84.第十章 ぼくは紛れもなくお父さんとお母さんの子どもだけど
アッポーのサブスクで五人レンジャーの主題歌を色々聴いていて、偶然私が好きな俳優の桃くんのは珍しくドラマCDでよくあるボイスCDも挿話されていたんですけど…
「とうっ!くらえっ!!ライダーズキック!」
「ぐあっ!!おのれ、やるな…!だがこれはどうかな?」
ぼくのお父さんが適度に力を入れた魔法を作って攻撃を仕掛ける態勢を取る。
お父さんが無詠唱で一瞬で魔法を発動できることもよくわかってるから本当にぼくのお父さんは優しいなと思う…。本当に…
どかーーーん
「お母さんひどーーい!負けてくれたって良いじゃん!!」
「はははは!ボクに勝とうなんざ百億年早いどころか永遠に無理だよ!!」
「んもーーー!!」
「さあかかってきな!この家は震度10が来ようが津波が来ようが、爆弾が落ちようが微動だにしないんだから思いっきりぶちかましてみなよ!」
「負けないわ!今度こそやってやるんだから!」
どーん
庭ではお母さんとぼくの妹がプリくわになりきって戦っている。どうやらお母さんはキュアダイヤモントの因縁の相手のイーラの格好をしているようだ。そのキャラ、相手によく負けているんじゃなかったっけ?
ちなみに妹はキュアダイヤモントだ。お母さんも妹も恋愛ものが好きだから、好きなキャラクターじゃなくてキャラクターカプ設定での戦いを選んだようだ。
妹は刀のように尖ったダイヤモンドを無数に作り出す。…ああ、家が…ってなるところだよ普通なら…
「キラめきなさい!ドリリングダイヤモンド!」
唱えた瞬間、ダイヤモンドは一直線にお母さんのもとに無数に放たれる。
「へへっ余裕ヨユウ!!」
お母さんは自分が持ってたナイフを複製し、それらでダイヤモンドを全てはじき返す。
「あーーー!また負けたかぁ…残念」
「ふう!お疲れ!アウロラ!」
「お母さんは本当に強いなぁ…どうやったらそんなに強くなれるの?」
「ふふふ、まあ、人生経験の差だよ」
「じゃあ私もお母さんくらいの歳になったらそうなれるの?」
「人はそれぞれで向き不向きがあるし、たとえ向いていたとしてもそれがどこまで成長するかは、その人の努力だけではどうにもならないんだよ。…だから、諦めることも諦めないことも大事。そして、お母さんくらいになるのは、正直出来ないことなの。…でも、それで比較してくるような人間がいたら、自分の魔法を見せつけてやりなさい。アウロラの魔法は、既に賢者位のレベルの人以外なら、魔法が得意と言っている人が百人かかってきても秒で倒せるから。『じゃあ貴方はそうバカにする私に全く手も出せなかったね?』とか、なんでもいいの。アウロラの力はちゃんと、すごいんだから!!」
お母さん、『ええ!なれるわ!』とは言わないんだね…適度に真実を伝えるのはお母さんらしいや。お父さんは適度に誤魔化すけどね…
「どうしたんだ?イサンドロ」
「うん、またお母さんたちがどんぱちしているなって…アウロラがどんどん強くなっていっていて、ぼくも負けてられないなって…」
「うーん、魔法に関しては男女問わずに強くなれるからなあ…でも、体の構造的に、力の強さとかはどうしてもオレ達男の方が優れるんだ。イサンドロは今世界にいる強者の中でも格闘は上から両手で数えられるはずさ。安心しな。」
「そっか。ぼくの上にソーマとかがいるんだね」
「……ああ」
本当は『お父さんとソーマはどっちの方が強いの?』と何回も聞きたくなったことがある。
でも、ぼくは子どもながらにそれは聞いてはいけないんだろうな、と思った。だから聞かずにいる。
本当はお母さんには聞いたことがある。そうしたらお母さんはこう答えた。
――――
「ねえおかあさん、おとーさんとソーマは、どっちがつよいの?」
「え…?あーはは…」
お母さんは少し悩んだそぶりを見せた後、こう答えた。
「わたしがこう言ってたってことは、誰にも言っちゃダメよ?誰かが傷つくことはその誰かがみんなから見て悪人でない限り、してはいけないの。」
「うん!」
「……ソーマよ。ソーマの方が強いわ」
「そうなの?」
「魔法の潜在能力、知識、才能…神の加護…全てソーマや私は他の人とは違うベクトルなの。」
「おかーさんとおとーさんじゃなくて、ソーマとおかーさんなの?」
「……うん、お母さんは最初知った時は、泣きたくなっちゃったなあ」
「どうして?」
「えへへ…2人とも好きだからだよ」
「ふーん…」
―――――
ぼくはこの、「2人とも好きだから」というのが本当の意味ではこの時わかっていなかった。
…でも、わかってしまった。
演技力はお父さんやお母さん、ソーマの三大役者を超えると言われているんだ。
…ぼくは何も知らないという演技は、誰にもバレていない。
…お母さんがお父さんのことを好きなのは本当だ。そしてソーマのことも好きなのも本当だ。
ここで普通の方向ならお父さんのことは恋愛的な意味で、ソーマのことは友人的な意味で、と捉えるだろう。
…でも、違う。
お父さんのことは慈愛、家族愛…それから、お母さんが自分を愛するからこその守るための愛だ。
ソーマには、恋愛的な愛、友愛、敬愛…を持っている。
でもお母さんは身体的な浮気はしていない。そういうのを徹底して嫌う人だから。
…でも、ぼくはお父さんに似ている顔立ちに赤髪に金色の目だけれど、妹はお母さんに似た顔立ちで黒髪に金色の目。黒髪はソーマの色で、金色の目はお母さんの色だ。
ぼくは紛れもなくお父さんとお母さんの子どもだけど、妹はソーマとお母さんの子どもだとみられてもおかしくない色合いだ。
でも、お母さんは身体的な浮気はしていない。お父さんもそれを理解している。
この世界が髪色や瞳の色が遺伝に関係ないから、こうなっただけなのだ。
それでも、お父さんはどうしても妹を心から全て愛することができないのは、罪悪感からではなく、ソーマに対する忌避感なのだろう。
お母さんは、浮気ではないとみんな理解しているため、ぼくも妹も心から愛してくれている…と、言いたいところだが、家族になりたい人との子どもじゃないからか、時折少し寂しそうな顔をする。
隠してくれてはいるんだ。2人とも。でもわかる。幸い妹は一生気づかないでいてくれそうなのが救いだ。
ぼくたち家族は、少し悲しい家族だ。
その頃から演技力はずば抜けてたのかなとひしひしと感じるものでした。圧倒的にレッドの桃さんの演技力が強すぎて…!声もあるんでしょうけど、あと、本気度も伝わりました。本気って大事ですな。
最初に赤と青が喋るんですけど、上手だと思うんですが界隈違くね?ってなった後どんどん界隈どころか階層違うかな…てなっていくって言う感じですかね…いや、でも演技力って、レンジャーものはみんな演技したてなはずだからそうなるのも仕方ないとは思います…!




