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41.第十二章 小さきもの、それは私

『うろつく』と『さまよう』、漢字で入力する意味がわからんのじゃ!

「さあ今年も始まりました第500回全世界高等学校魔法使い権大会!記念すべき500回目となる本大会は、世界的に著名な魔法使いが出場されます!各方面から一回目の四大君が出場した伝説の演技と並ぶくらいの戦いを見ることが可能かもしれないと期待が寄せられている今回!実況は私、ナットが努めさせていただきます!解説は創始485年までプロ魔法使い団武人で「武」の魔法使いだったブショーさんです!」


「マサル・ブショーです」


「それではーー」


魔法演は、1回目の四大君が出場した時から毎年行われている。勇者が王となったその年に初めて開催されたので、建国の年と開催回数はまるっきり同じだ。


俺たちは世界的に力を持つ御曹司で、名前を言ってはいけないあの人扱いでテレビやラジオで呼び捨てにしようものなら命すら危ないので、なんとしても敬語を使うという気合が伝わる…実際知らん奴に呼び捨てされるのは腹立つが、だからと言って殺しはしないけど…まあ、今回は事前通達で実況は呼び捨て可としている。実況でいちいちミスターとか言うのは盛り上がりに欠けるからな。


「よっしゃ始まった!いい?エリク!私たちは『武』の出場のみ被ってるけど、それは最終競技で、開催日が他と違うから、全部一緒に回るよ!」


「おう!パイン氷とみかん氷は食べないとな!」


俺たちは時差が発生する場所に住んでいるでもなく特に現地入りして体を馴染ませるとかは必要ない。また、自分たちの勝利を確信しているのでお祭り気分だ。


俺たちは会場に入った。


チケット確認はゲートをくぐるだけで身体検査とともに行うことが可能だ。


自分の持っているものにあれば、カバンの中だろうが認識してくれるし、カバンの中身チェックもない。


会場はチケットをかざすだけで席に転移することができる。


隣に座っている人が驚かないように、モーションもかかるし、安全設計でその席を通ることができないように制限が一時的にかかるのでギリギリに来ても会場内で席が見つからず困ることはない。


一時退席の際も、チケットを自分の席の差し込み口に差し込めば転移で移動できるので、観戦中に他の客の前を通る気まずいあの沈黙は避けられる。


「それにしても…第一試合はあいつか」


「ああ、あいつね…くだらない話に私を使ってたけど、確かに実力はあるんだね」


あいつ…もとい、学校内でお調子者のイケメンとしてクラスのまとめグループに所属していたウキだ。


ロゼや俺に対して無礼な発言をして仲間たちから絶交宣言されていたが、どうやら他の顔のいい仲間たちは見捨てなかったようだ。


「ウッキー頑張れ〜!」

「モテるチャンスだぞいいところ見せろ〜!」


「お〜!みんなありがとよ〜!」


ウキは人好きのする笑顔でみんなに手を振っている。


「カナリアちゃーん!がんばー!!」


「カナー!負けるな〜!」


対する相手は女子だ。


魔法演は「武」「補」「癒」「演」の順に行われた後、「武」の準決勝と決勝が最後に行われる。


これは最初の回の順に(のっと)った伝統だ。


そしてこの競技はその特性上男女関係なく相手になる。


カナリア、カナと呼ばれている可愛らしい華奢な女子は男女共に人気のある者のようだ。


「ちょっと、私とは違う感じの可愛い子ガン見〜?確かに可愛いな…さてはあの子小鳥ちゃんって呼ばれてる子では?うわーー!本当に可愛い!声もきゃわいい!」


「お前オタク入ってるぞ」


「可愛い子は正義」


「はあ…」


俺はアリエの面食いに呆れながら試合を観る。


「それでは暁高校のウキ・チョウと、朝日高校のカナリア・フーリの試合を開始とする!」


プォーッ


トランペットの音が鳴り響く。



最初に動いたのはウキだった。


「影分身」


呪文はわかりにくければわかりにくいほどいい、だから無詠唱に近い小声や早口で行えるものは上級者だと判断される。


ウキは自分の残像をたくさん生み出した。


この数を生み出せるのは凄いな…


「小さきもの、それは私」


俺がこの呪文を使ったと分かったのはひとえにカナリアが小さくなったからだ。


「さあーて、どっちもスピード勝負かな、面白い」


「影分身では実体はないからね、実際に攻撃しても本物が作った攻撃しか効果はない。だから、クローン魔法より魔力が少なくても使えるわけだけれど…」


アリエが解説する。


そう、だからこの大会に出るような魔法使いなら魔力はあるはずだからクローン魔法で攻撃を増やす方を選ぶはずなのに…


「あ!」


アリエが声を上げる、小さくなる魔法をかけたカナリアが動いたのだ。


氷柱(つらら)がウキに当たって、分身が消えていく…と誰もが思ったが、分身であるはずのそれは消えなかった。


「分身じゃなくてクローンだったのか、確かに影分身と言ったのに…」


「ほえー、間違えて覚えたんかな?それともフェイク?まあ、やるね」


気づくとウキが魔法陣を完成させている。


ちなみに俺たちは魔法陣を覚えることは早々に諦めているので何の魔法陣かわからない。


まあ数式と同じで難しく長ったらしいものは呪文も魔法陣も力が強いものなので、多分この豪勢な見た目はすごいやつだ。多分。



「キャア!!」


カナリアが重力魔法で地面に吸い寄せられて、地面がめりこむ。


勝負あったようだ。


「勝者ウキ・チョウ!!」


うおおおおおお!!!


「へー、面白いね!」


「あとでインタビュー聞いてみるかあ、ぶっちゃけ間違えて覚えたのかわざとなのかアイツの場合わからないわ」


その後のインタビューでウキは


『影分身って名前の方がクローンよりかっこよくて、それでイメージついちゃったんですよ〜』


なんて言っていた。


かっこつけて「敢えてです」というより潔いと、しばらく話題になった。

ちなみに漢字は彷徨くと彷徨う!


うおおおい!うろつくもさまようもこんなかっこいい漢字の内容じゃないだろ!


しっかりしろよ!


うろつくのは不審者だし、さまようのは迷子だよ!


こんな漢字はふさわしくない!さまようの方は普通にさ迷うって書いてよ!

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