秋桜
その細い茎が
風に遊ばれる度に
私は小さく声を
あげてしまうのよ
今にもあなたがたが、
呆気なく折れて
あの子が
涙にくれてしまうのでは
ないかしら、と
本当に
不思議なのよ
あなたがたは
秋の花なのだから
風が、好きなのね
いろんな色の
花をつけても
私はいつも
覗き込んでしまうのよ
あなたがたの真ん中は、
今日は違う色かしら?
あの子が
驚いてくれるかしら、と
本当に
不思議なのよ
あなたがたは
秋の花なのだから
太陽が、好きなのね
あの子は今日も
一輪を花瓶に挿す
ひとつだけ
そうして
あの子はそれを眺めて
行ってきました、と
云うのだわ
おやすみなさい、と
云うのだわ
小さな小さなあの日のことを
ずっと忘れずいるように
そうよ、あの子は
愛しきあなたをみているの
一輪のあなたがたの中に