67.第十八章 たーまやー!(意味はよくわかってない)
自分のことを好きな人がろくでもなかったら、嫌われてるよりはマシかもしれなくても、嬉しくない人、結構いるんでしょうか…
私とフレアはこの祭り開催中に行われる花火を観ることにした。
花火の特等席は事前にブルーシートを敷いて席取り…ではなくてチケット制だ。
…けれども一番の特等席はチケットで取れる席ではない。
空中である。
この世界は空を飛べる人はいるが少ない。
飛行機が空を飛べるのは燃料があり、気圧に耐えられて且つ軽い素材を使った機体であるからなのと一緒なのだ。
空を飛べる人間は、魔力が膨大にあり、空中をコントロールできる制御能力があり、体重が重ければ重いほど魔力も多くなければいけない。
空を自在に動くことができるほどの制御能力になるには、知識も技術も必要で、それは年月がいる。
けれども人は成長すればするほど重くなるわけで、一番魔力の扱いや量が長けている時はしっかりと体重があるから結果空を自在に飛べるピイタアパンは少ないのだ。
まあ、空に浮かせた椅子やら絨毯を使うというのも手ではあるが、実はそれはもっと難しい。
まず空に浮かせた椅子にどうやって座るかって結局自分も空にいなければいけないし、地上からだんだん空中に移動させればいいとしても、浮かせるものが自分とその対象物の重さも加わるから当然必要な魔力は増える。
ということで空で花火を観るというのにチケットはいらない。
マナーを守って空に浮いて、自分たちの見た目が周りに見えないように雲隠れ魔法を使う。
パーン
「今年も始まったね」
私はフレアに話しかける。
「うん、そうだね」
パーン
「…」
「…」
パーン
「たーまやー!」
「…意味はよくわかってないけど、なんか言いたくなっちゃった!」
「…何かの雑学に、江戸時代の実在した花火屋の名前だって書いてあったね…続きは…かーぎやー…らしいけど」
「へえー…」
フレアが玉屋の意味を教えてくれた。
私も覚えていない歴史の事実は、多分私が暁の魔法使いだった時の故郷の人が教えてくれたんだろうな。
暁の魔法使いの私が、完全に復元することができるのは、ひとえに故郷の人々にそういう能力があったからだって本に書いてたし…
パーン
「わあ、ドらクエのスライムだあ!」
「すごいね」
パーン
「キテイのクオリティすごーい!」
「本当だ」
パーン
「……」
「……」
そうして私たちはいつもと同じように花火を観終えた。
「…花火終わった?」
「うん、そうだね、予定の時間になってるし、終わってると思うよ」
「じゃあ帰ろっか!」
「…うん」
昔は手を繋いでいた。
いつからかフレアが手を伸ばしてきても、手汗だなんだと言って手を繋がなくなった。
元々恋人ができたとしても手を繋いで人目も憚らずイチャイチャするなんて気質ではないけれども、
……今、フレアは久しぶりに手を伸ばしている。
長い付き合いで、今が言う時なのだとわかった。
「…ごめんね、好きな人がいるから、手は繋げない」
「…うん、そうだと思った。」
「ずっと昔も言ったかもしれないけど、私はフレアのこと好きだよ、きっと異性としても好きだった」
「…うん」
「でも、私、最初に付き合った人とそのまま結婚したくてね」
「…フレアとは、私が描いている家族像になれる気はしないんだ。ふふっ毎日どきどきしてぐうたらできなさそう!」
「僕は全然、君がぐうたらしても何をしても、」
「もし、私に恋愛感情を持ち続けたままなら、今の互いに遊ぶ関係はやめよう」
「自分のことを好きな人だって知っていて、自分は他の人が好きなのに遊ぶのって、普通に最低じゃん?」
「今日は楽しい日なのに、こんな話してごめんね」
「言うタイミングが見つからなくて、いつでも楽しい日で終わらせたかったけど、でも、直接言わなきゃいけないし」
「ありがとう。フレアみたいな素敵な人が私を好きでいてくれて本当に嬉しい」
「ずっと素敵なフレアでいてね」
「うざいかもしれないけど、フレアが付き合う人は、私にも見定めさせて!」
私はたとえどんな人でも嫌いと言われたら傷つくナイーブなヒューマンでござる〜!




