻ったみたいになるからだ
でもすぐにやめる
少しだけだ
話すのはな
「また・・・来るよ。できたら今度は恋人を連れてな」
殺された先輩
あの人には悪いかもしれないけど俺は・・・そろそろ連れ添う人を見つけようと思う
あの人への思いがなくなったわけではない
だけど、俺は高校で人を見つけないともうチャンスはない
いや、チャンスを作らない
人を殺すんだ
今はそんなに殺してないが、高校の卒業を期に世界と戦争するつもりだ
そんなやつが、嫁をみつけるなんて無理だろう
あと、1年
いや、正確には11か月ちょい
今月が四月だからそんなぐらいだ
俺は次に先輩の家に向かう
花を持ってだ
ちなみに持っている花はヒマワリ
ちょっと不謹慎かもしれないけどあの人が大好きだった花だ
たしか好きな理由が花言葉だったよな
向日葵
向日家にはあっている花だな
クスリと俺は笑った
葵なんて名前ではなかったけどな
園芸部に入った妹は葵だけど
・・・そう考えると妹が好きだったのか?先輩は・・・
っと、そろそろ見えてきた