87.第三章 今私の願い事が
え、成T空港もそういうユニバーサルじゃない案内なんですか?へえ、へえ…
お父さんとお母さんはそれぞれ仕事をしている。
お父さんは資産家の長男だから、幼い頃にもらっていたお小遣い(という名の大資産)を使って、なんとなく投資をしたら当たって、さらに一族を潤す資産を作り上げている。そして気が向いた時に投資をしては毎回大当たりさせる。
でも本業は作曲家だ。一切外に顔出しをしていないため、お父さんは正直周りの人から資産だけで生活しているニートと思われている気もする。
本当はお父さんが作る曲は毎回年間ランキングに入るくらいの人気曲なんだぞ!と言いたいけれど、そのあとが面倒だから言わない。
お母さんは劇作家だ。自分でオリジナルの劇を作ったり、原作があるものを舞台脚本にしたりしている。
でもお父さんもお母さんも降り立つものを書き記してそのまま完成形が生まれる人なので、たまに依頼が来てもすぐに終わらせて私たち家族はほぼ仕事をしていない。
…だから普段からお父さんもお母さんも家にいるのに、私はお父さんが私を心配させないために言ったあの言葉でお母さんを探すのが遅れてしまった。
『お母さんは原作のあるものの舞台脚本を任されたから、現地調査にしばらく行っているんだ』
それは、たまにあることだった。
お母さんやお父さんは時たま仕事のための情報収集で一人旅に行く。
だから、問題ないと何も思わなかったのだ。
お父さんの焦燥ぶりに気づいて、私が本当のことを知って、奴とお母さんの居場所を突き止めた時にはもう遅かった。
―――
『…あれ、絶対この場所はバレないと思ったのに。…なぜだ』
『てめえ…!!』
『お母さん!』
『殺してやる!!』
『あはは、無理だよ。彼女の魔力も僕は吸収したから、君は僕に勝てないよ』
ドーーーーン
『…どうして…!!』
『せっかく会えたことだし、君のこと殺そうと思うよ。本当は今の僕なら君をいつでも殺せたんだけど…彼女と離れたくなくてさ…』
(こいつ…!確かにお母さんの魔力を吸収していて、お父さんより強くなってる…!!)
(私が殺す…?でも、お父さんがこいつに負けるのは…!いや、考えてる暇はない!さっさと私がケリをつける!!)
『止まれ!!!』
『…!!?』
『お父さん、私がお母さんの魔力をあいつからお母さんに戻したよ!お父さんに私の魔力をあげるから!!!!』
―――――
それから奴を殺すことは簡単だった。
散々痛めつけた。
でもあいつは何も感じないようだった。
彼女は僕のものだと言った時に気づけばよかった。
あいつを殺したら、一緒にお母さんも死んだ。
…気が動転していた。
道連れの魔法なんて、前世も今もこの世界には存在しなかった。
なぜならそんな窮地に陥ることはなかったから。
何かを代償にしなくたってすぐに勝てるものだったから。
『ゲホッ』
『お母さん…?!』
『おい!アリア!!しっかりしろ!あいつはもう持たない!治癒魔法をかけるから!』
『…違…。みち…づ…れの……』
『どうしようお父さん!あいつが死んだらお母さんも死んじゃう!!』
『は?!』
『道連れの魔法を作ったらしい!自分が死んだらかけた相手も死ぬ魔法!!お父さん!!!』
『あは…!僕に効か…な……。』
『ねえ!魔法が通らない!!どうしよう!!』
『お前!!!一人で死ねよ!!俺の奥さんを巻き込むな!!勝手に死ね!おい!お前自分の体になんの魔法をかけてる!!答えろ!!!』
―――――
私たちはお母さんを救えなかった。
死者を甦らせる魔法なんて作ってなかった。
この世の摂理から外れた行いは、きっと災いが起きるだろうって。
そう思ったんだ。きっと、前世の私は。
本にはそんなことも書いてあった。
そしてお父さんは、死者を甦らせる魔法の研究をした。
それは間違ったものだった。
正確には、愛しているものと一緒に転生して、また結ばれることができる魔法。
だけど、代償がある魔法。
お父さんは、その魔法を使うと自分が死ぬことに気づいてなかった。
私なら、代償なんて必要なく、その魔法が作れた。
私は、お父さんみたいに悲しみに暮れるのではなく、復讐にのまれていた。
お母さんを殺した元凶の奴が、地獄に行こうが、生まれ変わろうが、永遠に死にたいと思いながら苦しみ続ける魔法を研究していた。
あいつが死後どこに行くかはわかっていた。
ありとあらゆる拷問魔法を作り上げた。
私の考えだけじゃ思いつききらないから、前世の世界の拷問方法を知るためにあの世界をのぞく魔法も作ろうと必死になった。
そしてお父さんも私も、お母さんを思って互いに無関心になってしまっていた。
違うの。お父さんもお母さんも大好きなの。
だってあいつが許せなくて。
だからお父さんがまさかそんな魔法を作っていたなんて知らなくって。
お父さん。教えてよ。
私が『世界中の拷問魔法をあいつにかけるんだ!』って言った時に、『俺がやるから、そんな目も当てられないような景色を見る魔法はしなくていいよ』って言ってたじゃん。
お父さん、拷問魔法は私に任せて、自分は私たち家族が元通りになる魔法に集中してたの?
それってお母さんが生き返るって、ことわりから外れているから、危ないんだよ。
私は、それは諦めたんだよ。
ねえお父さん、私、お父さんに、『お母さんと来世こそずっと幸せな夫婦でいられる魔法』かけてたんだよ。
こんなことがあったから。
ねえ、お父さん。
いなくなっちゃったの?
今私の願い事が叶うならば私は何を願えばいいのだろう。
成田空港のアクセス、よくよく調べたら京成成Tですぐに着くじゃなくて、その次の駅か、次の次の駅なのもうちょっと全世界全国に教えてくれませんか!!ねえ…ねえ…降りちゃったよ…そしたらめっちゃ遠いじゃん…!!ていうか、朝の電車の運行こそ特急多い方がいいと思うの…ねえ…。成田で節約しよーて思ったら逆に金かかった説あるよ国内線ーー!(ムンクの叫び)
わかりやすい名前にしてください公募!成田空港第二ターミナル前駅、成田空港第三ターミナル前駅、成田空港第一ターミナル駅にしてください!
ハブってみんなこうなのか…?
京成成Tとな、わかりにくさの極地じゃい!
おもてなしの国として一刻も早く改名しましょう!!(大声)
…お金が多くかかるものって事前に下調べしたくても交通費高いから早く行くっていう作戦だけになりがちなの悲しい…
こういうところで徳の積立が帰ってくるのかもしれない…
くう…キャリーバッグとかも本当にOKなのかどうかサイトや店舗だとわからないですよね…大金なのに…
これが…空港…。
そして電車で嫌な乗客に出会うよりも空港の方が出くわすとテンションが下がるのも空港…。
みんな旅でウキウキだし、海外の人もたくさんいるからさ…空港は国の顔なイメージだからさ…
こういう時は小田和雅さんを聞くしかない!
らーらーらー…




