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どうも、作者です。
とりあえず注意書き
・この世界での義務教育はだいたい高校までいきます。
・素人なので語彙が少ないですが、多めに見て下さい。
・多少の矛盾はお許しください
えへっ
「ここ、セントリアル・グレルスタンパークは、魔法が使える国でございます。世界唯一の"魔女"の加護を受けておりますので、魔力がこの国に充満しております。また、国を挙げて魔法の勉強を推奨しておりますので、才能がある者はエスカレーター式に上位学校へ進級できます。また、他国には魔力がないため魔法は使えませんが、上級魔術師になると、どこでも自在に魔法が使えます。その場合には、"魔力の源"たるモノとある契りを交わしてもらわなければなりませんが。さて、この国の特産物は………」
俺はイマル。イマル・クオール。十八歳になり基本教育----ここでの義務教育は18歳まで----を終えたので、田舎から飛び出してきた。理由は特になかったが強いて言えば、刺激的な日々を過ごしたかったからである。
この世界は、そうでない国もあるが、全体的に社会主義である。王様もいる。俺の故郷は特にその気が強く、学業が終わればただ働いて支給されるまずい飯を食べて寝るだけの所であった。
そんな生活が嫌で、密かに遠出してお金を稼いだりして、思い切って壮大な家出をした。
といっても、俺一人のために動くのはせいぜい身内くらいだろうから、もう戻る事はない。
そして、
俺が家で先に選んだこの国。セントリアル・グレルスタンパーク、通称セント・グレルだが、実はかなり最近興った国である。まだ名前も知られてなくても不思議でないくらい歴史の浅い国だが、経済力や軍事力は他国の比ではない。
何故なら、魔法があるからだ。上位魔術師と呼ばれる者が戦線に出てくると、すぐに戦争は終わる。もちろん、セント・グレルの勝利に終わる。
そして、このセント・グレルの特産物とも言える物、それが……
「魔力石でございます。この石は特殊な石で、内に魔力が溜まっております。つまり、この石があれば、魔力のない他国でもちょっとした魔法が楽しめるのでございます。」
丁度、俺の考えとガイドの考えが重なった。
そう、この魔力石。とても利便性が高く、やろうと思えば十分ほど空だって飛べるのだ。
それほどの石がとても安価に売っているので、他国は挙って買っていくのである。
それだけ安価なら、ストックしておけばいいのではないか。それは出来ない。
なぜならこの魔法石は、しばらく経つと効力を失う。賞味期限のようなものがついているのだ。そして、国々はこの魔力石から魔力のヒントを得ようとしたが、この魔力石の解明をする事が出来た国はひとつもなかった。
「…………以上で私のガイドを終わらせていただきます。」
いけない。考え事をしている間にガイドが終わってしまった…。
まぁいいや。この国のことは粗方分かった。あとは、大神殿へ行くだけである。
本来大神殿とは、上位魔術師と、上位魔術師よりも更に力のある、三賢者と国王しか入れない場所である。そんな場所に何故向かうのか。それは、俺に才能があるから、らしい。
俺がこの国を選んだ二つ目の理由。
家出中、といっても、ただ国を出て観光まがいの事をしていたときに、俺は三賢者とやらに声をかけられた。
「君には、才能がある。見たところ、旅人のようだね。我が国へこないかい。君の望むものを用意しよう。」
これだ、と思った。俺の人生を彩るきっかけとなるのは、この国だ、と。
なんでも、普通の人には有り得ない程の才能だとか。上位魔術師になれるかもしれないらしい。
そこまで言われて、つられないわけにはいかない。衣食住も保証されて、なおかつ地位と名声も与えられるのだから。
俺のバラ色人生は、スタートしたばかりだ。
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大神殿。
「例の者は?」
低い声が響く。
「はっ。直ここへも来るかと……。しかし、あんな若造に、何故このような……」
くくく、と王は嗤う。お前たちは分からないのか、と。愚かなことだ、と。
「あの者が最後の手掛かりなのだ。最後の鍵が開けば、彼の"魔女"は私の物になる……ククク、ハハハ………」
笑いながら王は立ち上がり、すぐ後ろにある巨大な黒い岩に触れた。
「もうすぐだ……。ちんけな魔法ではなく、魔力そのものが、貴女が我が手中に……」
その岩の中心には、美しい女性が、埋まっていた。両腕と下半身が岩に埋まっており、露出した裸体は淡く光っている。
その光を吸い取るように、岩に刻まれた様々な魔法陣が蠢く。
そう、これが、魔女の加護たるものだった。
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