第一話 私、人生詰んでるんです
『おい、ねこ……お前どうするつもりだ?』
「なんだひだにゃんか、どうするつもりって――――何を?」
『とぼけんじゃねえ!! これからどうやって生活するつもりなんだ?』
「ああ――――なんだそのことか。どうやってって……今まで通りバイトして――――学校卒業したら就職して働くつもりだけど?」
『……無理だろ? そんなのお前が一番わかっているよな?』
「…………」
そんなこと――――言われなくてもわかってるよ。
「うん、だから動けなくなるまで頑張って――――後は――――どうしようもないかな、あははは……」
頑張ってはいるけれど――――よほど劇的に――――奇跡でも起こらない限り――――
私がそれなりに動けるのは――――たぶんあと数年。
私にあまり時間が残されていないのは以前からわかっていたこと。覚悟はしていたつもりだった。
でも――――最近小説を書くことが楽しくてしょうがない。絵を描けることが嬉しくてたまらない。
これまで色んなことを諦めて来たけれど――――
やめたくないって初めて思った。続けたいって思ったんだよね。
でも――――働けなければどうしようもない。
続ける続けない以前に生きていけない。
『だったら絵を描いて稼ぐしかないだろ?』
「それって――――有償依頼を受けるってこと? 無理だよ……全然下手くそだし」
『だったらもっと上手くなれば良いだけの話だろ? それに――――やらなければ詰むだけなんだぞ、だったらやるしかないじゃねえか!!』
たしかにひだにゃんの言う通りかもしれない。
今は無理でも――――準備を始めるのに早すぎるということはないし。
『それに――――ペンも折れて新しいの買わないといけないし、液タブも最近調子悪くて落ちてばっかりじゃねえか。貯金も無いんだろ?』
「うん……」
せめて絵を描く道具代くらいは稼げるようになりたい。
生活費の一部でも稼げれば――――もう少し身体の負担も減らせるかもしれない。
やってもやらなくても詰むんだったら――――やってみた方が良いに決まってる。
「わかった、私やってみるよ、ひだにゃん」
『よく言った、私たちは運命共同体だからな、一緒に付き合うよ』
こうして私は――――有償依頼を受けられるような絵師を目指すことにした。
目標は今から三年後、期間に特に意味はない。でも希望と期待を込めた。
「ところで――――有償依頼ってどうやって受けるの?」
『知るかあああ!!』
初っ端から前途多難である。
次回以降、その辺りから調べてみようかな。