NO:教師春藤一
暇な時にでも読んで頂ければ嬉しいです。
ふいに小学校の卒業文集が読みたくなった。自己PR『僕は大人になったらすごいひとになっていると思います。』
「なんだよこれ。全く馬鹿だよな。自分は凄い人だと思い込んでんだもんな。こんな俺なのに。」
無責任なんだよ。
「無責任なんだよ!!」
心の中でのつぶやきはいつの間にか大声の声に変わっていた。
階段から足音がしてノックが鳴った。
「入るわよ。」
母親が入ってきた。
「ちょっと〜。先生から聞いたわよ。不良に喧嘩売ったんだって。なんでそんなことしたの?」
「・・・・」
「お前なんかに言っても仕方ないと思ってるでしょ?」
「思ってねぇよ。」
「いぃぇ、思ってるわ。母さんあんたのことはなんでも
「わかったから消えてくれよ。」
「嫌よ。あんたはなんでもそうやって溜め込むんだから。」
「はいはい、そうですね。」
「何か話す気になったら、降りてきてね。あとこれ、夕食だから。」
結局、母親には何もはなさなかった。
不意に自分がすごく小さい気がした。
次の日、予想どうり先生に呼び出された。
なんでやったんだ?
なんのために?
あんたらに俺の気持ちが分かってたまるかよ。所詮はその場を治めようとしてるだけじゃないかよ!
俺は先生に適当な嘘をついて、その場をあとにした。あいつらは俺らのことなんて、ちっとも考えちゃいない。すべて自分のため。そんな奴が先生なんかするから、生徒は居場所を無くすんだろうが!その1面からしか見えない目が、上からしか聞こえない耳が、良いか悪いかとしか判断できない頭が、俺らを苦しめてんのに…きずこうともしない…。
中の原学園。偏差値低迷のため、いきなり規制を厳しくして、生徒をどんどん退学にさせている高校。なので、みんな新しい理事長には反抗出来ないでいた。
「ここが中の原学園か。よ〜し、行くか!」
カキーン
「おぅ、野球か〜。青春だねぇ。どれどれ?お!マネージャー可愛いじゃん!」
「おぅ!陸上部発見〜!よ〜し、勝負だぁ!」
「衣笠、どうだ?足の調子は?」
「はい。良好です。これも、理事長をはじめとする先生方のお陰です。!?」
「よ〜し、勝った勝った。おっ!ここが職員室かぁ〜!」
「佐仲くん。すまないが、コーンをどけてもらえないかな。コースの邪魔をしているもので。」
プルプルプル
電話が鳴った。
「もしもし、中の原学
「誰なんですか!?あの男は!?」
「はぁ??一体何のことか。」
「あの男ですよ。なんか中の原学園の先生方こんにちは、とかってうちと中の原学園を間違えている意味不明の男ですよぉ!!」
「えっ??」
「とにかく、この男を持って帰って下さい!」
「わかりました。」
「萩野先生彼方高校へ行ってうちへくるはずだった男を連れて来て下さい。」「だから、この学校は中の原高校ではなくて
「だ〜か〜ら〜、俺はこの学校に新しく入ってきた春藤はじ…。えっ、ここ中の原高校じゃないの?」
「うちの教師?がすいませんでした。ほらあなたも。」
「すぃませ〜んでぃしたぁ。」
「なんで私があなたのために。もう。」
「だ〜って仕方ないじゃないですか。地図の通りにきたんですよ。ほらここの道をずぅっといって。」
「あなた、東西南北もわからないの?よく教員試験に受かったわね。」
「東西南北くらいわかってるよ。Nがあるほうが西だろ。だから
「こんなとこでぼけないでください。ほらもう着きますよ。」
「あれがそうです。」
「うぉ〜。これが本物の中の原高校かぁ〜。わくわくするなぁ。」
「校長。連れてきました。」
「あなたが新しく中の原に来た春藤先生ですね。私はここの校長をやっております、三谷といいます。始めは慣れないこともあるでしょうが、よろしくお願いしますよ。」
「もちろんです。任せて下さい。」
「早速ですが、自己紹介の方を…
そうしてこの春藤はじめが先生になることになったのだった。
「取り合えず、春藤先生には3年2組の副担任になってもらいますので、よろしく。」
「副担任?担任は誰なんですか?」
「それが今、…し、失踪しているんですよ。」
「し、失踪?」
「そんなに大きな声を出さないで下さいよ!この学校では皆川先生のことは禁句になってるんですから。」
「す、すいません…。(ふーん。皆川先生っていうのか。)」
というわけで春藤は3年2組を任されることになったのだった。
「はーい。みんな席に着いて。今日は新しい先生を紹介します。春藤先生、お願いします。」